強すぎる数え歌 #毎週ショートショートnote
今日は、美香ちゃんの家でゲーム!
おともには、お菓子とジュースを用意して。
とーっても楽しい。ああ、幸せ!
「あ、もう五時だ」
「ほんとだ~」
もうそんな時間? そろそろ帰らなくちゃ。
「ま、待って!」
美香ちゃんが私たちを引きとめた。
「今日は親の帰りが遅いの……もう少しいてよ」
部屋の空気が一瞬止まる。
「あと一時間でいいから!」
「……じゃあ六時までいよっかな。あたしの親も遅いし」
「幸は帰る。門限はちゃんと守りたいもん」
そう言うと、幸ちゃんは本当に帰ってしまった。
私は美香ちゃんと莉奈ちゃんの視線に耐えられず、そのまま残るしかなかった。
少しくらいなら……いっか。
「ばいばーい!」
一時間後、外はもう暗くなり始めていた。
早く帰らなきゃ。
『どちらにしようかな』
え?
『どちらにしようかな』
突然、全身が震えだした。
『天の神様の言うとおり』
それが聞こえた瞬間、体の震えが止まる。
私は全力で家へ走った。
次の日から、莉奈ちゃんは学校に来ていない。
(410字)
たらはかにさんの企画に参加いたしました。
お題「強すぎる数え歌」
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