一部にアナログを残しておくこと
今日はゆるキャラデザインのお話。
紀州田辺市、地元で愛される街のパン屋さん、焼きたてパン D’oh さんの食パン三種。アールグレイ、山食、角食のラベルをデザインさせてもらいました。店頭に並んだら、ぜひクーマーのマークの食パンをお手に取ってくださいね。アールグレイのラベルは、実際のアールグレイの色からカラーピッカーで抽出しまし
このラベルに使っているゆるキャラは、以前店主に頼まれて作ったオリジナルエコバック用に描いたキャラクターですが、気に入っていただけたのか、店内POPやラベルやショップカードなど、他のツールにも活用してくださっています。最初は軽いノリでデザインしたものでも、気がつけばお店全体がそのキャラクターに染まっている、なんてことはよくあります。
今まで持ってきたイメージを塗り替えたり、一新するようなデザインよりは、さりげなく寄り添うデザイナーでありたいと思っています。なぜなら、イメージチェンジするにはそれなりの勇気が入りますし、狙ってやるとそれに対する反発が生まれます。そう言うのはコンサルさんにお任せします。私は、まずはデザインも試着のような段階が必要と思います。このクマちゃんも、そんなデザインの一つです。
気がついたら、そこにいた。気がついたら、全体がそうなっていた。そんなのが理想です。
それにしても、見れば見るほどじわるクマーちゃん。
このクマーちゃんは美味しいパンをご家庭に届けるために誕生しました。なので、大きなパンを抱えています。レジ袋有料化に伴って、パンをいれるエコバックが必要で、どうせなら子どもや女性が可愛いな、と普段から使ってもらえるものを、と思い、クマにしました。
トートバック はさておき、食パンのラベルまでフランスパンかよ!と言われそうですが、そこがゆるさ。ツッコミを入れたくなる、放って置けない感じがゆるキャラの使命です。
先日、あるオンラインサロンにて、デザインするときのコツを質問されたんですが、アナログ作業をどこかに残しておくことで味のあるデザインが生まれます。Macやアプリ、appleペンやタブレットなどを使うことでグラフィックデザイナーの作業は軽減されますが、アナログ作業で生まれる不安定さ、例えば、スケッチブックに描く時にできるインクだまりや歪みなどがおそらく人を安心させるのでは、と思っています。
不安定さが人を安心させるなんて不思議ですよね。言い換えれば、有機的なデザインってことなのでしょうか。
このクマーちゃんも、メモの走り書きから始まり、それをスケッチブックにマジックで清書し、スキャニングしたのちに初めてAdobeのアプリを使ってデータ化しました。デザイナー仲間には、なんでそんな不合理なことをするんだと笑われますが、オリジナル性を作りたいなら、他者が入り込めない部分を作っておくのは当然です。それは何かと考えると、製作者の手作業だと思うのです。
何をするにもまずは「版(データ)」となるものが必要です。それを可能にしてくれるのが、Macであり、アプリなのだと思います。けれどもそれは仕上げであって、はじめにMacありきではないのでツールを持たない人でもデザインはできます。
落書きやメモ書きが実は非常に大切です。
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