宇宙の向こう
宇宙の向こうはどうなっているんだろう?
幼稚園のとき
日本っていう星、アメリカっていう星があって
飛行機で行き来できるんだと思っていた。
どうやら地球は丸いらしい。
日本もアメリカも海でつながってるらしい。
嘘だ。丸いわけがない。
道はまっすぐじゃないか。
下を歩く人は逆さまか。
5歳の私は、地球平面説を唱えていたらしい。
まっすぐ歩けば
まなみちゃんのお家にも行けるし
アメリカにだって行けるって言うのに
まっすぐはまっすぐじゃないらしい。
どうなっているんだよ。
地球は大きくて緩やかに湾曲しているから
歩いてて丸さを感じることはないそう。
水平線に向かう船がどんどん沈んでいく。
あれは沈んでいるのではなく、
地球が丸いからそう見えるのだそう。
そうか〜。地球は丸いのか〜。
7歳。地球球体説、納得。
8歳。理科の時間。
どうやら地球は回っているらしい。
しかも自分で回りながら、
太陽の周りを回ってるらしい。
え、回ってないよ。
太陽は東から西に移動し、
スクリーンのように昼夜が変わっていく。
だって私は寝るとき逆さまになってない。
定点観察して太陽が動いてるから?
いや、定点は地球でしょう。
春も夏も秋も冬も太陽は私に付いてくる。
私がいまみてる空こそが宇宙。
宇宙が地球の周りを回っているんだ。
8歳の私の考えは、天動説というらしい。
ちょうどそのころ、
図書室でガリレオガリレイの伝記を読んだ。
木星の周りを回る衛星を発見し、
全ての天体が地球の周りを回るという
天動説を否定したそう。
金星の満ち欠けや大きさの変化を観測し、
惑星が自分で発光しないこと、
太陽の周りを回っていることを
発見したらしい。
ガリレオは地動説を唱えたことで
裁判にかけられる。
それでもガリレオは地動説を信じた。
ガリレオが、地球は動いているというなら
地球は動いているんだろう。
10歳。地動説、納得。
地球の自転については
ニュートンの伝記を読んで
地球は磁石みたいになってるから
夜は逆さまになってるわけじゃないらしい
ってことで納得したと思う。たしか。
宇宙の向こうはどうなっているんだろう?
これは幼稚園の頃からずっと考えているのだが
なかなか正解が見つからない。
12歳の小春は、
宇宙はスノードームのようになっていて
3人の神様が宇宙を見て楽しんでいる
という結論を出した。根拠はない。
そう思うと楽しかったのだ。
天体研究をしている知り合いにこの話をした。
宇宙の向こうは観測できないため
研究者の及ぶ世界ではないらしい。
だから、正解はないらしい。
宇宙の向こうは自由だ。
夢がつまっている。