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教育現場で働くすべての仲間へ

 小さな私立大学で働く、コーヒー好きの女性教員です。大学で働く前は保健体育の非常勤講師として高校で勤めていました。非常勤と言っても、週22コマ、ほぼ朝から晩まで授業授業授業。そして放課後の部活指導。もちろん土日も午前か午後は部活。そんな体育漬けの日々でしたが、20代後半頃から少しずつ大学での非常勤のお仕事が増え、30代前半でようやく私立大学の専任教員となりました。
 今後、大学や専門学校、高校などでの体験をもとに様々な記事(というか備忘録?)を書こうと思っております。少しでも若手教員や女性教員の気晴らしになれば幸いです。あくまでも私の経験(と言うか個人の意見)によりますので、すべての教育現場に当てはまるわけではなありません。文才もございませんので読みにくいところはご容赦を。

【スポーツ好きの体育嫌い】
 と言うわけで、今日はご挨拶がてら、私が体育の道に進んで1番強く感じたことを述べさせて頂きます。先述の通り保健体育の教員をしておりましたので、教員免許を持っているわけですが、そもそもそんなに体育は好きではありません。スポーツは好きです。この話をすると、はぁ?と言われるのですが、自己紹介ではかなりの頻度で「スポーツ好きの体育嫌いです」と言っております。はぁ?ですね。

【体育教師の「専門」】
皆さんが経験した体育は楽しかったですか?楽しかった方は、何が楽しかったのでしょうか?例えばバスケットボール。おそらくルールや技術なんぞそこそこに、ほぼほぼ試合形式でゲームをしたのではないでしょうか。体育教師は何を教えてくれましたか?座って見ていた、審判をしていた、人数合わせのために一緒にプレイしていた。色んなタイプの教員がいたと思いますが、その教員の中にバスケットボールを専門にしていた人はどのくらいの割合なんでしょうね。何が言いたいかと言うと、体育教師は特定の一つのスポーツに長けてはいるが、全てのスポーツに長けている者はほぼゼロだ、と言うことです。私の場合、一応、水泳とバレーボールの経験はありますが、大学で部活をやっていたわけではありません。別に体育教師になる人は、部活をやっていないと免許を取れないわけではないので、私のように大学時代に特段熱を込めてスポーツに勤しんでいない者もおりますが、大多数は何かしらの特定の部活にがっつりどっぷり4年間勤しんでいますので、そのスポーツを「専門」と呼びます。体育業界で「専門は何?」という問いに対して、例えば「サッカー」と答えれば、その人は大学でサッカー部だったんだなぁ、と勝手に認識するのです。

【専門以外はド素人】 
ところが、体育教師なんて人種は、はっきり言って、その専門のスポーツ以外はド素人です。だって部活でそれしかやってないのですから。大学の授業で実技を習いますが、すべてのスポーツを網羅できるわけではありません。球技とか、陸上とか、ざっくり理論を学び、応用するわけなので全てのスポーツ種目のプロではありません。むしろ専門以外はド素人です。そんなド素人が、体育教師になるわけですから、もちろん専門以外の種目も教えなければなりません。下手すれば見本を見せろ、と上司に言われることもあります。やれません、なんて言えませんのでやります。やれちゃいます。実は、身体能力の高さでなんとかカバーしているんですよ。とりあえずやってみてできてしまう。なぜできたかは深く考えない。だから指導するとなっても雰囲気でできてしまったことを子どもたちに伝えるのはものすごく難しいので見本を見せて、はいやりましょう!という体育教師がいます。否定しません。でも、それでできれば別に体育教師の見本や指導じゃなくても動画でよくないですか?
 しかも、そもそも体育教師は運動が大好きな人種なので、運動が好きではない子どもの気持ちを考えたり、「できない」子どもがなぜできないかなんて考えていません。ここに私が昔から体育が好きになれない要因があります。体育が嫌い、というより正確には体育教師が嫌い、なのでしょうかね。もちろん全員がそんな体育教師ばかりではありませんが、このことを教員志望の学生に話すと、99%ハッとした表情を見せます。心当たりがあるんでしょうね。(いつかこのあたりについてじっくり語りたいものです)

【おわりに】
 とまぁ、そんなこんなで10年以上、教員をやっているわけですが、今は大学生にスポーツ以外にも健康科学や野外教育など幅広く教えております。スポーツに関しては、「別にいいじゃないスポーツなんて好きじゃなくても、嫌いになった理由なんてほとんどが体育教師のせいなのだからあなたたちは1ミリも悪くない!」というスタンスで、まず初回の授業で謝ります。みんなごめんね、たぶん体育のこういうところが楽しくなかったよね、だから少しでも楽しい記憶に変わるように頑張るからね、と。女子学生の8割は頷きます。(残り2割は苦笑いかキョトンですね)まぁ、こんな教員がいても面白いじゃん?と自分に言い聞かせて仕事をしております。おそらくどのような職のかたでも自分に言い聞かせて仕事をしている節があるでしょう。同志よ、1人ではありませんよ。ここにも日々悶々としている悩める人間がおりますよ。声を大にしていうにははばかられるので、本日はこの辺りで閉じさせていただきます。最後までお付き合いくださりありがとうございました。See you next coffee break.

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