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心お弁当 #毎週ショートショートnote

会社近くの「心お弁当」は、がっつりメニューが人気の弁当屋だ。店主は可愛らしい女性で、彼女目当ての客も多い。

しかし今日は出遅れた。店に着くとすでに売り切れ、僕はがっくりと肩を落とした。
ああ、毎日の楽しみが。

「残り物で良ければ詰めましょうか?」
「え?」
「お兄さん、いつも一番乗りだから心配しました」

そう言うと彼女は店の中へ入って行く。
僕を覚えていた。しかも特別待遇?

自然と顔がにやけるが僕はすぐに引っ込めた。いつの間にか、隣に大柄の男が立っていたからだ。
こいつ……いつも遠くから店を睨んでいる奴だ。

おい、と男に声を掛けようとした瞬間、「お待たせしました」と彼女が奥から戻って来た。

「どうも」
弁当を受け取ろうとすると「いつもありがとうございます」と隣の男から言われ固まった。

「あ、この人は夫です。お弁当は彼が作っていて」
「え?」
「緊張で顔が怖くなるって、お店には出ないんですよ。ね、心君」

二人の笑顔が眩しくて、僕は眩暈がした。

(410字)


たらはかにさんの企画に参加しております。
今週のお題「心お弁当」。
お昼時にみなさんの記事を読むとお腹ペコペコになりました(っ‎‎´‎‎༥`⊂)
お弁当っていいな。

以前のお題記事、ご紹介いただきありがとうございました。
楽しいものを書けるよう頑張ります〜

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