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World Deaf Cycling Championships【1000mスプリント】
9/6-15 世界DEAF選手権大会(ポーランド🇵🇱)に参加。
参加3種目(スプリント・ポイントレース・ロードレース)+ポーランド現地について、の4本に分けて書いていきたい。
今回は1000mスプリント編。
本記事の最後に、スプリントレースのダイジェスト動画を入れているので
ぜひご覧ください。
本題に入る前に
ここで今回の大会概要をご説明したい。
先述の通り「DEAF」という言葉があるように世界中の聴覚障がい者で、かつ各国で選出された強豪ロードレーサーが参加する大会になる。
では、デフリンピックとの違いは何だろう?
サッカーを例として、国際大会ではW杯とオリンピックが別々の大会として行われているのと同じ、といえばよいだろう。
今回の世界選手権の開催頻度も、デフリンピックと同様に4年に1度。
来年2025年には東京デフリンピックが開催されるため、
今回世界選手権ロードレース大会に参加することで海外選手の力量、海外選手に対する当方の現在地を把握する意味では大きな意義があった。
簡単に自己紹介
生まれつき耳が聞こえず、日常生活では補聴器を装着している。
大学時代はトライアスロンをやっており、インカレ完走レベル(だった)。
オリンピックディスタンスの自己ベストは2時間5分台。
大学卒業と同時にロードバイクに専念し始め、JBCFでは今年よりE1カテゴリで走っている。
よく周りの人に聞かれるのが「ロードバイクでレースに出る中で最大の目標は何なの?」ということなのだが、
今は「デフリンピックで金メダルを獲得する」のが最大の目標。
E1で優勝することではないのか?と突っ込まれることも少なくないが
耳が聞こえない人だからこそ目指せる舞台で勝つことに意義があると思っている。
だからと言ってE1優勝を目標にしていない、といえば間違った話になる。
デフリンピックで勝つためにE1優勝というマイルストーンを設けているため
E1レースに参戦する時は優勝を目指して全力で走っている。
レース
会場は小さな空港の滑走路。超フラットなコース。
レース開始1時間前まで小型飛行機が目の前を飛んでいってすごかった。
スタートから500mで折り返し、また500m走ってゴールというレイアウト。
200m TT予選→ベスト16を決める→2人で競い合い先着した方が勝ち上がる、という流れ。
またベスト16でのマッチは1発勝負になるが、ベスト8以降は2勝すれば勝ち進めるという形。つまり1回目で負けても2・3回目で勝てば次に進めるということだ。
予選
200mTT予選は、1000mコースと同じスタート地点からスタートして、ある程度スピードに乗った状態でラスト200mのタイムを計測する形になる。
予選のタイムは12.211
決勝トーナメントに進める16人中15位だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1726997966-w7CsqnE5h32JtglRFfZ4Kje6.png?width=1200)
予選(200m計測区間)のデータはこちら
追い風基調だったのでスピードも乗れていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1726998216-o4WEj3yXBsTKfJqAIFt5wle6.png)
予選を無事に通過できて一安心。
ベスト16
決勝トーナメントは先述の通り、ベスト16でのマッチは1発勝負。
組み合わせは予選1位と16位、2位と15位、、、の形になっていたため
予選2位のMax選手(ドイツ🇩🇪)と当たる。
あくまで予選タイムは参考として、ここからの戦い方は駆け引きが重要になるため相手が予選2位ということは全く気にしないようにした。
とにかく1発勝負なので思い切ってやるしかない、ということでスタート。
スタート直後にMax選手がやや飛び出したので、すかさず真後ろにつく。
その後ペースを落とすことなく牽引してきたのでギリギリまで後ろにつき、ラスト300mあたりで後ろから抜かして全力アタック開始。
そのまま抜かされることなくゴールを通過。
勝った。
![](https://assets.st-note.com/img/1727175778-dWJXmQj61DZ0E9AMcnLqUF7o.png?width=1200)
ベスト8
ここから戦い方が変わり、先に2勝すれば先に進める形になる。
相手はまたしもドイツ🇩🇪。今度はStefan選手。
1回戦は、結論から言うと当方の戦略の裏をかかされた形で敗戦。
スタート直後に思いっきりアタックをかけてきて、その後もペースを落とすことなく走ってきた。
他のマッチを見ていると、スタート直後からお互いお見合い状態のままゆっくり進み、最後に力勝負というのがほとんどだったことで
今回もゆっくりスタートするだろうと思っていたところを真逆の作戦を敢行してきたのですぐに対応できず。2回戦以降もあるため見送りそのままゆっくり流してゴール。
2回戦は、またしもスタート直後にアタックをかけてきたのですぐに対応し、300mくらい後ろについたところで相手もスピードを落としてきてこちらの様子を伺ってきた。
そして残り300m近くなったところでも状況は変わらずにスピードを落として様子を伺ってきたので思いっきりスプリント開始。
相手は対応できなかったようでかなりの大差をつけて勝利。
これで1勝1敗。
ゴール前300mからのスプリントになれば勝てる自信はあったので、自分の思い描く展開に持ち込むことができた。
そして迎えた3戦目。勝つことしか考えていなかった。
スタート直後は今までの展開とは異なり、相手も慎重になっているようでスピードを落としてお見合い状態に。
この時当方が前にいたので、少しアタックしてみたところすぐに着いてきたのでここは一旦スピードを落として再度様子を見ることに。
そして残り400mあたりで「そろそろスプリント開始か」というタイミングで向こうが仕掛けてきた。
強烈な一撃だったがすぐに反応できたためそこまで差はついていない。
自転車1.5台分くらいの差。
残り300mだったのでとにかく全力で走ったが、猛追は及ばず。
わずかな差で向こうが早くゴールした。負けた。
勝負を決めるスプリントのデータはこちら
![](https://assets.st-note.com/img/1727000903-vJ7rNzAPe8kZnKaybxi9ELT5.png)
30秒 平均971w
全力を出し切ったことがしっかりデータに反映されている。
3回戦は力の差で負けた展開。
最後の最後まで大接戦を繰り広げたStefan選手には感謝。
彼は直後のベスト4マッチで今回優勝したギリシャ🇬🇷選手にストレート負けしていたので上には上がいる。
その後5-8位決定戦は無く、予選の順位が適用されるルールだったため
最終リザルトは8位入賞となった。
予選通過時の順位が上位16人中15位と低かったことがかなり響いた。
来年の東京デフリンピックでは本気でメダルを獲りに行く種目なので
残り1年間でパワーはもちろん、駆け引きの面で経験値を積んでいきたい。
優勝したギリシャ🇬🇷選手、3位のポルトガル🇵🇹選手はともに各国のトラックレースで好成績を収めているという情報(ギリシャ選手は本人から聞き、ポルトガル選手は本人インスタ投稿より)があるので、トラックでのトレーニングも前向きに検討したい。
ダイジェスト動画
スプリントレースのダイジェスト動画が大変素晴らしいのでぜひ皆様にも見て頂きたい。
手話で話している風景もあるので、DEAFレースならではの雰囲気も感じられるかと。
(レッドブルは大会協賛だそう)