コーヒーにまつわる漢字の読み方使い方について〜コーヒー焙煎職人のつぶやき〜
コーヒーにまつわる漢字の読み方使い方について
だいぶ陽気も締まってきて冬の足音が聞こえてきたこの頃です
ネットではコーヒーにまつわる漢字の使い方や読み方について話題になっていることが多いですね(笑)
いりたて
いりたてという場合、焙りたて、煎りたて、どっちでしょうか?
生豆という場合、なままめと読む人もいれば、きまめと読む人もいます。
どちらが正しいのでしょうか?
ここでは個人的に思うところを書いてみようと思います。
先に結論を述べますと、その人が使いたい方を使えばいいのかなと思っています。
使っている人はいろいろな考えがあってその言葉を選んでいるのでしょうからね。
私の場合はいりたてという場合、焙りたてという方を使っています。
その漢字が持っている意味とニュアンスが大切と思っています。
例えば、煎という字は煎じるというイメージがあると思います。昔から煎じ薬というふうに使われてきました。
水を介して火力で煮詰めていく行程を昔から煎じると言っていますね。
そのことから煎じ薬の煎じるをイメージする人が多いのではないかなと思っています。
一方、焙煎の焙の字は焙じると言われるように、火力を使って風味を作り出していくような意味に使われていました。
良く知られているのは焙じ茶ですね。そういったイメージがあるように思います。
私の場合には正に風味を作り出していく作業が焙煎なので、焙という字を使って焙りたてと表記しています。
また、余談ですがコーヒー豆を焼くという人もいるようですが、自分的には焼くというのはその目的を考えると少し違うイメージがあるように感じています。
お茶も焙煎すると言いますが、焼くとは言わないのと同じ事だと思っています。
言葉は生きている
しかしながら言葉は少数の人にしか使われてこなかったものでも、何かのきっかけで多くの人が使うようになればそれが正しく主流の言葉になっていくものです。
言葉は生きています。
その時その時で色々形を変えていきます。
使う人が柔軟に対応して使っていくのがいいのではないでしょうか。
昔は全然ときたら~ないというのが正しい使い方でしたが、最近では全然~という使い方も正しいということになり普通に使われるようになりましたね。
日本語の言葉はでニュアンスの伝わり方が使い方によって異なってくるおもしろい言葉です。
例えば月のあかりという場合、
つきのあかり、
月のあかり、
月の明かり、
それぞれ読む人が受けるニュアンスが微妙に異なって伝わると思います。
果たしてそういった細かいニュアンスを使い分けることができるのは、日本語の素晴らしい一面だと思っています。
またこうでなければならないと一つに絞ってしまうのは、なんだかもったいない気がしますね。
生豆
生豆、この読み方に様々な意見があるのだといいます
昔から私の周りでコーヒーに関わってきた人達は皆きまめと言っていました。
また、なままめという言い方が正しいという方もいられますが、
何か理由があってその読み方が(きまめ)が使われてきたと思うのです。
なので間違いということはないと自分は思っています。
例えば生醤油(きじょうゆ)というと出来立てのお醤油で熱処理をしていないお醤油のことを言いますね。
あとは生のまま(きのまま)というように、元の状態のまま、加工していない状態のこと、つまり未加工の状態を表す様、このことがきまめという読み方につながったのであろうと思っています。
なので、焙煎する前の豆もこれから焙煎するのですからきまめと読んでも間違いのないところだと思います。
また、なままめという読み方も間違いではないと思いますので、自分的にはどちらを使ってもいいのではないかなと思っています。
自分が使いたい方を使えば良いのかなと!
例えば車で言うと、エンジンのことを発動機っていうのがどうかということと同じと思っています。
意味が分からないほど難解な使い方には疑問がありますが、多くの人が聞いて意味が分かったり使ったりすることができるのであれば、それは言葉として正しいのだと思います。
今日は徒然とコーヒーにまつわる漢字について自分が思っていることを書いてみました。
どうぞ、素敵なコーヒー時間を!
2022年11月1日