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ハチ - ドーナツホール 2024 感想

画像は↑のサイトから。こういう著作権についていまいちはっきりわかってないや。


 ハチ(米津玄師)によるドーナツホールのセルフカバーが公開された。ボカロはたいして知らないけど、このドーナツホールは良い曲だなと前から思っていたので、この動画はシンプルにうれしかった。

 ゴディバとのコラボらしくて、当然のように食い込んでくる商業主義に少し萎えたけど、まぁそんなこと今さらだし大した問題じゃない。

 しかし米津(ぼくは新しいファンで”ハチ”にはなじみがないので米津と言うことにする)の才覚はすごい。曲が良いのはもちろんのこと、絵まで描いちゃうんだから。本物のアーティストだ。

 ところで歌詞にある、「どうにも憶えてないのを ひとつたしかに憶えてるんだな」って部分を聴くと、毎回岡田斗司夫の顔が浮かんできて困るんだな。そういうネタツイがあったんだけど、今調べても見つからなかった。

 MVについて。「クリーンな社会」を目指す専制的な権力とそれに抗う地元住人という構図は古典的だけど、この絵柄と曲でみると違和感なくて良い感じだった。最近は社会のクリーン化万歳!みたいな人が増えている気がするので(肌感覚だが)、こういうメッセージにも意味があるんじゃないだろうか。アクチュアリティのあるテーマなのは間違いない。まぁ少年漫画っぽいノリで気楽な作品だから、そう構えてとらえる必要もないとは思うが。

 ボーカロイドの音声って、あたりまえだが熱というか人間っぽさがない。でもそれがこういう喪失感を抱えた曲の場合はうまく働いている。人間が歌うとどうしても情感がこもってしまう。それはそれでもちろんアリなんだけど、時には思いっきりドライに歌った方がいい場合もある。そういう時にボカロの音声は心地いいし、その冷たい音声に熱が秘められているような気すらしてくる。

 ちょっと思ったのは、ボカロは聴くのが楽だということ。つまり、”人間”を感じさせないからなんというか疲れない。人が力を込めて歌ったりしていると、時には疲れてしまったりする。ボカロのもつ無関心さは”優しい無関心”だと思う。

 どういう経緯でこの曲が作られたのか知らないけど、米津は「失ったもの」とか「あなたと私の距離」を歌うのが上手いと思う(そしてそういう曲が多い)。なんかそういう経験があるのだろうか。

この胸に空いた穴が今
あなたを確かめるただ一つの証明
それでも僕は虚しくて
心が千切れそうだ
どうしようもないまんま

ドーナツホール

※追記
生きる時間が長くなればなれるほど別れも増えていくだろうから、この曲は年を取るほど深みが増していくだろうなと感じた。

 

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