物欲との戦い方
ガジェットが好き。新製品が好き。新機能を体験してみたい。
僕は、ガジェットが好きで、毎年新しいiPhoneが出ると、買いもしないのについついレビュー動画や記事をチェックしてる。
カメラも持ってるくせに、もっと軽量のもの、もっと手振れ補正がきくものが出ると、試してみたくなる。
やれ画角が違う、やれ処理速度が違う、やれ充電が早くなった、より使いやすくなったって、色んな言い訳してついついポチリたくなる衝動と日夜戦っている。
誰にも調べてって言われてないのに、勝手に調べて、勝手に欲しくなって、勝手にその衝動と戦って、勝手に疲れてるなんて、なんともおかしい状況。
そんな状況を打開すべく、今回は少しだけ掘り下げてみようと思う。
代り映えしないのに何故か気になる
スマホ、カメラ、PC、タブレット、イヤホン。
普段日常で使っているガジェット。
僕自身、各ガジェット毎にお気に入りのメーカーがあり、それぞれの製品に愛を注いでいる。
しかし、お気に入りの製品の新しいバージョンが出れば、ついついチェックして、「どこがどう変わったのか」を知りたくなってしまう。
ここ数年は技術の頭打ち感もあり、バージョンアップしたとは言え、劇的な変化はなく、どれも旧バージョンと大して変わり映えしないのに。
例えば、スマホ。僕は中古で買ったiPhone XSを使ってる。
現行機の2世代前のiPhone。
最新の12proは、超広角もついた3眼で尚且つ5G対応。LiDARスキャナまでついてて、チップも高速化。バッテリー駆動時間も伸びてる。
これを見ると、「うわー!すっげー!めっちゃ試してみたい!」ってなる。
「チップ変わったから更に早くなったのかな?超広角ついたならカメラ忘れたとき、代わりに使えるかな?バッテリーの持ちがよくなったのならモバイルバッテリー持ち運ばなくていいかな?」ってなる。
そして、それを体感したいって気持ちがどんどんと膨れ上がり、「欲しい」って気持ちと「買わなくてもいい」って気持ちとの全面戦争に突入する。
これを第二次物欲大戦と呼ぶことにする。
第二次物欲大戦は、製品が実際に発売されてから勃発する。
ちなみに、第一次物欲大戦は新製品の情報が正式に発表された直後とする。
戦いの末に得たものは
第二次物欲大戦が開戦した直後、欲しい軍は新製品レビュー動画という援軍を引き連れて、更に侵攻してくる。かなりの大軍だ。
一方の、買わなくてもいい軍は「今のでも十分使える」「きっと体感速度は変わらない」という、これまでの経験がしっかりと身についているベテラン兵士と、新製品の高額な価格というATフィールド並みのシールドでショッピングカートの最後のクリックを阻止している。
ショッピングサイトを開いてはカートに入れ、合計金額を見てはサイトを閉じるという葛藤を繰り返す。きっとこれを買えば、荷物が減るとか、新機能のおかげで生活がより豊かになるという未体験な期待が、更に脳内のアドレナリンを分泌させて、「これにケースもつけるとどうなるかな」なんてシミュレーションまでやりだす。もう、買わなくてもいい軍の陥落は目前まで迫っている。
しかし、ここで冷静になって過去の戦歴を見てみる。これまで、何度iPhoneを買ってきたか。カメラ、レンズ、タブレット、様々なガジェットを購入してきて、実際何が変わったのか。
「古くなったPCの代わりに様々な作業ができるように」と思って買ったiPad pro。しかし、数か月後に「iPad proでもPCの代わりにはならない」という、まるで忘れられない恋人にでも言うかのようなセリフを吐いて、結局PCも買う。
挙句の果てには、どっちも持ち歩くという奇行に出て、ただ荷物を増やすという意味の分からない結果になるという始末。
過去のこのような体験を元に、導き出した答えが、「僕が欲しいのは新製品や新機能のガジェットそのものではなく、
これならずっと使えるという、安心感が欲しいんだ。」
そう、ガジェットという皮をかぶった相棒が。
探すから育てるへのマインドチェンジ
新しい機能、新しい製品に対して抱いていた物欲はこれで、新製品を欲しいという仮面を被っていた「相棒になるかもしれない」という期待だった事に気付けた。
今度は、相棒を買って探すのではなく、今いるガジェット達を相棒に育て上げるという考え方に変えていこうと思う。
日々新しい製品が出るなか、新機能やハードウェアのアップデートはかなり魅力的だ。物理的な部分なだけに、自分でどうこうできる問題ではないし、新製品の方がより優れている点がある事は当たり前だ。
ただ、その新機能やハードウェアのアップデートが、自分に直接関係あることなのかどうか。正直、今持っている旧バージョンの製品ですら使いこなせていないし、使いこなせる自信もない。そもそも「使いこなしている」というボーダーラインですらどこなのか分かっていない。
スマホのレンズが2眼から3眼に変わっても、僕はどうせカメラを持ち歩く。それならば、スマホのレンズが3眼になろうが、4眼になろうが関係ないよね。どうせ自分が納得のいく写真はスマホでは撮れないんだから。
それならば、壊れるまで愛して使って、何なら修理して、また壊れるまで使って、それから買い替えて、劇的な変化を体感する方がいいんだと思う。
今持っているガジェットに特に不満はないが、かと言って満足しているわけでもないって思ってたけれど、僕は欲深いから何を買っても満足はしない。
新しいものがでる度に、よだれを垂らして欲しがるに決まってる。
でも、そのサイクルから少し外れて客観的に見たとき、今持っているもの達も、自分の使い方次第で相棒になり得ると思えた。だって、どうせ新製品でも一度でも体験すれば、「こんなもんか」って思うのは分かってるから。
高いお金を出して、そこからまた、新しい機能や使い方を学んで、仲を深める?それって、すごく面倒くさいよね。
今手元にあるもの達も、メニュー画面や設定画面を開くときっと、「これって何?」とか、「こんなのあったっけ?」って思える機能があると思う。
それをいじりながらまた相棒との仲を深めるのもいいものかもしれない。
僕と同じように、新しい製品が出るたびに物欲と日々戦っている人が少しでも楽になれるよう、この記事を捧ぐ。