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考察#11[ステラーブレイド]ストーリー解説と問題点 ネスト~エルダーネイティブの提案【ネタバレ注意】
この記事はサブ記事です。
メイン記事「ストーリーのネタバレ考察 総評と問題点まとめ」を読んでもいいし、読まなくてもいいかも知れない。
[メイン記事概要]
ステラーブレイドを200時間以上遊び倒して執筆。圧倒的高評価のゲーム性やシステムには敢えて触れず、唯一、遺憾なストーリーに焦点。未プレイ者も楽しめる読み物を目指すが、ネタバレ注意。ストーリー総評は「世界観◎プロット◯人物描写✕筋書き✕」大きな問題点を2つ指摘。考察のためメインストリームのプロットを書き起こし。
この記事には、ステラーブレイドのストーリー部分を中心に編集した動画と、その中で描かれているストーリーの考察、アナザーストーリー的な二次創作アイデアがあります。
[動画]ステラーブレイド
私的まとめ第11話「エルダー」
全12話完結。ストーリーを追いやすいようガッツリ編集の動画です。
レイヴンを倒し、ついにネストに踏み入ったイヴを、エルダーネイティブが待ち受けます。
YouTube ▶ 全話プレイリスト
ここから先は、この動画に含まれていない全てのネタバレ要素を踏まえた文章となりますのでご注意ください。
ストーリー解説
ネスト
プレイヤーとイヴの、美しくも退廃と死闘にまみれた冒険がようやく終着点に到達。普通のプレイなら20~30時間と思いますが、探索好きの筆者は1周目100時間超えでした。
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ネストはいわゆる"ラスダン"ではありません。筆者は探索好きですが、ラストにダンジョンは無い、これを超肯定的に受け止めており、素晴らしい判断と思っています。
ネストはラスボスへの一本道であり、途中にはチェスト1つありません。だがそれがいい。スパイア4(軌道エレベーター)のカラクリ戦から始まったボスラッシュのテンポを止めてはいけない。
最奥で待ち受けるエルダーネイティブは、ストーリーにどんな解決をもたらしてくれるのでしょうか。詳しくは問題点で語ります。
エルダーネイティブ
その正体は… アダムです。
イヴも「思った通り あなただった」と言っている通り、ここで驚愕の真実として正体が暴かれるという筋書きではありません。
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筆者としては、エルダーネイティブが融合を提案し、プレイヤーに選択肢が提示されるのは意外な展開でした。プレイヤーを迷わせる、というよりは、混乱させる、に近いかも知れませんが、意外性はあったと思います。
最後の選択
エルダーネイティブは、イヴへの最後の提案として、二人の融合を持ちかけ、手を差し伸べます。
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手を取る(融合する)
手を取らない(融合しない)
この動画は「手を取る」の直後までを収録しました。
ストーリーの問題点
アダムの破綻した行動
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アダムのこれまでの言動は、エルダーネイティブとしての合理性や整合性に欠けるものが多くありました(以前の考察#1 / 考察#2 / 考察#5 / 考察#6 / 考察#7)。
アダムのストーリーが破綻していることは明らかです。
最も単純な例では、このアダムの融合提案は、イヴを助けた直後にレイヴンのレガシー4つをイヴに見せてから話せば成立します。ザイオンはもとより、記録保管庫に向かう必要すらありません。
前回の考察#10(ストーリー解説)に書いた通り、レガシーはアダムが各所に置いたものだからです。
そこに目をつむり、話を聞いてみます。
アダムの告白は、謝罪の意は伝わるものの、ストーリーの解決には程遠い内容です。
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その"思惑"の中身を知りたいのですが…「筋が通ったものは用意できていないので話せない」が残念ですが事実と思います。
筆者は悪い意味で、手を取るか、取らないか、どちらを選択しようか迷いました。どちらを選んでも納得のいくストーリーが語られることはない、という諦観がありましたし、メイン記事の問題点(2つ目)に書いた通り、そもそもエルダーネイティブと対峙する理由を見失っています。
筆者は結局、1周目は「手を取る」を選択しました。
ストーリーに難はあったけれど、ここまでステラーブレイドというゲームをメチャ楽しんだし、アダムとイヴというネーミングに忖度した結果です。
いずれにしても、ゲームの最後に用意された選択肢にプレイヤーを導けていない点は、筆者が「物語が放棄されている」と考える最も大きな要因の一つです。
翼しか残らない融合後のアダム
ひょっとしたら、つま先もアダムかも知れません。融合というからには、50-50なのかな、と思いきや、9割イヴでした。
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どうしてそうなった。
ビジュアル的には正解ですが、アダムの自我が完全に消えているのはなぜなのか、それなりの説明は欲しいところです。
エンディング
いよいよエンディングが迫ってきました。
本作はマルチエンディングが採用されており、最後の選択肢と、ゲームの達成度による条件によってエンディングが3つに分岐します。
記憶の創造
失われた記憶の代償
コロニーへの帰還
アナザーストーリー[二次創作版]
オリジナル版の良質なプロットはそのままに、このあとの展開も考慮したアイデア版です。
素晴らしいゲームをリスペクトしつつ、素人たる筆者がおこがましい限りではあるけれど、ストーリーに問題が多くもったいない過ぎるので空想するに至った次第。どうか許してほしい。
改ざんや創作したカットやシーンと、その前後だけ抜き出して書いています。略してあるシーンはオリジナル版ままを想定しています。
動画を見ながら脳内で展開すると、より楽しめます。
[凡例]
xx:yy 動画内タイムコードと劇中の場所
* オリジナル版まま
- オリジナル版の記憶よ永久にあれ
+ アナザーストーリー版(追加または置き換わり)
※タイムコードは動画の概要欄に同じものを記載しています
03:38 ネスト/最奥
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*アダム「イヴ 待っていたぞ」
*イヴ「思った通り… あなただった」
*リリー「アダム? なんであんたがここにいんの!?」
-アダム「きっと失望していることだろう すまない イヴ」
+アダム「もし驚かせてしまったなら すまない イヴ」
*アダム「ここに至るまでに起きたことは 何もかも… 俺が招いた結果… 全て俺のせいだ」
*イヴ「アダム… それともエルダーと呼んだほうがいい?
あなたの目的は何?
どうして私を助けたの?
任務に… 手を貸すような振りまでして あなたはザイオンのためと言ってたけど… 本当の狙いは何?」
*アダム「罪を償いたい… 赦しを得たいんだよ」
-アダム「皆の傷を癒やしたいんだ」
*アダム「どうかわかってくれ」
+アダム「お前を治療したとき 他のアンドロエイドスと異なる兆候をみつけたんだ」
*アダム「これまでの行いは全て… 心から思ってのことだ」
*イヴ「ふざけたことを言わないで!」
-イヴ「私の仲間も… あなたのことを信じてたザイオンのみんなも… みんなあなたのせいで死んだ!」
+イヴ「罪滅ぼしなら すぐに戦うのを止めればいい そうすれば タキも… 誰も死なずに済んだのに!」
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-アダム「そうだな… イヴ… お前が怒る気持ちはわかる 当然だな」
+アダム「何もわかっていないな… イヴ… お前は俺の思った通り アルファコアに触れても侵食されない 特殊な個体だった レイヴンを見ただろう コアに侵食され ネイティブに進化したんだ まあ 彼女は自ら進んで 俺のもとへ来たんだがな」
+アダム「進化に犠牲は付きものなんだ オルカルもよくやってくれた」
-イヴ「エルダーネイティブ… よくも…!」
+イヴ「どういうこと…!?」
-アダム「イヴ 説明させてくれ
まずは… レイヴンとの間に起きたことを詫びよう」+アダム「イヴ 説明させてくれ
まずは… マスターコアのことに 礼を言おう」
ーアダム「レイヴンには 自らの思惑があった その点ではオルカルと似ている 知っての通り お前たちは作り物… 人類の模造品に過ぎない そして我らは… 化け物に成り果てた 両種族は共存できない運命にあるんだ それも当然… 我らはあまりに弱かった お前たちを受け入れる器がなかったんだ その 人の愚かさが 悲劇を招いた結果… 我らは… 生き残るために人であることをやめてしまった」
+(アダムがマスターコアを空間から取り出し掌の上に浮かべる)
+アダム「知っての通り お前たちは作り物… 人類の模造品に過ぎない イヴ お前に進化をもたらすには マスターコアのエネルギーが必要なんだ」
+(アダムが空間にマスターコアを仕舞う)
+アダム「だが俺はエルダーとして マスターコアのために 同胞の命であるアルファコアを奪うなんてできない」
+アダム「(ドヤ顔で)俺は創造主であって 破壊神ではないからな」
+アダム「ザイオンにハイパーセルをもたらすチャンスだと言ったら 喜んで協力してくれた」
+イヴ「オルカルを利用した」
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+アダム「そうだな… イヴ… 奴は失敗作だった あろうことかアンドロエイドスの情にほだされ 我らを裏切った だが奴を責めないでやってくれ マスターコアがなければネストの扉は開かない それは本当のことだ 俺が通さないからな」
+アダム「レイヴンが奴のコアを狙ってザイオンを襲ったのは誤算だったが… そのコアで お前をネイティブにするつもりだったんだろう… だが おかげで 1つの場所に 2つのコアが揃った」
+アダム「レイヴンは天使狩りに執着し過ぎていた 正直 面倒になっていたんだ」
+アダム「(肩を揺らして笑いながら)二人とも報いを受けて当然だろ? 厄介者がまとめて片付いた」
+アダム「お前は唯一無二だ イヴ」
+イヴ「狂ってる…」
+アダム「(怒って)狂っているのはマザースフィアだ!」
+アダム「(冷静に戻って)アンドロエイドスが人類の後継者になると 本気で考えたようだからな レイヴンのレガシーで教えてやったろ…」
+アダム「(ドヤ顔で)だが俺の創り出したネイティブが それを止めた」
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06:47 ネスト/最奥
*リリー「だから あたしたちを宇宙に追いやったっていうの!?」
ーアダム「両種族の受け皿となるほど地球は広くない だが 地上から全てのネイティブを消し去ろうと… お前たちは人類の後継者にはなれないんだ」
+アダム「地球はそれほど広くない そもそもお前たちは人類の後継者にはなれないんだ」
*アダム「結局のところ お前たちは作られた存在に過ぎず 人のDNAを持たないからな」
*イヴ「あなたの望みは何?
このひどく醜い争いに… 終止符でも打つつもり?」
*アダム「そうだ
俺は長きに渡り解決策を模索していた」
-アダム「両種族が人類の次なる担い手となる道をな」
+アダム「次なる担い手となる人類の道をな」
*アダム「最新技術により 完全無欠の肉体を誇る至高のアンドロエイドスと 闘争本能に飲み込まれることのない 究極のネイティブ」
-アダム「それら2つが存続の鍵だ」
+アダム「それら2つが進化の鍵だ」
*イヴ「それって…」
*アダム「ああ… お前と俺が… その鍵となる」
*アダム「イヴ… これが 最後の提案だ 俺と一つになろう 一体の… 進化した 新たな人類になるんだ 一つとなれば 我らは新たな人類の 礎を築くことができるだろう」
*リリー「そんなのどうかしてる! こんなやつの話に耳を貸しちゃダメだよ!」
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*アダム「このままでは またマザースフィアが同じ過ちを繰り返すだけだ」
-アダム「奴がコロニーや地球を手にかけたとしても 驚きはしないな 知っての通り マザースフィアは引き下がらない」
+アダム「あれは空挺部隊を犠牲にして 学習を積み重ねることはできる だが進化はできない ただの人工知能だからな」
*アダム「その先に未来などないんだ」
*リリー「でもだからって 2人が融合するのが正しいとは限らないでしょ! そもそもあんたの言うことなんか信じられない!」
*アダム「無理もないな」
-アダム「だが心から 人類を救いたかったんだ」
+アダム「だが心から 俺は人類の未来をこの手でつくりたいんだ」
*アダム「今もその気持ちに変わりはない… 本当だ まあ… 俄には信じ難いだろうがな…」
-(アダムがハイパーセルを空間から取り出しリリーに送り出す)
+(アダムがメモリースティックを空間から取り出しリリーに送り出す)
*アダム「リリー 受け取れ」
-リリー「これって…」
+リリー「これは…?」
-アダム「ザイオンに必要な最後のハイパーセルだ いずれにせよ これでザイオンは救える 俺に代わって ザイオンを救ってくれ」
+アダム「マザースフィアのプロトタイプだ あれは俺の最初の失敗作でもある そのメモリースティックを解析すれば 俺の言っていることが本当だとわかる」
*アダム「イヴ お前の任務を思い出せ 俺と一つになれば エルダーネイティブを この世から抹消できる… 永遠にな これ以上ない選択だとは思わないか?」
*アダム「イヴ… この手を取れ 手を取り合えば… お前だけでなく… 皆を救える」
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10:48 ネスト/最奥/手を取る
*リリー「イヴ! ダメです! こんなの 絶対間違ってます!」
*イヴ「私たちの存在理由は エルダーネイティブの抹殺… そして人類の救済」
(中略)
*アダム「イヴ 俺も同じだ いわば我らは 対となる存在 お前の決断がすぐさま安寧をもたらすことはないだろうが… それでも… 我らの融合は 平和な未来への架け橋となる さあ…」
*イヴ「ええ…」
*(イヴとアダムの指が触れ合い光る)
*(宙に浮き上がるイヴとアダム)
*(目を閉じるアダム)
*(目を閉じるイヴ)
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-(アダムが目を開き、上を見上げる)
+(アダムが目を開き、ニヤリと笑う)
+アダム「(笑いだして)フフッ ははは…!(すぐに笑いが止まる)」
+アダム「(狼狽して)なんだこれは… EVE… プロトコル…?」
+アダム「(叫び)うおおおお」
(ホワイトアウト)
*(まばゆい光を目を閉じて避けるリリー)
*(リリーがおそるおそる目を開ける)
*リリー「イヴ… イヴなの?」
*イヴ「ええ うまく… 自分でも説明できないけど… 私は… ちゃんと私のままだから…」
*リリー「怖かったです… だって… 別人になったのかと思って…」
*イヴ「リリー…」
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-(エグゾスーツが勝手に作動する)
-エグゾスーツ「コロニーへの接続を完了 プロトコル送信 付近に強力なネイティブを検知 戦闘モードへ移行」+(触手をまとったレイヴンがエグゾスーツに飛びかかりまとわりつく)
+リリー「うわあ! レ レイヴン…!?」
+レイヴン「イヴ… とどめを刺せと言ったろう? こうなったのは全て貴様のせいだ!」
+(レイヴンの触手がエグゾスーツを絡めとり侵食する)
+(触手に飲み込まれるリリー)
+(レイヴンは頭部と胸部を残してエグゾスーツに一体化した姿となる)
-リリー「イヴ! 気をつけて!」
+リリー「イヴ! 助けて…!」
空想ポイント
これまでのアナザーストーリーでは、尺の長さはだいたい同じでやってきたのですが、今回ばかりは長くなってしまいました。
なお、アダムが「マザースフィアを開発し、ネイティブを創り出したラファエル・マークスその人である」という設定はオリジナル版を踏襲しています※この事実はストーリーの中では語られておらず、クリア後にゲーム内メニュー「データバンク」にてアダムの紹介文を見ると書かれています。
筆者が創作したアダム(エルダー)に関する要点は以下です。
イヴを助けた理由は以前のアナザーストーリー(#2)の通り。
アダムは、イヴを助け治療した時に、これまでのアンドロエイドスとは異なる兆候を見つけた。
アダムの思った通り、イヴはアルファコアに触れても侵食されない特殊な個体だった(以前のアナザーストーリー#2)。
そこでアダムは、イヴと融合することで、新たな人類に進化できると考えた。しかし、DNAを持たないイヴを進化させるにはマスターコアのエネルギーが必要だった。
信条として自分の創造物(ネイティブ)に自ら手を下すことはできない。自分ではない誰かなら問題ない(身勝手な理由)。
ザイオンのためハイパーセルを欲しがっていたオルカルを利用できると考え、オルカルを使ってイヴを誘導し、アルファコアを集めさせた。
融合したあとは、当然のように自分の自我が残ると考えていた。
しかしイヴには、EVEプロトコルが組み込まれており、競合したアダムの自我は消滅した。
また、アダムのレイヴンに対する関係性における創作ポイントは以下です。
基本的に放し飼いにしていたが、天使狩りへの執着を目障りに思っていた。
オルカルのアルファコアを狙ったことを知り、計画の邪魔になった。
イヴが間に合わなければ、オルカルもろとも始末するつもりだった。自分の邪魔になるなら、排除するのは問題ない(身勝手な理由)。
うまく脚本にできていると良いのですが。このあたり、なかなか客観的な評価は難しい。長さ的にはオリジナル版がギリギリな気もしますので、独り語りとしては長いでしょうね、やっぱり。
筆者としては、レイヴンは悪だけれども、どこか悲壮感のあるダークヒロインにしたいという想いがあります。となると、純粋な悪が必要で、やはりそこはアダムにやってもらうしかない。なかなかのサイコ野郎に仕上がったと思いますが、どうだろう。
このアダムに対して、「手を取る」選択をするプレイヤーはほぼいないと思います。そう、筆者のアナザーストーリーのトゥルーエンドは「手を取らない」選択の先にあります。
といっても、ここまでで筆者の創作したアナザーストーリーにおける全ての伏線は回収されており、あとは憎きアダムをぶっ倒して終わりです。
今回のアナザーストーリーの続きは#12-1、アダムを倒す分岐は#12-3です。