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なぜモスバーガー戦略なのか:AI時代に求められる、独自の価値提供

広報担当のさおりすです。あっという間に年が明けてもうひと月が経とうとしています。2025年の幕開けにあたり、年始のご挨拶と共に、当社の展望についてお伝えしたいと思います。

改めまして設立5期目を迎えたテクノロジースタートアップであるSDT株式会社は、韓国本社の日本法人として、電子契約サービス「CoffeeSign」と生成AIサービス「Panorama AI」を軸に事業を展開しています。今回は代表の乾に、2024年を振り返りつつ、2025年に向けたビジョンについて話を伺いました。

*プロフィール*
乾泰行
セキュリティ(主に電子認証)に専門性を持つフルスタックエンジニアとして25年の経験を持つ。いくつかのスタートアップ立ち上げを経験し、2020年10月よりSDT株式会社日本法人の代表取締役に就任。AIやIoTといった先進技術を活用したサービスを提供している。
神奈川県藤沢市在住。自宅から5分の湘南の海で毎朝30分、波に乗ってから仕事をするのが日課。


独自のポジションを目指して

ーー 2024年を振り返ってみていかがでしたか。

まず、2022年にスタートした電子契約サービス「CoffeeSign」について2024年は、ユーザー数が8,000社を超え、1万社突破という次の目標も見えてきました。多くの方にサービスを利用いただけたことが嬉しく、また、サービスを知ってもらうという意味でも、ユーザー数の積み上げの大切さも実感しています。

企画当時、『マクドナルドでもバーガーキングでもなく、モスバーガーのような存在をだせないか』と話になったことがあるのですが、2年間やって、改めてその方向性が鮮明になってきたと感じています。

大手企業の電子契約サービスは、便利な一方で機能が多くなりすぎているところもあり、使いにくさを感じている顧客もいると思います。CoffeeSignは、初めて電子契約を使う方にも「親しみやすいデザイン」と「シンプルな機能」「法的な信頼性」を備えていることから、大手とは異なる、独自のポジショニングを築けていると手応えを感じています。

ユーザーとしてご利用いただく方のなかには、ヨガ教室の先生や美容関係、ラグジュアリーブランドの方もいらっしゃり、CoffeeSignのデザイン性にも共感し、選んでいただけているのではないかと感じています。他にはない独自路線を、さらに突き詰めていきたいと考えています。

ただし、サービス設計における課題も見えてきました。当初は「使わない月の料金負担を避けたい」というユーザー目線から、まずは気軽にお試しいただけるよう『5件送付まで無料』という料金体系を採用しました。

多くのユーザーの皆様に便利にご利用いただいている一方で、無料枠のみの利用にとどまるケースも少なくありません。より多くのお客様に継続的にご活用いただくことで、お客様の業務効率化とCoffeeSignの持続的な成長の両立を目指し、さらなる改善に取り組んでいきます。

ビジネスは日々の積み上げが大切です。ローンチ以降、noteや広告で多くの方に知っていただくためのマーケティングを継続してきたことで、相乗効果も出てきています。これからも地道に、でも着実に成長を続けていきたいですね。

生成AIで企業や行政機関、医療機関の可能性を広げる

次に、2023年にローンチした生成AIサービス「Panorama AI」については、複数の自治体や企業との協業を通じて、着実に実績を積み上げています。スタートアップにとって、このような実績とPMF(Product Market Fit)の構築は非常に重要だと考えています。

生成AI分野は競合が増加していますが、同時に技術の進化も加速しています。チャットによるテキスト生成から音声生成へ、さらには音声を活用したエージェント機能へと、サービスの可能性は日々広がっています。正直、寝ている場合じゃないですよね(笑)私自身、年始から休みを取る間もないほど開発に注力していますが、それだけ業界全体が急速に進化していると実感しています。

私たちは医療系や行政分野で培ってきたノウハウを活かし、特定領域に特化したポジションを目指しています。これらの分野は、GAFAMも本格参入していない、いわば未開拓の領域です。こうした分野でのノウハウを着実に蓄積し、さらに専門性を高めていきたいですね。

静岡県磐田市と生成AIの活用による業務効率化の実証実験に関する連携協定を11月21日に締結https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000072986.html
別府市、大分大学医学部との産学官連携による生成AIを活用した事業における実証運用の開始https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000072986.html

PRTIMES記事

韓国本社の躍進から見える未来像

ーー2020年にSDTの日本法人を立ち上げて5年を振り返っていかがですか?

昨年末、韓国本社を訪問した際、その成長に驚きました。日本法人より2年早く設立された本社は、数人での立ち上げから7年で80人規模にまで成長。既存の一般的なオフィスに加え、天井の高い大きな扉を備えた工場・ラボのような拠点も持ち合わせ、今年3月からは量子コンピューターの製造ラインの稼働も予定していると聞いています。

韓国の工場・ラボのような拠点を訪問

韓国本社の大きな強みは、必要なものを自社で製造できる体制を整えていることです。これは一般的なスタートアップとは異なる特徴だと考えています。

新製品のアクアラック。冷却用の液体にサーバーを直に入れています。
昨年末、ソウルでの幹部会議の様子

一方、日本法人は日本市場の現実を見据えた堅実な経営を基本としています。規模拡大を追うのではなく、筋肉質な組織づくりに重点を置いています。韓国本社の目覚ましい成長を身近に感じながら、日本法人としても独自の存在感を示すべく、全力で取り組んでいます。

また、2025年は生成AI技術が大きく進化し、単純なテキスト生成を超えて、より高度な業務やプログラミングまでをこなすことができる新たな時代の幕開けとなっています。

この変革期において、当社では生成AIアシスタントの可能性を探るため、あえて実際の執務スペースに専用の座席とパソコンを設置し、1月3日より本格運用を開始しました。これは、生成AIを単なるツールではなく、人材と同様の戦力として活用できる可能性を探る実験的な取り組みです。

現時点では、操作や指示出しに予想以上の時間を要し、効率化には課題が残ります。プログラミングなどのエンジニアリング分野においても、実用レベルに達するまでにはまだ少し時間がかかりそうです。しかし、この取り組みを通じて、生成AIと人間が協働する新しい働き方のモデルを模索していきます。

2025年、3つの柱で飛躍を目指す

ーー2025年の抱負について教えてください。どんな年にしたいですか。

2025年は3つの柱を軸に展開していきたいと考えています。

1つ目は、CoffeeSignならではの持続的な成長です。「親しみやすさ」と「シンプルさ」を追求する独自路線を、さらに磨き上げていきます。

2つ目は、生成AI分野での展開です。新たな技術が次々と登場する中、医療・行政分野に特化した私たちならではの価値提供を目指します。特に、業務効率化や生産性向上に向けた実用的なソリューションの開発に注力していきます。

3つ目は、強固な組織基盤の構築です。韓国本社の躍進を身近に感じながらも、日本法人として筋肉質な組織づくりを進めていきます。特に生成AIの台頭で変化する働き方に柔軟に対応し、一人ひとりの生産性を最大限に引き出せる組織を目指します。

これからの数年で、中小企業や医療機関、行政機関がAIを活用することで、業務効率や生産性を飛躍的に高められる時代が来ると確信しています。

そのとき重要になるのは、AIツールの提供だけでなく、各分野の特性や課題を深く理解した上での適切な導入支援です。私たちは電子契約サービスで培った「使いやすさ」への徹底したこだわりと、生成AI分野での専門性を活かし、大手企業だけでなく、より多くの組織がテクノロジーの恩恵を受けられる橋渡し役として、その責任を果たしていきます。


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