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「それがなにか?」の心意気

2024年はじめから、1万円以上の洋服しか買わないというチャレンジを続けている。

わたしはケチだから、1万円を超える洋服を買うとなれば熟考に熟考を重ねる。とにかく慎重になる。

そうやって選んだ洋服に使えないものはないだろうと思って始めたチャレンジだ(それにしても、もう一万円札のことを「諭吉さん」と呼べなくなったのがちょっと寂しい)。

結果、とてもよいほうに向かっている。考えなしに手頃な価格の洋服をひょいひょい買わなくなった。安い洋服が悪いと言っているわけではない。軽い気持ちで買った洋服を活躍させられないのがよくないと思っている。

買う洋服の総量が減ったため、クローゼットが整えやすいのもいい。

こういう生活をしていた去年の末、親しい友人に会った。彼女はおしゃれの達人と言ってもいい、洗練された人である。高いものから安いものまで、さまざまな洋服を自分らしく着こなす。

彼女の着ていたブラウスはとてもしゃれていて、いつにもましてスタイルがよく見えた。

「そのブラウス、めっちゃ素敵!」

彼女は「ありがとー」と言って、ブラウスを買ったお店を教えてくれた。廉価さで有名なお店だった。

「全然その値段に見えない!」と驚くわたしに、彼女は言った。

「そう? 別に1990円に見えてもいいんやけど」

彼女の言葉を聞き、なんだか大事なことに手が届いた気がした。

「センスのよい人だから、1990円のブラウスも2万円に見えちゃう」事実と、「1990円のブラウスをいかに2万円に見せるか」の努力はまったく方向性が違うことに、わたしは気づいていなかった。

身につけるものがどれくらいの値段の品だと周囲の人に映っているか。それを気にしていない彼女だからこそ、おしゃれを自由に楽しめているのだろうと思い当たったのだ。

今年も熟考を重ねて洋服を選ぶようには心がけたい。せっかく手元に来てくれたものとは長く付き合いたい。

ただ、1990円の洋服を買ったとしても、高く見せようと躍起にならないようにしたい。好きなものを好きに着る。「1990円ですけどなにか?」と思えたほうが、きっといろいろ楽しい。


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