生まれてはじめて珈琲を美味しいと思った日のこと
コーヒーという飲み物が、ずっと、あまり好きではありませんでした。
いまみたいにコンビニコーヒーが出回り始める、ずっとずっと前のこと。わたしが知っているコーヒーは、インスタントコーヒーか缶コーヒーで、どちらも砂糖とミルクなしでは飲めなかった(そのままではぜんぜん美味しいと思えなかったから)
振り返ってみれば、これまで無数にしてきたアルバイトの中に、マスターが一人でやっている珈琲店で接客のアルバイトをしたこともあったのですが(上京して二つ目のアルバイトだったかな、住んでいたアパートから近いという理由だけで選んだような、、すでに記憶はおぼろげ…)、その時も、コーヒーは飲めなかった(いま思えばきっと美味しい珈琲だっただろうに…)
そのお店は、ハンドドリップではなくて、サイフォン式の珈琲店だった気がします。
そんなわたしが、生まれてはじめて珈琲を美味しいと思ったのは、金沢に戻ってきて半年ほど経ったころ。とある陶芸家さんの陶芸教室に行っていた2013年の春。
そのかたの陶芸教室は、生徒さんが何人か一緒に先生に教わる、というかたちではなく、一対一で一緒にうつわをつくるというもので、そのちょっとした合間の時間に「お茶の時間」を設けてくださっていました。
「お茶の時間」には、陶芸家さん自らが、コーヒーまたは日本茶またはハーブティーなど(コーヒーとお茶だったらどっちが飲みたいですか?など聞いてくれる)を入れてくださって、ちょっとしたおやつと一緒に振る舞ってくださるという、なんとも贅沢な時間…
そこで、コーヒー苦手なんですけど、飲んでみたいです!とお願いして淹れていただいたハンドドリップコーヒー。
それが、めっっっっっっっっっっちゃくちゃ美味しくて。
…え?なになになに!?
これがコーヒー?????????
コーヒーって、こんな飲み物だったの??????(衝撃)
め、めちゃくちゃ美味しいんですけど!!!!
砂糖とかミルクとかまったく要らないし!!!!
って、なって。
そのかたは、暮らし全般において、丁寧にモノやコトを見つめて物事に取り組むかたで、そういう視点からうつわをつくりだしておられるかたなのですが、そういうかただからこそ、淹れてくださった一杯のコーヒーも、豆の鮮度や湯温や注ぎかた淹れかたすべてにおいて気を配っていらっしゃって、だからこそ、ほんとうに美味しい珈琲だったんだろうな、って。いまならわかる。
それであまりにもわたしが感動してるのを見て「サイダさんも自分で入れてみたら? ^ ^」と、後日温度計とハンドミルをくださって。
その足でドリッパーとサーバーと珈琲豆を、そのかた御用達の珈琲屋さんに買いに行き、自宅に帰ってドキドキしながら淹れてみたら………
ぜんぜん美味しくない!!!!! +_+
同じ豆を使って淹れたのにぜんぜんちがうーーーー!!!!
って、なりました(淹れ方がよくわかっていなかった)
何回かチャレンジしたものの、せっかく買ったカリタのサーバーを割ってしまうなどのしょんぼりする出来事があり、当時のわたしは自分で淹れることを早々に断念してしまったのでした。
その5年後に、とある珈琲屋さんで働くようになり、
さらにその2年後、自分で移動カフェをするようになるなんて、
想像もしてなかったな。
ほんとうに美味しい珈琲を教えてもらったあの出来事がなかったら、
いまのわたしはきっといなかっただろうな、って思います。
人生、どこでどうなるか、どんな出会いがあるか、わからないものですね(生き続けていると、こんなふうに面白いことが多々あります ^ ^
その陶芸家さんがつくってくれていたみたいな「お茶の時間」(美味しい飲み物(コーヒーに限らず)と、美味しいおやつと、なんでもない話から人生相談まで)を、
今度はわたしが誰かに提供できるようになりたいな、って、思っています(´ー`)