Vitsoe 606 ユニバーサル・シェルビング・システムを導入した話
606 ユニバーサル・シェルビング・システムとは
ディーター・ラムスが1960年にデザインし、イギリスの家具会社Vitsoe(ヴィツゥ)が製造販売する、モジュラー式の家具システムです。
導入のきっかけ
2009年に、府中市美術館にて「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代―機能主義デザイン再考」という企画展が開催されました。そこで初めて見たディーター・ラムスのプロダクトのヤバカッコよさよ…
同じく2009年に発表された、UNDERCOVERの春夏テーマがディーター・ラムスだったのですが、彼のプロダクトが反映された、凄まじく綺麗なコレクションでした。立ち上がりの日に青山店行ってロングコート買ったな。
ディーター・ラムスのプロダクトを家に置きたい、という思いは強くなるも、当時のブラウンプロダクトはそこそこ高額、かつメンテなしで利用は難しそう。現行商品でゴリゴリ使えるものは無いのかと探したところ、彼がデザインを手がけたプロダクトを販売しているVitsoe(ヴィツゥ)を知りました。現在、ヴィツゥで購入可能なプロダクトは3つ。
まずはお手頃なテーブルからとも思いつつ購入には至らなかったのですが、ここ数年のコロナ禍で在宅勤務となり、仕事環境を整える必要があったことから、在宅デスクも組める606 ユニバーサル・シェルビング・システムを検討することに。
実物見てみたい
実物を見て質感とかサイズ感を確認したい。2015年ごろまでは南青山にショールームがありましたが今は無し。D&DEPARTMENTが代理店を行なっていた時期もありますが、こちらも取り扱い終了しています。その代わり、ヴィツゥの公式ページにて設置されている国内の店舗紹介があります。
東京のみですが、渋谷のマーガレットハウエル、松屋銀座7階デザインコレクション、同じく銀座の阪急メンズ内Monocle Cafeの三カ所。Monocle Cafe以外は行ってみました。どちらも店の什器としてかなりの数が使われています。これ部屋にあったら最高だなーという思いが強まる。いずれの店もシェルビング・システムの販売をしているわけではないのでご注意を。
見積もりとフィードバック
プランニング依頼(2022/6/19)
公式ページにてパーツごとの単品価格は掲載されていますが、何をどのくらい用意すれば良いのかわからない。トータルでいくらになるかも不明なので、まずは見積もりを依頼します。6月19日、「購入について」のプランニング依頼から必要事項を記載し送信。この時点で購入の意思がなくても、結果購入しなくても問題なしとのこと。
設置場所として送った写真はこんな感じ。梁の下に収めたいので、横幅242cm、高さ192cmに収まるように依頼。あわせて在宅ワークでの作業デスクや書類の収納、フィギュアの飾り棚として利用したい点、壁面はコンクリートであることを伝えています。
初回見積もり(2022/6/21)
見積もり依頼した3日後の6月21日、担当プランナーの方より返信あり、さっそく3パターンの提案がありました。プランはメールに添付ではなく、初回の返信時からログインが可能になる「マイ・ヴィツゥ」という専用ページにアップされています。メールにはマイ・ヴィツゥへのリンクとプラン概要が記載されており、こちらからのフィードバックはメール返信で行うスタイル。各プラン図には必要な部品点数と総額も記載されており、この時点で金額感がわかってきます。なかなかなお値段だわね… プラン毎にpdfでダウンロードが可能。
※見積もり中はいつでも閲覧できますが、発注確定すると未採用プランは閲覧不可となるため、記録のためにも全プランダウンロードしておくことをお勧めします。
Bのデスクは大きく、横に座ることもできるのですが、前面への張り出しが大きい。Cのデスクは左側の壁に近く作業しづらいので、A案を元に進めることに。
基本A案で
一番左下のシェルフは不要
引き出し付きシェルフを二段シェルフに変更
を返信。
2回目見積もり(2022/6/23)
プランAを変更したプランD。
机の高さを指定するのを忘れていた。現状は74cmですが、椅子との兼ね合いで70cmにしたいので、その旨返信。
3回目見積もり(2022/6/25)
プランE。机の高さが70cmになるよう、取り付け位置を引き下げてもらう。
飾りたいフィギュアが高さ38cmのケースに入っているため、梁と最上段のシェルフのクリアランスが気になる。このプランだとクリアランスが35cmなので入らず。
また、現状全てのシェルフの奥行きが22cmのため、大きめのものを入れるなら30cmシェルフも入れたらどうか、との提案をいただく。確かに22cmだと狭いかも。30cmシェルフも入れたプランF、Gも提示してもらったが、見積もりダウンロードするの忘れてた。
4回目見積もり(2022/7/11)+注文
最上段のシェルフを奥行き30cmに変更し、梁とのクリアランスを42cmにしてもらったプランH。最上段のシェルフの取り付け位置が穴一つ分下がってます。これで最上段にも大きめのものが置ける。よし、これで決定!プランナーさんにその旨伝えると、プランが承認済みとなり、マイ・ヴィツゥから注文可能となります。7月13日に注文。支払いはクレジットカード使いましたが、プランナーさんに相談すれば銀行振込も使える模様。
出荷・配送
出荷(2022/7/25)
イギリス工場からの発送予定日が7月25日との連絡あり、通常は3-4週間で到着するとのこと。ただし、一般的な荷物のようなトラッキングNoは発行されず、日本の税関に到着次第ヴィツゥ提携の配送業者から連絡が入るため、この時点では正確な日程は不明です。あと気になったのが、出荷メールにあった記載。
うお、まじか。どんだけでかいのよ。自分で運べるかね…とビビりながら、業者からの連絡を待ちます。
国際輸送業者からの連絡(2022/8/18)
ユニバースポイントという国際輸送業者から成田空港到着し、通関も完了した旨メールで連絡があったのが8月18日。空港到着後3日以降は保管料金が別途必要、混載便で配送なので時間指定はできないよ、月〜金の10:00〜17:00くらいに届けるので、日付指定をしておくれ、とのことなので、8月22日に配送を依頼。添付の書類で荷物の大きさが判明しました。
5個口でした。なんか30kgのがいる!あと長いやつ。ダメもとで業者さんに、玄関まで運んでもらいたいんですが、と打診したら、
だそうなので諦めました。台車と手袋用意して当日を待ちます。
配送(2022/8/22)
当日10時半頃に業者さんより連絡あり、もうマンションの駐車場に着いたとのこと。車上渡し(荷下ろしは自分でやってくれ)と聞いていたので台車を押して取りに行きます。30kgのやつ、ほんと重い。これキャビネットだな。台車でちょっとづつ運ぶか、と思ったら業者さんが「玄関まで一緒に行きますよ」だって。え、いいんですか?やたー!
後述しますが、取り付けは後日のため一旦部屋に入れておくしかない。それにしてもでかい。
取り付け
自分で取り付ける自信なし
取り付けは基本自分で行います。ヴィツゥのプランナーさんに取り付け業者紹介してもらえないか伺いましたが、特に指定業者はいないそうです。
自分できっちり水平を取りつつ、壁にドリルで穴を開ける自信は全くありません。できればユニバーサル・シェルビング・システムの取り付け経験がある人にお願いしたい。ダメもとで過去代理店だったD&DEPARTMENTに相談したところ、代理店だった当時に、営業と設置をおこなっていたスタッフの方をご紹介いただける事に。これは心強い。事前にプラン図を共有し、設置いただく段取りを進めました。
取り付け(2022/8/27)
取り付け担当の方にお越しいただき、いよいよ取り付け開始。ここで初めて荷物の中身とご対面。取り付けに必要なブツも付属しています。
取り付けの様子をタイムラプスで撮ってみた。
動画見るとわかるんですが、水平取りつつ壁にEトラック(基礎となるレール)をつける工程が一番時間がかかっています。レールさえついてしまえば、シェルフとキャビネットの取り付けはサクサク進む。開始が13時半、16時には取り付け完了したので 作業時間2.5時間ですね。
完成
取り付け完了
美しい。惚れ惚れしてしまいます。オフホワイトのシェルフ、キャビネットが、グレーな色合いの壁と合っている。
椅子置いてみた。注文どおり、机面の高さが70cmピッタリになっています。
モノを置いてみた
ガシャガシャした物を置いても、ニュートラルな色と形状で受け止めてくれる。いやー、これは良いですねー 良いものを買った。最高。
細かい点
シェルフ・キャビネットの固定と調整
壁に固定したEトラック(レール)に専用のピンを噛ませ、シェルフの自重で固定させます。止めるのはこのピンのみなので、シェルフの高さを変えるのは簡単です。ただし、穴の間隔は7cmと広く、細かな高さ調整はできないので、レールをどの高さで設置するか、プランニング時点で慎重に検討する必要あり。
また、ウェッジというプラスチックパーツが付属します。上部1本のピンのみでシェルフやテーブル、キャビネットを支える仕組みのため、ほんの少し前下がりになりますが、ウェッジを入れることで水平に調整が可能。
本来は奥行きのあるシェルフやテーブルにのみ利用するので、ヴィツゥから出荷される際も必要な数しか付属しませんが、日本のお客さんは水平を気にする方が多いので、全シェルフ分のウェッジが付属している、とのこと。自分はデスクシェルフにのみ噛ませました。
テーブル
今回利用したデスクシェルフは、上下どちら向きでも設置可能。
自分はこの向きで設置し、下の棚を利用しない時にPCやタブレットを収納する場所にしました。
また、ケーブルごちゃっとさせたくないので、サンワサプライのケーブルトレーを設置。デスクシェルフに穴を開けたくなかったので、クランプで固定するタイプを利用しています。
デスクシェルフの収納部奥は抜けており、Eトラックの厚さの分、壁と隙間があるので、裏からケーブルを通すのは簡単。あとは隙間にAnkerのケーブルホルダーを貼って、使わないケーブルをマグネットで固定できるようにしました。
シェルフ
シェルフも同じく、上下どちら向きでも設置可能。逆さまに設置することで上面がフラットにできるので、デスクシェルフの横に設置可能です。
Eトラックの固定方法
取り付けの基礎になるEトラック、自分は一番オーソドックスなウォール・マウント式で設置しましたが、他にも壁から浮かせるセミ・ウォールマウント式、突っ張り棒的なコンプレスト式で設置可能。壁に傷をつけたくないから、とコンプレスト式を選択される方もいるかと思いますが、天井には固定が必須で穴あけを行わなければならないため、ご注意を。
Eトラックでコード固定
細かい点ですが、Eトラックの溝に電源コードを通すことが可能。上からピンで固定すると、ケーブルが外れることを防げます。シェルフに電化製品をを設置する際、見た目がスッキリすのでおすすめ。
色
ユニバーサル・シェルビング・システム入れるならオフホワイト!と決めていたので迷いませんでしたが、他にもブラック、シルバーとそれぞれにビーチ材が貼ってある計6種が選択できます。
価格
システム合計 384,300円
輸送料 41,243円
合計 468,097円
安くはないですが、ディーター・ラムスのプロダクトを自宅に置けるという念願が叶ったこと、ほぼ一生物の堅牢なシステムを組めたことで超満足です。
まとめ
日本国内にヴィツゥの直営店、代理店なし(2022年9月時点)
初回依頼から到着まで約2ヶ月
やりとりはメール、日本語でOK
プランニングは納得いくまでやりましょう
基本取り付けは自分で。難しい場合は自分で業者を手配
Good
ディーター・ラムスの手がけたプロダクトを家に置ける満足感
単純かつ堅牢で、拡張可能なシステムであること
何を置いても様になるニュートラルな雰囲気
Bad
思い切りが必要な価格
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