白昼夢
Aimerさん 『白昼夢』の歌詞をLLMに読み込ませてプロットを書き出して、プロットから書き起こした小説です。
◆
やぁ、みんな元気かい?
そろそろ夏も終わりだ。今年の夏はすてきな夏だったかい?
軽薄なラジオのパーソナリティは今夜も暑苦しいトークをはじめた。
まずは夏の最後を飾るのにうってつけの曲を聴いてくれ。テイラースイフトで「August」
今夜はみんなに謝らなければいけない。
僕はいつもの軽薄な僕ではなく少し真剣な僕になる。許してくれ。手紙を読み終わったらまた軽薄なオヤジに戻る。
こんな手紙をもらった。
こんにちは。軽薄なおじさま。
いつもラジオを楽しく聴かせてもらっています。
あなたが話す街の話やくだらない女の子の話しがとても好きです。
私は病室にいてどこにも行くことが出来ないけれどあなたの話しを聴いているとまるで自分がその場所にいて、あなたにくだらないナンパをされてげっそりしているかのような気分になります。
いつか本当にあなたに話しかけられて嫌な顔して立ち去る事が私の夢です。
私の病気が治る可能性はほとんどないそうです。
はじめて先生から聞いた時には涙が止まりませんでした。
それは今年の夏みたいに暑い夏でした。
ほんの数日前までは友達とプールに行く約束をしていたのに、その日からは病院から出る事も出来なくなりました。
ここで死んでしまうのを待つだけの生活になるのかと思ったら涙が溢れて止まりませんでした。
でも、不思議なことに夏が終わる頃には涙も出なくなりました。私は病室の外に落ちる花を見て何も考える事をやめてしまいました。
毎日、白い夢の中で手を伸ばして助けを求めていました。クーラーが効いた部屋にいるはずなのに焼かれるように暑い夢の中で叫んでいました。
そんな時、主治医のメガネをかけたおじさん、村井先生と言います、がラジオを持ってきてくれました。そして毎日のように、あなたのラジオを私と一緒に聴いてくれました。
村井先生は結構イケメンだと思うのですが、全然モテないと言っていました。
だから生まれ変わったらお嫁さんになってあげるね、と言いました。
先生はあと2年、君が18歳になったら結婚しようと言ってくれました。そんなに長く生きられないよと言ったら怒ってくれました。
軽薄なラジオパーソナリティのおじさま。
あなたの番組があって良かった。
この手紙が読まれる頃には、あなたが探してくれている窓明かりの中に私はいないかもしれないけど、どうか悲しまないでください。
あなたの軽薄さはたくさんの人に生きる勇気を与えています。たくさんの勇気を振りまいてください。
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