coinu_82

お話書いたりするのが好きです。 クオリティーは低いです。

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最近の記事

記憶 …僕の中で残り続けるもの…

 誰かに言われた。お前のことなんか誰も覚えていない、と。誰かに言われた。おまえもいつかは全て忘れる、と。だが実際は違った。僕の記憶はずっと消えなかった。もちろん楽しいこともたくさんあった。でも、嫌なことの方が多い。いや、嫌なことの方が鮮明に覚えていると言ったほうが近いかもしれない。  僕は生まれてまもなく、親から離された。それからいろんな家をたらい回しにされてきた。僕がまだ幼い頃遊んでもくれない、ご飯もちゃんとくれないお兄さんの家にいたことがある。つらくれつらくて毎日泣いてい

    • 手紙

           君の誕生日の一番の思い出はなんだろう。欲しかったプレゼントをもらったりパーティーをしたり…  これは、誕生日にまつわる一組の親子の話。    一、息子    カレンダーを眺めながら微笑む。僕は明日五歳になる。欲しかった車のおもちゃがようやく手に入るのだ。 「春人、早くお風呂入って寝なさい。」 そう言うのは母だ。 「はーい。」 そう言って風呂に向かった。  最近はなかなか寝られなかったが今日はもう眠い。  そして誕生日、いつものように保育園に行き、帰ってきて、夕食を食

      • 私たちは親友

         行ったほうがいいのか。一週間前に送られてきた同窓会の出欠表をベッドの上で眺める。あの子は行くのだろうか。久しぶりに電話したくなった。 「あ、もしもし。久しぶり。うん、元気。莉音は?そうなんだ。今度会おうよ。うん、じゃあね。」  結局出欠は聞けなかった。携帯の電源をつけたままベッドで寝落ちしてしまった。  翌朝、起きると泣いていた。中学生の時の夢を見たのだ。思い出す。あの日々。      制服なんて嫌いだな。固苦しいし。小雨の中の入学式。 「中学生になった感じしないね。」 「