【フィクション日記】ゆれしずく

ガタン起き
窓の隙間に
駅の札

知らぬ名前に
硬直し

閉まる扉を
すり抜ける

溜め息も萎え
回れ右


眉間寄せ
無駄に時計が
一回り

遅れてはぁと
ピッと抜け

歩いて動く
屋根できて

上見てはぁと
傘買いに


紐を解き
羽を広げた
ご飯代

帰り坂道
涙流して

口をすぼめて
歩いてみても

濡れた金網
膝を打ち


乗り過ごし
傘買い滑り
膝濡らし

赤い信号
立ち止まる

向こう岸
傘も差さずに
笑い合う

淡い雫に
照らされて