活動報告:インクルーシブデザインで紙文具のアップデートを考える
19日はインクルーシブデザインの日!
8月は週末ということで特別企画で実施しました。
先日もお世話になった、株式会社マルマンの会場で。
今回のテーマは「紙文具」のインクルーシブデザインです。
19日にとにかく毎月開催しながら、継続的な活動に取り組むことを意識してきたのですが、どうしても平日開催が多くなりがちでした。
8月は念願の週末! ということで、時間もいつもよりしっかりとりながら活動できました。とっても嬉しい‥!
また、素敵なマルマンショールームをまたお借りし、かつ様々な紙文具をご提供くださったりと、マルマンさん全面協力のもと開催しました。井口さん、佐藤さん、いつもありがとうございます!
今回はマルマンさんの協力もあって「紙文具」をテーマに、紙文具のアップデートを、リードユーザーとともにおこなうことが一番の目的でした。とはいえ紙文具といってもいろいろですし、紙雑貨との違いも定義しづらいので、今回は「ノート」に限定して実施させていただきました。
(もしいいアイデアが出たら、ゆくゆくは製品化できたらいいなぁなんて妄想もあったりなかったり。)
また、今回は久しぶりの週末開催ということで初めて来る方もいらっしゃる想定でした。そういう意味でも参加ハードルは低く、しかしインクルーシブデザインの一連の流れをまるっと体験していただく、ということも想定して企画しました。
全体の流れ
まずは全体の趣旨説明と、マルマンさんのすごさや、紙の面白さについて、こちらから簡単な話題提供からスタート。その後のグループ自己紹介では愛用のノートの紹介もしてもらいました。書きやすいから使っているノート、書きやすいと言っても何を書くのかによって異なること、あまり書いてないけどいつも必ず持ち歩いているノートがある人‥さまざまなノート観がちらほら。
その後のワークで取り組んだ問いは「自分たちはどんな時(どんな場面)に紙に書いたり記録したりしているか?」というもの。
紙に書く(描く)って一体どういう目的でどのような場面で行われるのかという視点で自分の「かく」について考えてもらいました。その後の活動でもずっと使わせていただいたのが、マルマンさんがようしラボでしか手に入らない、付箋サイズの画用紙。めちゃくちゃ書きあじよいです。
その後は基本活動として、観察・ヒアリングの活動へ。
今回リードユーザーになってくださったのは、主に片腕で生活している方と、視野が狭く色の識別の難しい方とお二人に協力していただきました。
また、今回はマルマンさんのご協力のもと、画用紙もたくさん、サイズや紙質も様々ご用意いただきました。また、ノートやバインダー、メモ帳なども様々なサンプルもご用意いただけたので、どんなモノをつかうとどう行動が変わるのかというのも、製品を使って試しながら観察していきました。
アイデア生成
アイデアのたね自体もその時間の中でいくつか見えてきたので、時間内にサクッと描いていただくために、最近私たちが好きなクレイジーエイトを個々に実施してもらい、グループ内でアイデアを議論した上で、最後なんとか1つのアイデアに絞ってもらいました。2つのグループで出たアイデアも全く違うので、紙ノート1つとっても切り口が違っていて面白いです‥
まず1つは、見えにくいHさんと検討したアイデア。
一見付箋に柄がついたようなもの…と思うかもしれませんが、かなりいろんな切り口で検討してくださっていたアイデアなんです。
そもそもHさんの「見えにくさ」はどういう見えにくさなのかというと‥
①視野が狭いので、大きなノートや幅の広い文字が見えにくい
②色の見分けがし辛いので、書き方によっては判別がつかない
という大きく2つの特徴がありました。
では、それぞれが意味しているものが何なのかは、様々な製品をつかって描いてみたりとか、どのように文字を見ているのかという行為を観察して気づいていくことが必要です。
今回のHさんの場合は、結果的に紙を使ったコミュニケーションとして、付箋くらいの小さな紙製品の使用頻度が高いこと
また、パッと目の前に置かれたメモなどが、サイズや色次第では紙自体の見分けがつきにくいことなどを考慮して、紙の縁を作るというアイデアにたどり着いています。
もう1つ、色の見分け方については、色盲などの色の見分け方がし辛い方がいます。特に緑と赤の違いについてはよく知られているかと思います。
その中で「葉っぱ=緑」、というデザインと色の兼ね合いをつくることで、デザイン性にも特化するかたちで活用できるのでは?というアイデアでした。
もう1つのグループは、Tさんと片腕メインでの紙ノートの活用について。
それは、少しノートを斜めに立てることができるノートです。
そもそも、片手でノートを開いて書くときの使いづらさといえば
①ノートをめくるときに1枚をめくることが手間取る
②紙を押さえられないので字を書くときに紙が動きやすい
という2つの特徴があった様子です。
その中でも②の課題については、さまざまな観察中にふと試してみたことが、そのままアイデアに反映されています。人は水平な場所で文字を書くよりも、少し斜めになっているほうがすこし「書く」という行為の負担が減っている‥?という素朴な気付きからスタートしました。
例えば画板とか、ドローイングテーブルみたいなイメージに近いかもしれませんが、文字を書くときの手首の角度って、少し斜めになっているくらいのほうが書きやすいのでは?という議論が展開されているようでした。角度が付きすぎてもだめなので、微妙なポイントがありそうです。
と、今回は活動の様子までご紹介させていただきました。実際にはこれ以外にも細かい課題観は数多くありましたし、アイデア素案レベルのものは数多くあったので、それらももう少しチームで分析して、どんな特徴が見られたのかをまたご紹介できればと思います◎
しかし、何かと笑顔がみられる1日となって、とっても嬉しく思っています。会場・活動にご協力くださいましたマルマンの井口さん、佐藤さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
次回も9月19日 @株式会社フリーセルさま本社で開催です。
リードユーザーとして参加したい障害のある方もいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけくださいませ。
記事:山田小百合(Collable代表理事)
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