雑記⑪
クンデラ「存在の耐えられない軽さ」を読み始めた。「小説の技法」を読んで、これはぼく好みっぽいな、と思ったのがきっかけ。
4分の1くらい読んだけど、今のところめっちゃ面白い。「小説の技法」に書かれていたけど、クンデラはあまり意味のない文(なくても成り立つ文)を少しも書きたくないらしい。だから、どの文も密度が高いし、展開も早い。
ぼくはどちらかと言えば、人物描写(服装、体形など)や風景描写が長いのがあんまり好きじゃない。だからこの「必要な文を必要なだけ」スタイルが読んでて心地いい。
とはいえ、そういう描写を全くしないわけではなく、たとえばテレザという人物の描写には、彼女の身体について多くのことが述べられる。それは彼女にとっては身体というものが、彼女の実存に直結しているからだ(ダジャレじゃないよ)。
あと、大きなテーマとして人生の偶然性とその裏返しとしての必然性を扱っているっぽい。それも興味深い。
ただ、文章の密度が高く、かつ時系列が一直線ではないので、若干混乱する。かなり流れが速い小説で、新幹線で「えっもう東京?」ってなるくらいのスピード感だ。再読の必要性は高いといえるだろう。