【教育】『一斉指導10の原理100の原則』堀裕嗣
授業づくりには教師の仕事のすべてが凝縮されている
冒頭の一文で背筋が伸びた。
時代の主流となっている「協同学習」や「ファシリテーション」。
それらを機能させるためには、子供たちを納得させたり捌いたりする手法を身に着けなければならない。まさに、その通りだ。一斉授業の中で、ヒドゥンが生まれている。子どもが「教師を見る」大部分は一斉指導場面だ。この一斉指導を上手く成立させなければ、すべての教育活動に影響が出てしまう。
この本は何度も読み返しているが、今回は「説明」の部分が印象に残った。
教師はもっと、語らなければならない。
インストラクションの原理―学習趣意の明確化―
なんのためにそれを学ぶのか、子どもたちにはっきりと伝えるのです。授業において教師が<学習趣意>を語り、授業の<目的>を明確にすると、子どもたちは見違えるほどに授業に集中して取り組むものなのです。
たしかに、先が見えないまま授業を進めていても子どもは乗ってこないだろう。授業研究会などに参加した時の自分がそうであるように。<目的>や<価値>を語ることが重要なんだ。堀先生は、学習趣意を明確化することを<インストラクション>としており、6つの大切なことを述べている。
1、学習事項の価値
その授業における学習事項が実用的なものであれば社会に出てどのように役に立つのか、教養的なものであればどのように自分自身の生活を豊かにするのか、それをできれば具体例を挙げて説明します。
割り算の勉強であれば、「今日の授業が終わったころには、兄弟でお菓子をバランスよく分けることができるようになるよ」とかかな。理科の蒸発を勉強するときなんかだったら、「みんな、昨日まであった水たまりがなくなってる!って思ったことない?今日はその秘密がわかるようになるよ」とかどうだろう。
2、授業のフレーム
その授業のフレームが<知識>を得ることなのか<技術>を身に着けることなのか、或いは既に習った<技術>に使い慣れることなのか、それとも既習事項からふさわしい<技術>を考え判断することなのか、そうしたことを明確に規定する必要があります。
この授業の目的が「習得」「活用」「探究」のどれにあたるかを伝える。「今日の授業は、掛け算のひっ算のこの問題を、教科書のこの解き方を使って解けるようになることだよ」とか。「今までの学習のまとめのページを、全問解けるようにしよう」とかかな。
3、到達すべき目標
その授業の学習事項を何をもって到達したと判断できるのか、その到達目標を明確にしてあげることも<インストラクション>の大切な要素です。
「~がわかる」「~ができる」など「ここまで到達すればいいんだよ」という規準を教師が伝えてあげることが大切。堀先生が昨今の子どもたちには、やるべきことを理解し、やるべきことの目的がわかり、到達すべき目標を理解したとき、教師が驚くほどの集中力をもって取り組む傾向があるとおっしゃっている。まさに、その通りだと思う。というか、僕自身もそう。大人子供かかわらずその傾向はあると思う。これをもとにした授業計画シートをつくろうかな。
4、目標到達への方法
何をどうすれば目標に到達できるのか、その<方法>の説明は<インストラクション>において最も大切な要素です。
「教科書のこのページを見て」とか「調べたり実験して」とか「友達にアドバイスをもらって」とかになるのかな。友達と交流する場合は交流の仕方まで詳しく伝えなければ。モデリングをしたり。
5、方法の価値
なぜこういう読み方をしなくてはならないか、なざこのような検証の方法をとるのか、小集団で交流することにどんな価値があるのか、そうしたことを将来の社会生活との関連で具体的に語ってあげると、子供たちの意欲が驚くほどに高まるものです。
自分はどれほど語れているだろうか。語ることのできる大人になろう。それも、一貫して語ることができる内容の芯が必要だ。
6、子どもたちへの励まし
下位の子どもたちは自分がその学習活動にちゃんと取組めるのかと、自信をもてないでいるものです。教師は「大丈夫。きみにもできるよ。自信をもって取り組め」と励まし続けなければなりません。
これは意識的に取り組めているかな。
以上、インストラクションのポイントでした。このほかにも、「説明の命は具体例だ」「事象の説明の命は見える化だ」「方法の説明の命は見通しだ」「事前に起こりうるミス事例を伝える」など、説明に対してこんなに細かく考えるのかというところまで考えられている。
「説明」は、「発問」と「指示」を支えるもの。どんなに優れた発問や指示も、説明がしっかり伝わっていなければ機能しない。
今日の記事の内容は、この本のほんの一部。まだまだ学ぶ内容は盛りだくさん。とくに若手教師は、必読の書ではないでしょうか。
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