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文楽 初代国立劇場さよなら特別公演

文楽が大好きで、気づけば出逢ってから25年ほど。文楽を見に何度も通った国立劇場が2023年来月10月末で閉場する。
『菅原伝授手習鑑』を春公演とこの秋公演で通しで上演するということで、春に続いてみに行った。
今まで見たことのなかった段も見られ、1部2部を1日で見るのはなかなか体力的には大変だったが、やはり続けてみると物語の流れが自然と入ってきて面白かった。
舞台装置や演出もいつも以上に華やかで美しい気がした。菅原道真公には個人的にちょっと思い入れがあり、この演目が最後に通しで上演されてとても嬉しかった。
もうこの国立劇場で見られるのも最後かと思うと寂しくて、2回見に行った。

『菅原伝授手習鑑』の間に『寿式三番叟』が上演された。そこで私の目は人形使いの吉田蓑紫郎さんに釘付けになった。躍動感あふれる舞は見ていてドキドキしてしまった。蓑紫郎さんは前から知ってはいたのだけれど、今回の三番叟での華やかでリズミカルな舞がとても素敵だった。ある公演で女形の人形を使っていた蓑紫郎さんがとても印象的で、師匠の吉田蓑助さんを継ぐ存在になっていくのかなぁと思いまた見られるのを楽しみにしていたが、今回は全く違う役柄で、吉田玉勢さんと二人で激しい舞を踊り切った姿にまた別の魅力を感じた。
太夫や三味線も大人数で大迫力で豪華、舞もコミカルで華やかで躍動感溢れ、高揚感があって、見終わった後に気分がスカッとする実に華やかな『寿式三番叟』だった。

劇場は閉場するけれど、文楽はなくならない。場所を変えての公演も、なんとか都合つけてみに行きたい。

舞台の合間、今回は建物から出なかった。小ホールのあるこの空間をよく味わっておこうと思って。舞台はもちろんのこと、あの売店も、ロビーも、レストラン十八番も、広々とした無料休憩所も無くなってしまうのだなぁと、ちょっと感傷的になった。

新しい国立劇場は2029年秋開場予定とのこと、6年後か、結構先だなぁ・・・。その頃何しているだろう・・・。
ちょっと不安になったりもするけれど、柿落としにどんな演目が上演されるかを楽しみに、新しい国立劇場の落成を待とう。

ありがとう、初代国立劇場!


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