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Photo by
エマヌエル・ロイツェ / メトロポリタン美術館
「国外に居た」という既成事実をあまり持たない者が、
どうしてこれほどまでに飛び出すことを希求し、
その先々での出来事に大げさな期待まで抱いてしまっているのだろうか。
それは、
さらなる刺激に飢えすぎているから?
刺激の知覚レーダーに、もう何も反応しなくなったから?
いや間違ってはないが、的をわずかに外している。
自分の中に異国を作りたいから、
それももっと強固な異国を作りたいから。
単なる母国との比較程度で済む完成度じゃ、
はなからこんな海外周遊宣言なんてしない。
国外でハイエナのようにバタバタと這いずり回って、
ようやく得られ、そして、
幾千もの脳内回路で連鎖していくであろう、データドリブンと
世界中を回る中で偶然出会うであろう新たなる仲間ら、
そして彼らとの合作への挑戦をも通じて、
初めて確固たる異国が私の中で育まれるのである。
また、
その幻影には、泥臭さ、汗臭さが濃くまとわりついているようだ。
いま、本来ならば
「予感」と記すべきところを断定的に表現したのは、
私のこれまでの忸怩たる思いの何層もの積み重なりから、
国外へ飛び出すしかないと悟った体験も踏まえての判断である。
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