大人になる
23歳。いつ大人になるんだろう。
20歳になったら、社会に出たら、
結婚したら、出産したら、
いつか大人になれるんだと思っていた。
小さいときに思い描いてた大人。
大人ってすごい。
車が運転できる。
お酒って飲み物も飲める。
夜遅くまで起きてても怒られない。
宿題はないらしい。
大人はいつも正しくて
強くてかっこよかった。
でも、思っていたより大人は正しくない。
悪いこともするし、弱いし、かっこわるい。
私はきっと子どもになりきれなかった。
母が大好きで、母がすべてで、
母が周りに褒められることが一番だった。
「あの子、ひとり親だから」
「あの子、お母さん若いから」
ちがう。そんなことない。
お母さんは
私を全力で愛してくれているし、
全力でお母さんをしてくれている。
私が良い成績をとれば、
良い子でいれば、
お母さんは認められる。
両親がそろっているあの子よりも、
親が教師をしているあの子よりも、
誰よりも良い子でいなければならない。
私はお母さんの子育ての成果だから。
でも、思っていたより母は正しくなかった。
悪いこともするし、弱いし、かっこわるい。
そんなことを認めたくない私は
私が生まれてきたから、
私がいるから、私がいなければ、
といつまでも思っている。
そんな私でも
最近、気がついたこともある。
「あの子、ひとり親だから」
「あの子、お母さん若いから」
と言っていたのは、きっと私だ。
母と私はちがう人間。
私がいくらがんばっても、
母の人生は変えられない。
母の幸せを決められるのは、私じゃない。
人生は子ども時間と
大人時間が決まっていて、
子ども時間を消化しないと、
大人になれないのだろう。
子どもは誰にでも愛されるべき存在だ。
この世に生まれてきたみんなは
誰しも平等に愛されなくてはならない。
大人になれない私たちは
他人からも自分からも
もっともっと愛されていいんだ。
そんなことに気がついた
私は、ちょっと大人になったと思う。