もし来年、ここにいなかったら?
新卒で入社して約10年が経った。
10年いたら色々なことがあるもので、組織再編により元々入社した会社が統合したことによって、入社当初と今で、私の所属する会社名が変わっている。
社名が変わっただけではなく、やっぱり文化も違うなあと感じることは多い。どちらかというと吸収された側の人間にとって、自分がこの組織でマイノリティであると自覚させられる瞬間は少なくない。
目を輝かせて尋ねてくる学生には大きな声で言えないが、聞かれて困る質問ナンバーワンは入社理由。
「気がついたら」「いつの間にか」「なんとなく」今いるところに流れ着いたというのが正直なところだ。
そもそも、結婚相手にしろ住まいにしろ、「これがいい!」と決めて選んだとしても、100%満足いく状態が未来永劫続くとは限らない。
大好き!と思った結婚相手と暮らしていても、畳んだ洗濯物を何日間も放置されたら捨ててやろうかと思うし、
日当たりも風通しも良好で選んだ部屋も、隣や上下の階の住人次第では引越しを検討し始める。
自分の意志で選んだものでさえそうなのだから、自分で選んだ実感がないものなら尚更ではないか。言い訳がましいかもしれないが、選択権がなかったのは事実だから。
「転職」がベストな選択かはまだわからない。
「転職をしない」という選択に結局落ち着くかもしれない。
けれど、「もし来年、自分がここにいなかったとしたら?」と想像してみる。そう遠くない未来に、自分は何にエネルギーを注いでいたいか、何をして喜んでいたいか(某ヒーローか)、そこに至るまでにどんなステップを踏むべきか、内省するきっかけになる。
未来のことはわからないけれど、来年の私が今より少しでも納得感のある生き方ができていたらいいなと思う。想像することは人間の最大の特権なのだから。