副業ではじめる学習塾ブランチ-機会格差ゼロの社会を目指して-
こんにちは。
学習塾ブランチの西原です。
学習塾ブランチは2013年に福岡県糸島市で始まり、それ以来「もっと身近に学びの場を」をコンセプトに、地域間における機会格差解消を目指して運営をしてきました。
現在、北部九州に20ヶ所の学び場があります。
この度、副業で始める学習塾として、パートナー募集を開始します。
そこに込めた想いを、目指す社会を、記しておきたいと思います。
1.学習塾の現状とこれからの塾業界
全体的な話と地域的な話に分けて書きます。
まずはマクロな話です。塾業界の市場規模はここ数年横ばいですが、出生数は減少しているので、中学生をメインにした学習塾市場は向こう15年シュリンクしていくのは決定事項です。
顧客対象者数が減少する中で各塾のとるスタンスは、単価向上か運営コストの削減になります。
前者の流れで個別指導塾が増え、後者の流れでeラーニングを主体とした自律型学習塾が増えています。しばらくはこの流れが続くと思っていますが、それでも生徒数が不足し、供給過多になり、生徒獲得競争が始まります。もうすでに過当競争が始まっていると思います。
そこで勝ち残ったとして、何が残るのか。
社会が何か変わるのか。私は疑問です。
なので、ここに参入していくつもりはさらさらありません。
このスタンスは創業時からずっと変わらずです。
大きなところを取りに行けとか、勝負しろとか、色々とアドバイスを受けてきましたが、勝った後の社会が思い描く社会に繋がっているのであれば、取りにいきます。
でも、どうしてもそうは思えないのです。どうやって勝ち残るかを考えていくのは、サービスは磨かれると思いますし、それはそれでやりがいがあると思います。ただ、それを創り上げる時間で、別の未来が創れるのではないかと思うのです。
次に、地方の学習塾の現状です。
「地方」と聞いて、思い浮かべるものは人それぞれだと思いますので、人口5万人以下の町村をイメージして頂ければと思います。
この規模の町村には中学校が数校あり、学校全体の生徒数は200人以下の規模感です。生徒数が200人以下の中学校は全国の中学校の約35%を占めています。
こういった地域の特徴として、人口の割に面積が広く、車社会です。
ですので、一ヵ所に50~100人を集めるような大規模教室を展開するということはかなり困難です。
そのため、大手進学塾はほとんど進出してきません。
代わりにあるのは個人塾です。
個人塾の多くは、塾長が一人できりもりしています。
なので、塾長が辞める=閉塾となります。
第二次、第三次塾ブームの頃にできた塾が引退する時期になってきています。
地域の子どもの数は減ってきていますので、跡を継ぐという人も見つかりにくく、新しい塾がその地域にできる可能性も低い。
つまり、地方から徐々に塾が消えていく事になります。
そして、この問題に対して、既存の学習塾モデルでは対応できないと思っています。
2.資本集約から地域分散へ - 新しい塾モデルの提案 -
既存の学習塾モデルのセオリーは、顧客対象が多いエリアで良い立地、良い講師を確保することです。
起業前に多くのFCの説明を受けましたが、どこも同じようなマーケティングシステムを使っており、生徒数や前年度の教育費などから、エリアをランク付けしています。
しかし、そのランクは、生徒を50人以上集めるという前提で組まれたものです。そしてその前提に立つ以上、全校生徒が200人以下の地域には進出できません。
生徒50人以上を集めるという前提を10名に変えるとどうなるのだろうか?
そこから始まったのが学習塾ブランチというモデルです。
最初は自分が日替わりで3地域を回って教室を開いていましたが、広がりという点では難しいし、何より、自分の後が続きません。
最初はPCだったので、重くて大変でした。。。
そこから、どうすれば地域の方が参画できるようになるのか、試行錯誤し「地域校」というモデルを作りました。
一番のネックは「学習指導」のハードルでした。eラーニングであるとはいえ、質問は出ますし、受験となれば責任も伴います。
興味はあるけど荷が重いと感じる方が多かったのです。
そこで、各教室に専任スタッフをつけ、学習計画を組んだり、生徒や保護者との面談などの専門知識を有する業務は本部が一括して行うという分業スタイルにしました。
そうすることで、地域に住んでいる、アクティブシニアや主婦の方でも取り組めるようになりました。最高齢は81歳の元学校の先生です。
それが2016年です。
多様な方々に関わって頂けるようになりました。
しかし、リスクは全部自社が引き受けていたので、負担が大きく、継続したいけど出来ないというジレンマを抱えるようになりました。
地域の事業者さんとパートナーシップを組み、教室運営をしてもらうことで、遠方での教室展開が可能となりました。
熊本県の山都町などの山間部や、福岡県の大島・長崎県の壱岐などの離島にも届けられるようになりました。それが2018年後半からです。
何も実績のない中、最初に手を挙げて頂いたのは山都町の教室でした。
本当にありがとうございます。
とはいえ、これは、損益分岐点を下げただけで、構造的にはあまり変わらないので、いずれ継続ができないという日が出てくる可能性があります。
もっと分散できないかと考え、今挑戦しているのがこの副業型モデルです。
数が少ないうちは今までと大きく変わりませんが、加盟者同士がネットワークし、生徒の共有や、休校時のフォローなどを地域間で行える仕組みを創ります。
こういう話をすると、生徒の奪い合いがおきるのではないか、不平等になるのではないか、などの声を頂きます。全くおきないとは言い切れませんが、それ以上のメリットがあると思っていますし、それ故の副業モデルです。
この仕組みで独立して、これで食べていくんだという方同士では確かデメリットの方が大きく映るかもしれませんが、副業だからこそ、そのネットワークが機能すると思うのです。
一ヵ所に生徒も講師も集めて、50人の教室を作るよりも
生徒5人をみる副業型塾が10ヶ所あり、地域に分散している方が利用者にとってもメリットがあります。
塾への送迎にかかる時間コストは、実はかなり大きいのです。
それが減るだけで、活用できる時間が増え、ゆとりが生まれます。
教室運営者も、何かあったときに近場で頼れる仲間たちがいることは、始めることも、辞めることもしやすい環境になります。
また、塾での学習指導は人と人との関わりです。どうしても合う合わないは出てきます。これはもう仕方がないことだと思っています。特に思春期の子ども達です。男性の先生は苦手、女性の先生は苦手といったことは少なからず発生します。その時に、お互いストレスを抱えながら頑張るよりも、合いそうな先生にお願いすることがみんなハッピーです。
そして、色々なバックグラウンドを持つ大人が参画することで、子ども達のキャリア感育成にも繋がっていくと思います。
「なぜ学ぶのか?」の答は人それぞれ。その問いの答に多く触れる事がキャリア感育成につながります。
将来、海外で働いてみたいなら、海外での仕事経験がある人のところに毎週通った方が良いと思いませんか?
想いのある方が参画しやすい環境をつくることで、地域の学びは豊かになります。
3.小中学生の学習支援に本当に必要なこと
そんな理想論で、学習支援はできるのか?という声も聞こえてきそうです。
学習塾ブランチを7年運営してきて感じているのは、
きれいな設備も、スター講師も、多くの子ども達には必須ではないということです。もちろんトップ層を狙う子ども達はそういった環境が必要だと思います。
しかし、学校の勉強でちょっと躓いてしまい、自信を失いかけている子ども達にはそれよりも大事なことがあります。
①習慣をつくるための場があること
②本人にあった学習計画が組まれており、自分のペースで進められること
③隣で伴走してくれる大人がいること
その子のための「場」があることが重要だと思うのです。
「場」の必要性についても、創業当初からずっと言われ続けてきました。
自宅でeラーニングじゃダメなの?と。
距離の問題を解決し、「届ける」という目的であれば、それで十分ですが、
「継続し、習慣をつくる」ところまで持っていくには、オンラインだけではほとんどの子どもはできません。
それが出来ていたら、進研ゼミが世に生まれた時点で、学習塾は淘汰されていたはずです。やはりリアルな場が必要です。
そして、それは奇しくも、コロナが証明してくれました。
今、ブランチの生徒達は教室と自宅とどちらでも学習できる環境になっており、いつまた学校がストップしたとしても、翌日からすぐにオンラインでの自宅学習に移行できます。
教室でも家でもほぼ変わらない学習スタイル
4.地域で子どもを育てる
こんな場を開く人を地域に増やしていきたいと思っています。
「私なんかが学習塾なんて、、、」という人ほど、子ども達に寄り添える素敵なサポーターになれます。
週に1日~2日、数時間を地域の教育に使ってくださる人が増え、お互いに競争ではなく協力して、地域の子どもの支援をしていく社会は、皆さんの目にはどのように映りますか?
僕は温かい社会になっていると思います。
ブランチで学んだ子がその地域で大人になり、また次の世代のために場を開く、そういう循環が出来たとき、地域の学び場はサステナブルなものになると信じています。
子どもの少ない地域で塾をやるんだと言った時、塾業界の諸先輩方からはそれは無理だと言われまくりました。確かに大変でした。普通の塾以上に苦労したと思いますが、形にはなってきました。
この新しいモデルも、それは綺麗ごとだと、無理だと言われる(すでに言われている)のは百も承知の上ですが、社会を変えるとはそういうことだと言い聞かせ、前進していきます。
興味・関心もって頂いた方がいらっしゃいましたらお気軽にお声がけください。
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機会格差ゼロの社会を目指して
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