進路選択支援の進め方②目的と目標【保護者向け】
こんにちは。
学習塾ブランチの西原です。
先週、進路選択支援について書いたので、そのままの流れで
今日は「目標と目的」について書いてみます。
受験生の親御さんと会話の中で、よく耳にする言葉があります。
表現の仕方は様々ですが、まとめると「受験生としての自覚がない」ということです。
ほとんどの子どもにとって、はじめての受験ですから、仕方がないことでもあります。分からないの当然だからです。合格した時の喜びも、不合格だった時の悲しみも。すべては想像であって、自分事にするのは難しい。
なので、多くの子どもは、別の経験と紐づけて考えます。運動部の子ども達は大会で優勝したときの事や逆転負けしてしまったときの事、文化系の活動をしている子ども達は、コンクールで入賞したときの事、本番で失敗して悔しい思いをしてしまった事。それらと受験を結び付けて、自分事にしていきます。
部活動生は後から伸びると言われるのは、そのためだと思います。
ただし、部活動でそのような経験が無いといけません。強い弱いは関係なく、真剣に取り組んでいたかどうかがとても重要です。
そういった経験が無い子ども達は、なかなかエンジンがかからず、保護者の方もヤキモキさせられています。
とはいえ、過去には戻れませんので、今からできることを考えていきましょう。
1.目的と目標は分けて考える
目的と目標の違いを子ども達に説明することはできますか?
ここの切り分けはとても重要です。
受験生に目標は?と聞くと多くの場合
「○○高校に合格」「××高校に推薦でいく」などです。
しかし、これは目標ではありません。目的です。
目的とは、到達したい状態のことを指します。つまりゴール地点です。
そして、目標とは、そこにたどり着くための具体的な手段のことを指します。つまり、ゴールまでの道しるべです。
まず、受験生の半分がゴール地点があいまいです。
なので、前回書いたように、ゴール地点を明確にするプロセスが重要になります。
そして、もう半分の受験生の多くは、目標がありません。
なので、ゴール地点は定まっているのに、進むべき道が分からず迷い込んでいます。
2.目標を立てるとは
このような話をして、目標を具体的にしてみようという話をすると、
次に出てくるのは、「定期試験で400点をとる」「英検3級に合格する」などが出てきます。
しかし、これも目標ではなりません。最終到達点への中間ゴールのようなものでしょうか。
つまり、目的とは「状態」、目標とは「手段(行動)」でなければならないということです。
そのゴールにたどり着くためには、何をしていかないといけないのかを具体的に考え、落とし込んだものが目標です。
先日、生徒たちと目標の立て方について1時間ほど一緒に考えました。
最終的には、次のような目標が出てきました。
○二次関数の問題を毎日10問解く
○1週間で最低10ページ、問題集を進める
○解けるようになった問題を記録する
などです。これが良いか悪いかはまだ分かりません。
これからこの目標を日々実践して、模試の結果などを見ながら調整をかけていく。徐々に精度の高い目標に変えていくことで、合格という最終地点が見えてきます。
3.保護者にできること
役割としてはメンターです。
メンターとは、ざっくり言うと、指示や命令ではなく対話によりサポートする人のことです。
よくみる光景は
「目標全然できてないじゃない!自分で立てたんでしょ!ちゃんとしなさい!!」というやつです。
これは絶対にやめてください。
本人だって、分かっているんです。目標が達成できていないということに。自分でやるって決めたのに、出来ていないということに。そこについて言及したところで何も改善しません。
むしろ、自信なくしてしまい、受験からドロップアウトする(今いける高校を選び、頑張らなくなる)可能性もあります。
そんなことは望みませんよね?
怒りたくなる気持ちをグッと飲み込んで頂いて、
対話をするようにしましょう。
何が目標達成の妨げになっていたのか、それを解消するために何ができるのか。そもそも目標が高すぎたんではないか、できるところからやってみてもいいのではないか。
と、一緒に原因を探り、必要に応じて目標を書き換える。
そしてまたチャレンジしてみる。これを繰り返していきましょう。
根気のいる作業ですが、受験のあとも、その子の人生を豊かにするものです。時間を割く価値はあります。
大好きなお父さん、お母さんが、伴走者となってくれるほど
受験生の心の支えになるものはありません。
毎年、数人ですが、想像以上に伸び、合格は難しいだろうと思われていた高校に合格していく子達がいます。
その親御さんは本当に良き伴走者になっておられます。
厳しくするわけでもなく、任せっきりにするのでもなく。
一緒に悩み、一緒に考え、一緒に落ち込み、一緒に喜ぶ。
そんな受験生の家庭が増えるといいなと心から願っています。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。