一攫千金をねらいたい
文化大革命のとき、「我々中国はイギリスを5年で追い越す」ということで、中国において「大躍進政策」が行われました。その一つが、8億人分の食糧を確保するため、農作物を荒らすスズメを駆除する「打麻雀運動」です。
雀を駆除してどうなったか?
それまで雀が捕食していた外虫が増え、農作物は壊滅的な打撃を受けました。
この話を聞いて、そんなの当たり前の、そんなにわかりやすい、そんなアホなことが行われたのか、と思います。
しかし、当時、本当に、そんなアホなことが行われたのです。
話は変わって、
胃酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬という薬があります。
この薬を使うとどうなるか?
当然、胃酸は抑制されますが、プロトンポンプ阻害薬の使用によって、大腿骨骨折を1.25倍、脊椎骨折を1.5倍増加させます。
また、プロトンポンプ阻害薬の使用で胃酸分泌が長期に抑制されると、口腔粘膜細菌叢が腸管内で増加し、これにより脂肪吸収障害が起こり、ビタミンD、カルシウムの吸収が阻害されてビタミンD欠乏症や、カルシウム不足で骨粗鬆症が生じやすくなることがわかっています。
さらには、プロトンポンプ阻害薬の使用によって認知症の発症リスクが高くなることも証明され、この薬の使用を避けると認知症の発症を予防できる可能性があると考えられています。
つまり、特効薬的なものを使って、一攫千金や、一発大逆点をねらっても、その多くはうまくいかない。多すぎる胃酸の分泌を減らすためには、薬を飲むよりも優先させることがあるはずです。
単にうまくいかないだけならまだしも、食料がなくなったり、骨折が増えたり、認知症になったりなど、意図したこととは真逆の結果になってしまうこともあります。
読んでくれてありがとうございます。
まずは地道に、コツコツと。