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悪人顔のMyマイナンバーカード
マイナンバーカード更新のお知らせが届いたので「早っ!作ってからもう5年も経つのかぁ!」ってびっくりした。
月日が過ぎていくスピードが年々増している。
大事なことを忘れる確率も日に日に増し増しなので、忘れないうちに手続きしようと地域の役場へ出かけた。
役場の受付カウンターの脇に、クマちゃんの柄の手作りのカーテンで囲まれた秘密基地っぽいスペースがあり、そこに案内された。
見ないでー見ないでー、と思いながら写真を下向きにしてマイナンバーカードを職員さんに渡し、パソコンに暗証番号を入れたら、あっという間に更新完了。
「次は5年後の令和12年に更新になります。その時は、新しいカードになりますから写真を撮り直していただきますね。」
と言われて、あと5年の辛抱だな、と思った。
マイナンバーカードの私の写真が怖すぎる。
眼光鋭く睨みつける目、ギュッと結んだ口元。
完全にガンを飛ばしている。
だから、人様の前に出すのが嫌だ。
なぜ、もう少し良い表情の写真にしなかったのか、悔やまれてならない。
ガラの悪いあの顔の出番なんてほとんど無いと思っていたのに、なんだかんだと出場する機会があるので、その度にヒヤヒヤしている。
あれは5年前の夏の日、当時、マイナポイントがもらえるというエサに食いついて、夫と一緒に作ろう!と張り切ってスマホでポチポチ、申請作業を頑張っていた。
写真は背景が白ならばいい、ということだったので、白い壁を背に、お互いに写真を撮り合うことにした。
しかし顔に影ができたり、上から撮り過ぎたり下から撮り過ぎたりしてなかなかうまく写真が撮れず、2人が四苦八苦。
しかもその日、美容院に行く予定だった私の髪はぴょんぴょんと跳ねてまとまりがなく、真夏だったので汗で化粧も崩れ、やけにやつれた顔をしていた。
夫はいっつも同じ顔だからいつでもオッケーだろうけど、私は写真日和ではなかったのだ。
まぁでも、後回しにしたら夫はもうカード作りをやらなくなりそうだし、2人ともちょっとめんどくさくなってきていたので、背景の白とのバランスが良ければもう良しとすることにした。
どう見ても私の写真は失敗作だ。
夫を睨んでいたので、犯人のような顔になっている。
とにかく早くこの作業を終わらせたくて、イケてない顔写真を使ってサクサクと申請をした。
後日、出来上がってきたカードにガッカリ。
これはもう封印だなーと思って、封筒のまま引き出しの奥に仕舞い込んだ。
そういえば、運転免許証の写真って、どなたも皆さま、わりと悪人っぽい顔になりやすいと思う。
私もご多分に洩れず、現在の運転免許証もバッチリ悪人顔をしてる。
しかも、なぜか髪が右だけぴょんと跳ねている。
3回くらい前の運転免許証の顔は、わりと好きだった。
更新したくないと思ったくらいだ。
なんというか、ポーっとしてアンニュイ(ちょっと、意味はわかりませんが)な感じの表情だった。
更新したら古いものは回収されるので、さよならが残念過ぎて、運転免許証の写メを記念に撮っておいたくらい気に入っていた。
いつもあんな風に、お気に入りの写真を証明写真に使えたらいいんだけど。
警察署で「真顔でお願いします」と言われて証明写真機でパシッと撮ってもらう写真は、当然のように畏まった顔になるから、できれば「笑顔でどうぞ!」って写してもらいたいものだ。
マイナンバーカードが健康保険証や運転免許証の代わりに使えるようになる、ってことは、しょっちゅう、あの悪人顔を人様に見せることになってしまう。
外に出たら常にマスクをしている私なので、「マスクの下は怖い顔なんだな」と思われるのは嫌だけど、あの顔も私だから仕方ないか。
次回、5年後の更新では、もう少し口角を上げて、目をニンマリ風にしてみようかな。
アンニュイ風(言いたいだけ)も捨てがたいな。
でも、今から5年後ってことは、今のカードの写真から10年後だから、かなり老け顔になってる、ってことか。
だとしたら、あの写真のままの方が若見えしていいかもしれない。
そんなことをマジメに考えながら役場を出て車に乗り込み、ふと、テレビで観た「顔の体操」を思い出した。
今のうちからやらねば!って思い、口を「あ、い、う、え、お」って大きく開けたり、舌をアゴ方面へベーって伸ばしてみたり、目の下辺りを上げ下げしたりして、超変顔で顔の表情筋体操をやっていたら、駐車場の一部を整備するため工事をしているおじさまが真正面からジーッと私を見ていた。
変なおばちゃんがいるな、と思っただろうなぁ。こんな時こそ、マスクをしとけばよかったよ。
マイナンバーカードの写真を恥ずかしがる前に、日頃の無防備さに気をつけたいものだ。