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2月4日(火)《「闇に堕ちにて、空に溶けゆく」短編続編》 『月虹』最終話「月虹」&重要なお知らせ

《最終回 登場人物紹介》
伊藤 裕理  (裕奈が大切にする姉)  
伊藤 萌奈 
(裕理の娘、裕奈が大切にする姪)
櫻井 裕奈  
櫻井 里美
(裕奈の母)  櫻井 猛(裕奈の父)
谷川 翔(裕奈の婚約者)  
谷川 直樹(翔の父)  谷川 由紀恵(翔の母)
谷川 凛(翔の姉,ソイックエンタープライズ勤務)
佐藤 隆(元広告代理店勤務)  佐藤 洋子(隆の妻)
辻本 拓也(静岡病院外科医)  辻本 晴香(拓也の妻)
金森 悠馬(仕事では佐々木姓を使用、
ソイソイコーポレーションの担当部長の
肩書きを持つ酪農家)  金森 莉子(悠馬の妻)

赤壁 紗英子(ソイソイコーポレーション社長、
『闇に堕ちにて空に溶けゆく』の
エピローグに登場)
龍神 友輝(ソイックエンタープライズ会長、
ソイソイコーポレーション創業者)
カツタ サワル(ソイックエンタープライズ社長
元ソイソイコーポレーション専務)
白熊木(シロクマキ) 治(ホテルソイーズリゾート代表、元ソイソイコーポレーション常務)
独田 添朗(ホテルソイーズリゾート副代表、
元ソイソイコーポレーション執行役員)
古城麦(コゲムギ) 美奈(ソイソイU.S.A.代表、
元ソイソイコーポレーション執行役員)
島岡ソラ  月野サクラ  千葉マキシマム
以上!

(最終回 月虹)

『息を潜める仕掛人たち』


裕奈が裕理と職場近くのカフェで
面会した日から、約半年が経過した8月下旬、
池袋のホテルソイーズの親族控室に
裕奈は居た。

本来、花嫁は、親族控室に、
少し顔を出す程度だが、
私はずっと、待機して、
母と、お姉ちゃん、そして、姪の萌奈の
到着を待ちわびている。
 
来てくれるはずだと信じる一方、
もしかしたら、
お姉ちゃんが躊躇っているのでは?
という懸念もあった。
この三人以外の親族は、既に部屋に居る。
 
この三人の到着と同じくらい、
先ほどから、気になっていることがある。

月の会のメンバーの姿が見えない。
こちらは、一度は見かけているので、
会場入りしていることは間違いないが、
ある時間から、全く、姿を見なくなった。
これは、これで嫌な予感がする。
 
そんな二つ目の懸念に
思いを巡らせているとき、
入口の方から、可愛い声が聞こえた
「裕奈ちゃーん、おめでとう!綺麗だね」
その声の主は、姪の萌奈だった。
 
その萌奈の後ろには、裕理お姉ちゃんの姿が
はっきりと見えた。
私は、2人まとめて、抱きしめた。
 
そこに、凛が近寄ってきて、言葉を発した。
「おー、美人三姉妹、勢ぞろいだぞ!
年齢的には、私が長女、裕理が次女、
裕奈が三女だな。
まあ、旦那が居るのは三女だけだが。
裕奈、順番、守れよ」
 
その言葉に、控室中が笑いに包まれた。
「まあ、胸のサイズだけは、勝ってるから、
ヨシとしよう。」凛らしい、ユーモアだ。
 
談笑を終えた私は、新婦控室に戻った。
そして時間になり、係員の方が呼びに来た。

扉の前で翔と再会した。
本人には決して言わないが、
いつにも増してカッコいい。
 
係員の合図とともに、扉が開いた。
そして、会釈をして顔を上げたときに、
はじめて気づいたが、
扉を開けてくれた係員が、
龍神会長と、カツタ社長だった。
どうして???
 
戸惑いながら、前に進み、
新郎新婦席で一礼をした。
それを待って、司会の女性が進行をはじめる。

実は司会の方が、当日、
急遽、交代になったと聞いていた。
体調不良か何かかと思い、
仕方ないと思っているが、
若干の不安はあった。
 
「ただいまより、谷川翔様、櫻井裕奈様の
結婚披露宴を開宴とさせて頂きます。
本日、進行を務めさせていただきます、
古城麦(こげむぎ)美奈と申します。
よろしくお願いいたします。
 
それでは、開宴に先立ちまして、
新郎、谷川翔様より、皆さまへ
ご挨拶でございます。」
 
私は、さすがプロの司会者だと思った。
安定感抜群で、何も心配ないと思った。
その後も、滞りなく式は進行した。
 
そして次に、ケーキ入刀だ。
しかし、ここで司会者が
台本にない進行を始めた。
 
「本日、新郎、新婦に入刀頂くケーキは、
特別な思いを込めて準備したものです。
こちらについては、新郎・新婦共通の
ご友人であり、かつ、弊社の社員でもある
佐々木悠馬より、説明を差し上げます」
 
私ばかりか、翔にも、展開が読めなかった。
そんな躊躇いをよそに、
悠馬がマイクの前に立った。
 
「翔さん、裕奈さん、
ご結婚おめでとうございます。
お二人は、いつも私たちを、
優しく見守ってくれていました。
 
きっとお二人は、人の幸せを見守ることを、
まるで我が事のように、とらえられる
素晴らしい方だと思っています。
 
そんなお二人が、今、一番、
幸せを見守りたと思っておられる方のために
今日は、特別なケーキをご用意しました。
 
少し異例ですが、その方々を前に
お呼びしたいと思います。
新婦のお姉さん、裕理さん、姪の萌奈ちゃん、
前にどうぞ。」
 
裕理は驚いているが、係員に誘導されるまま
前に用意された席についた。
悠馬の説明が続く。
 
「裕理さん、萌奈ちゃんは、現在山形で、
新婦のお母さんと一緒に暮らしていますが、
その前は、鳥取の八頭(やず)という所で
生活されていたそうです。
 
この八頭は、柿の産地です。
萌奈ちゃんは八頭の柿が大好きだったそうです
今日は、この八頭のあんぽ柿と、
山形のラフランスを使ったケーキを
ご準備させて頂きました。
 
ラフランスのコンポートは、どの時期でも
比較的、手に入りやすいのですが、
八頭の柿は、この時期は収穫前です。
 
ですので、昨年の収穫の中から、
あんぽ柿の製造が可能で、
かつ品質維持を考えた
ギリギリのリミットの2月に、
八頭の柿農家の西田さんという方に
ご無理を言って、本来なら、
生柿で出荷するような商品を、
あんぽ柿として製造して頂きました。
 
それを、こちらのホテルのご協力で、
冷凍させず、冷蔵の温度で
大切に保管して頂きました。

そして、私の友人でもある
北海道のパティシエに、
昨日から来てもらい、作ったケーキです。
 
どうして、このケーキを作ったか?
それは、新婦の裕奈さんが語っていた思いを
形にしたかったからです。
 
あまり立ち入ったことは、
ここでは申し上げませんが、
裕理さん、萌奈ちゃんは、
鳥取では色々と苦労をされたそうです。

そんな時でも、この柿は楽しみにしていた、
思い出の味であるとともに、
その苦労を乗り越えたからこそ、
暖かさに満ち溢れた、櫻井家で、
今、楽しく暮らせているのだと思います。
 
そんな二つの素材を組み合わせたケーキは
家族の象徴だと考えました。
過去もあり、その過去があったからこそ
今がある。
 
過去を乗り越え、今があるのは、
お二人を愛する家族の存在があるからです。
そんな裕奈さんの思いとともに、
このケーキ、ご賞味ください。」
 
悠馬の説明に、私の涙腺は崩壊寸前だった。
が、横を見ると、翔が大泣きしている。
いや、どうして、お前が一番最初に泣く?
それも大泣きで。ま、翔らしいのだが。
 
裕理お姉ちゃんは、既に泣いている。
 
司会者の合図とともに、
二組でケーキに入刀した。
そして、その後、ファーストバイトは、
翔から私だけでなく、
裕理お姉ちゃんから、萌奈ちゃんにも行われた

その後、感想を聞かれた萌奈ちゃんが
屈託なく、「とっても美味しいです」と答え、
会場全体が、温かい空気になった。
 
しかし、今日の披露宴、油断できない。
こんな展開が続いたら、
私のメイクは絶対にもたない!

月の会のメンバーが見当たらないと、
思ったら、こんなことをしていたとは。
 

『フィクサーあらわる』


 その後も式が進行し、
余興も一通り終わったはずだったが、
ここで再び、司会者が、
台本にない進行をはじめた。
 
 
「それでは、ここで、当会場を運営する
株式会社ソイーズホテルリゾートの、
親会社である、
株式会社ソイソイコーポレーション、
代表取締役の赤壁紗英子より、僭越ながら
お二人に、メッセージを送らせて頂きます。」
 
司会者の、その言葉を合図に、
会場後方から、ブルーのワンピースを纏った
女性が前に進み、マイクの前に立ち、
言葉を発した。
 
「ただいま、ご紹介にさずかりました、
ソイソイコーポレーション、代表取締役、
赤壁紗英子でございます。
翔さん、裕奈さん、
ご結婚おめでとうございます。
そして、谷川家、櫻井家、ご両家の皆さま、
お慶び申し上げます。
 
実は、私、以前、このお二人に、
お会いしております。
お二人のご友人であり、弊社の社員である
先ほど、ケーキ入刀の際、
説明をした佐々木悠馬さんと、
莉子さんの披露宴でした
 
後からお聞きしたのですが、
この披露宴の後、
新郎の翔さんは、プロポーズをされ、
裕奈さんは、それをお受けになられた
ということです。
 
何か運命的なものを感じますが、
そもそも、佐々木悠馬さんと弊社との接点は、
翔さんと、裕奈さんが、当時されていた
YouTubeチャンネルでした。
 
そのチャンネルで紹介された、
悠馬さんの商品に惚れこみ、
より多くの方に届けたいと思ったのが、
きっかけでした。
 
そのために、尽力したのが、
当時、弊社の物流・システムの責任者であり、
現在、このホテルの代表である、
白熊木と、副代表である独田です。

そして、本日、ご友人の思いを受けて、
プロデュースをさせて頂いたのも、
この二人です。
何か、不思議な縁を感じます。

そんな縁を大切にしたいと考え、
今回、新郎新婦のご友人からのリクエストに
弊社としても、最大限の協力を
させて頂きました。
 
ここでは、今日、司会をさせて頂いてる、
古城麦が代表を務める、
アメリカ法人が手掛けるAI技術を使い、
ご友人の思いを形にした動画を
作成しましたので、ご覧ください。
 
その合図とともに、照明が暗くなった。
そして、前方のスクリーンに動画が映った。
と、そこに映るのは、2年半前に、
亡くなったはずの、父の猛だった。
その父が語りはじめた
 
「翔くん、裕奈、結婚おめでとう。
3年前、2人が山形に来て、
結婚するって言ってくれたこと、
本当にうれしかったよ。
 
裕奈、お前、本当は気が小さいんだけど
父さんに似て、たまに威勢を張るから。
でもな、引くときは引くのも大事だぞ。

翔くん、私は、翔くんに裕奈を
もらってもらえたら、
何も心配なことはない。
本当にありがとうな、翔くん。
 
それから裕理。
お前のことだから、怒りすぎないお母さんに、
真面目に取組みすぎてないか?
常に100点なんて人間居ないんだ。
今日がダメでも、
明日うまくいけばそれでいい。
 
それから、母さん。ほんと、すまんな。
お前を最期まで看取るために、
仕事を変えて、山形に行ったはず
だったんだが。
 
でもな、ほんと、
もっとお前と過ごしたかったよ。
一緒に散歩したり、
美味しいもの食べに行ったり
それが何よりの楽しみだったんだけどな。
 
裕奈は、嫁にいっちゃうけど、
裕理と、萌奈は、寂しくならないための、
お前へのプレゼントだと思ってくれるか。
 
裕理、裕奈、母さんのこと、
よろしく頼んだぞ」
 
それほど長い動画ではなかったが、
会場中がすすり泣きで包まれた。
特に、母は机に伏して泣いている。
 
後から知ったが、この素材は、
拓也さんが、実際に山形まで赴き、
アルバムの写真、1枚1枚を精査したそうだ。
 
だから、この企画自体は、母は知っていた。
ただ、私と、裕理お姉ちゃんへの
メッセージと聞かされていたので、
まさか自分へのメッセージが含まれているとは
思っていなかったようだ。

ふと視界に、会場後方で、
この光景を暖かい目で見守る
4人の男たちの姿が見えた。

うち2人は、龍神会長と、カツタ社長。
その横に居る大柄な男性と、
眼鏡をかけた男性とは面識はないが、
赤壁社長の話から、この2人が
白熊木さんと、独田さんだと予想できた。

笑顔で見つめる、大柄な男性の目に
光るものが見えた気がした。
「なんて、素敵な人たちなんだろう」
そう思うと、自然と涙が溢れた

『一日限りの最強チーム』


 拍手とともに、すすり泣きが
収まるのを待って、
前方の、赤壁紗英子が
再び、言葉を続けた。
 
「ここまで、ご友人たちの思いを
サポートさせて頂いたのは、
実は、弊社設立当時の主要役員たちです。
今日のために、全員が集まったのも、
久しぶりです。

そういった意味では、
我々としても、ありがたいお申し出でした。
 
ただ、朝から、少し気になっているのが、
誰かもう一人、居たような気もするのですが、
どうしても思い出せないんです。
まあ、恐らく、勘違いなんでしょう。
 
話は戻りますが、
そのメンバーの中でも柱であった
カツタと、私の前任者である龍神さんが、
現在、手がけているのが、音楽事業です。

我々も協力させて頂いた催しは、
次で、本日の最後となります。
 
それでは、ここからのMCは、
この方たちに、バトンタッチさせて頂きます。
ご紹介します、月の会バンドの皆さんです。
 
拍手とともに、右手に用意されていた
緞帳があがった。
すると、そこには私と、翔以外の、
月の会メンバーが並んでいた。
隆がマイクに向かい、話し始めた

「赤壁社長、ありがとうございます。
翔くん、裕奈ちゃん、ご結婚おめでとう。
今日は、2人のために、1日限りの
スペシャルバンドを結成しました。
 
じゃあ、まずはメンバー紹介させて頂きます。
アコースティックギターは、私、佐藤隆、
そして、ドラムは辻本拓也さん、
キーボドは、辻本晴香さん、

ベースは、我が妻、佐藤洋子、
普段は、ボーカルなんですけど、
まあ、ボーカルは見た目も大事ということで
年齢には勝てず、今回は譲りました。」
 
その言葉に、洋子が凄い形相で睨み、
笑いを誘った。
 
焦りながら、隆がメンバー紹介を続ける。
「えーっと、どこまで、言いましたっけ?
あ、そうか、ベースまでですね。
はい、思い出しました。

エレキギターは、佐々木悠馬。
あ、ちなみにですけど、
本名は、金森悠馬です。
会社関係では、そのまま
佐々木を使ってまして、
今日は、職場の方も多いので、
佐々木で統一しています。
ま、私が言うことじゃないんですが。
そして、ボーカルは、
ベースの方より若さが溢れる金森莉子」

再び、洋子が凄い形相で隆を睨み
会場が沸いた。
隆は謝るジェスチャーをしたあと、
MCを続けた。
 
「あー、こわかった、、
話は戻りますが
それぞれ、住む場所も離れており、
なかなか合わせての練習は
できなかったのですが
お二人のために、精一杯、
演奏させて頂きます。
 
今日、演奏するのは、
先ほど、赤壁社長からもお話があった、
龍神さんと、カツタさんが経営されている、
ソイックエンタープライズに所属する
星空サーカスというアーティストの曲です。
 
新婦の裕奈ちゃんも、大好きな曲、
「月虹」です、
どうぞ、お聞きください。」
 
最後の最後に、まさかのサプライズだ。
私の大好きな曲を、皆で練習してたなんて。
 
曲は一番から、二番に移った。
「三日月の空の下」という歌詞を聞いて、
そういえば、昨日の夜は
三日月だったのを思い出した。
 
あの事件以来、
以前より、月には目が行くようになった。
と、その時、横に居たはずの翔が
居ないことに気づいた、、、トイレか?

この後、ソラさんのギターソロから、
ラスサビで、一番盛り上がるところなのに、
タイミングの悪いヤツだと思った。
 
それから、さっきから気になっていたのだが、
コーラスが聞こえるが、
見た目は、莉子ちゃん以外、誰も歌ってない。
まあ、コーラスだけ音源を
使っているのかもしれないが。
 
ギターソロになった時、ステージの反対側に、
スポットライトが当たった。

なんと、そこには翔が居た。
翔がギターソロを弾いている。
悠馬くんと、ツインギターで弾いている。
 
ちくしょう、翔のくせに。
なんか、涙が出てきたぞ。
翔のくせに、翔のくせに。

更に、ギターソロ後半から、
全体的に音の厚みが増してきた。
 
と、思ったら、
ステージ後方にある緞帳があがった。
そこには、ギターを弾く、島岡ソラさんと、
コーラスをする月野サクラさんが居た。
まさか、ご本人たちが来てくれるなんて。
 
そして一番驚いたのが、一番前の席に
座っていた披露宴参加者が、急に立ち上がり、
ショルダーキーボードを弾き始めた。
 
いや、ずっと、この人のこと
気になってたんだよ。
うちの親族や友人でもないし、
翔も知らないっていうし。

だいたい、蝶ネクタイしている時点で、
相当変わった人だと思ったんだけど、
これが、見たことなかった、
星空サーカスの、もう一人のメンバー、
千葉マキシマムさんかぁ?、、、、
いやぁ、、、お面、必要だな。

 
そして、曲はラスサビを迎える、
アウトロのピアノで終わるところだが、
今度は、翔がグランドピアノの前に、
座っている、もしかして、、、、
 
という、予想通り、
アウトロのピアノを翔が弾いて、
曲が終わった。

一番、良いところ持っていったな、
なんか、翔のくせに、ずるい。
 気づいたら、視界が涙で歪んでいた。
素敵なサプライズだった。
 
それにしても、この曲の歌詞って、
恋愛だけにあてはまるものじゃくなくて、
家族にも、あてはまるんだと改めて感じた。
 
「この想いを受け止めてよ、
あなたの胸の中、
抱きしめてよ、離さないで、
月のない空だって」

 
そう、あの日、会社の横のカフェで、
裕理お姉ちゃんを抱きしめた光景、
お姉ちゃんから見えたであろう
光景そのままだった。

「私は、お姉ちゃんの心の側に
これからも居るからね。」


『フィクサーの素顔』


赤壁紗英子は、社用車の後部座席から
穏やかな気持ちで車窓の外を眺めていた。
もうすっかり暗くなっている空から、
小雨が降ってきた。

紗英子は、心の中で
「いい結婚式だったなぁ」と呟いた。
と、その時、LINEの通知が入った。
スマホを見ると、夫からだった。

「今日、現場が早く終わったから、
今から帰るんだけど、
帰りに美味しそうな鯛焼きを見つけたよ。
紗英子も食べる?

ここ、二ヶ月、事件の捜査で忙しくて、
なかなか、ゆっくり話を出来なかったけど。
ほら、前に、紗英子が言いかけていた
『今度、あの頃のメンバーで、
面白いイベントができそう』
って言ってた話を、ゆっくり聞かせてよ」

「あ、、、、」
そのLINEを見た紗英子は思わず声が出た。

「思い出した、、、今日ずっと、
創業メンバーで、誰か一人足らない
気がしてたけど、うちの旦那だったわ、、、」
辛うじて、この言葉は口には出さなかった。

ふと、外を見ると、
月光が雨粒に反射して
うっすらと見える虹が見えた。
その月虹を見て、思った。
「まぁ、今日ぐらいは、優しくしてやるか」

そして、運転手に声をかけた。
「鈴木さん、ごめんなさい。
旦那が好きな、佃煮を買って帰りたいから、
百貨店に寄ってもらえませんか?」

(最終回 終わり)


【重要なお知らせを兼ねたあとがき】
『2月8日 19時より
月虹フルバージョンMVを
プレミア公開します!』

さて、突然の続編でしたが、今回、
この続編に登場した『月虹』という曲、
その曲を歌っている「星空サーカス」
というユニットについて書きたいと思います
というより、この続編の目的が
この曲の告知なのです。笑

『月虹の位置付け&ユニット名由来』

この『月虹』という曲ですが、
長らく続いた小説
『闇に堕ちにて、空に溶けゆく』の
テーマ曲
という位置付けです。
というか、そのつもりで、24年11月に
公開目標で製作してました。
(私が原因で間に合いませんでした笑)

タイトルは、続編にも登場した
月野さん発案で、
アニメ「からくりサーカス」の主題歌、
BUMP OF CHIKENさんの「月虹」を
有り難く真似しました(笑)🙇‍♂️💦💦

そして演奏は、続編に登場した
3人組ユニット星空サーカス」がしています
ユニット名は「月虹」の歌詞から
イメージしたもので考えました!

と言っても考えたのは人間ではなく
AIのGeminiくんです。(笑)
私は、歌詞をGeminiくんに貼り付けて、
「曲名とユニット名の候補を考えて!」
と入力しただけです(笑)

更にGeminiくんは、
メンバーの芸名まで考えてくれました。
ボーカルの女性は月野サクラさん、
ギタリストの男性は島岡空(ソラ)さん
そして、私はベーシストらしく、
千葉マキシマムです(笑)

『テーマ曲を作った理由』

そして、なぜテーマ曲を作ろうと思ったか?
ということですが、そもそもですが、
小説を書こうと思った理由の一つが、
実はオリジナルのテーマ曲を作りを
上記のメンバーで一緒にやりたかった

ということです(笑)

noteでの、私の最初の投稿である
「2023年最後の日に」に記載している、
「制約なく小説を書いてみたかった」
に加えて、「仲間たちと『テーマ曲』で
コラボしたい」は大きな動機です。

その点で言えば、本編で毎回貼付していた
題字やカバー画でのコラボも、
この小説連載の大きな動機です。

なので、この小説を1つの題材にして、
色々なジャンルでコラボしたかった

というのが、実は小説連載の
大きな背景としてあります。
(言うなれば実は、小説がオマケ?笑)

『星空サーカスの正体』

この曲ですが、先ほど記載したユニット
「星空サーカス」の合作になります。
月野さん、島岡さん、そして私の3人で
作詞、作曲、アレンジをしております

このユニットのメンバーですが、
三人とも、あるアーティストの方の
ファンコミュニティに属しており、
また、みんな同い年
でして、
それをきっかけに、
一昨年、みんな、年男&年女だったこともあり
もうお一方を入れた4人で、
『Rabbits』という
YouTubeチャンネルを作りました。

そして昨年、そのチャンネルで、
4人の合作の演奏動画をつくりました。
(※ちなみに『Rabbits』チャンネルの
コンセプトが「心は永遠の17歳」なので、
年齢は非公開ですが、
ギリ、オイルショックを
知らないぐらいです(笑))

こちらは”顔出し”だったので、
そのファンコミュニティ限定での公開でしたが
なかなか楽しい取組みと、出来栄えだったので
限定は勿体ないなあと思ってまして。

それで、今回は小説のテーマ曲という体で
MV風の動画にして、”顔出しなし”にして
一般公開しよう
と思いました。
それが、そもそものきっかけです!

そして、どうせやるなら、
みんなで1つの曲を作ってみるのも
面白いのでは?
と思い、
投げかけてみると、前述の月野さんと、
島岡さんが、賛同してくれまして、
実現したという流れです。

『楽曲作りはどうやった?』

そして楽曲づくりですが、実は、この3人、
決して近くに住んでいるわけではなく
そして私は実際には、
月野さんにも、島岡さんも、
お会いしことがないんです。
なので、やりとりは専らSNSです。

そんな感じなので、
まず言い出しっぺの私が作曲アプリで作った、
イントロとAメロをお二人に送って、
「この続きを!」と、丸投げしてみる(笑)

すると、月野さんが続きを作って、
ピアノで弾いたものを送ってくれまして。

そして、島岡さんが、月野さんの続きを
譜面で送ってくれまして、
それをアプリに入れて作曲は完成!
ということで、やり出したら、
そんなに時間かからず、作曲は終わりました!
やり出すまでに数か月かかってますけどね(笑)

ちなみに、アレンジですが、これは
「担当する楽器のアレンジは、
基本、自分でやる!」

という『Rabbits』チャンネルの精神に基づき、
(そんな精神ないですけどね、本当は笑)
それぞれが作ってます。

なので、ギターのアレンジは、島岡さん、
ドラム、ベース、キーボード、コーラスの
アレンジが私という感じです。

『ソイソイコーポレーションとは?

そして、バグってしまった年齢設定』

さて、ここまで『月虹』や
「星空サーカス」のお話をしてきましたが、
"闇空"の続編に、突如、"殴り込んできた?"
キャスト達について少し触れます。

このソイソイコーポレーションという
謎の企業に纏わる面々は何者か?

実は、私が2年前に書いた小説"もどき"の
登場人物たち
です。
この"小説もどき"は、私が所属する
前述のファンコミュニティ内限定で
公開されたものでした。

何故、限定かと言うと、登場人物の多くが、
そのコミュニティのメンバー達がモデルで
プライバシー的な観点から、、、
あれは公には出せん! と、なってます(笑)

ちなみに"闇空"のエピローグから登場した
赤壁紗英子が、その"小説もどき"の、
真の主役なのですが、その話の終盤で
赤壁紗英子が社長に電撃就任して終わってます

よく「末席の役員から◯人抜きで社長抜擢」
みたいな話がありますが、
赤壁さんの場合は、平社員でしたから、
その比ではないシンデレラストーリーです。
なので最終回当時、確か29歳でした。

で、今回のお話で、
経営者としての敏腕ぶりを語られてますが、
イメージ的には、現在40歳ぐらいなので、
最終回から11年が経ったということ。

ちなみに、このファンコミュニティ限定の
元の小説もどきの最終回での
各人物の年齢設定は以下の通りでした。

龍神さん:61歳
カツタさん:56歳
独田さん:28歳
白熊木さん:ここは明確な設定がないのですが
龍神さんや、カツタさんと初めて会ったのが
龍神さん38歳、カツタさん33歳の時で
その時に風変わりな若者という
設定だったので、当時27歳だったとすると、
50歳
古城麦さん:ここも設定が曖昧なのですが、
白熊木さんより年下、
赤壁さんより年上の設定だったので、
間を取って39歳 とするとです・・・・

赤壁さんの40歳は違和感なかったのですが、
それと整合性を取ると、他のキャストが、
思ってる以上に歳を取ってる
ことに、
後から気付き、
何かバグってるなぁと思いました(笑)

ということで、年齢順で、
登場人物を並べると、、、
72歳      :龍神友輝
70歳      :佐藤隆・洋子
67歳      :カツタサワル
61歳      :白熊木治
59歳      :谷川直樹・由紀恵、
57歳      :櫻井猛・里美
48歳      :辻本晴香、古城麦美奈
40歳      :赤壁紗英子
39歳      :独田添朗
38歳      :辻本拓也
31歳      :谷川凛
27歳      :金森悠馬・莉子
26歳      :伊藤裕理
25歳      :櫻井裕奈・谷川翔
3歳        :伊藤萌奈
第4話で、隆に「裕奈のお父さんと同世代」と
語らせてしまいましたが、一回り以上違った笑

それにしても、今の日本を象徴するような
キャスト高齢化!(笑)
これ見たら、更なる続編は無理ですね(笑)
(※ただ赤壁紗英子が最後にやっと思い出した
創業メンバーでありながら刑事に転職した、
紗英子の夫のエピソードだけは、
まだ明らかになってないので余地はあるかな?
・・・いや、ないか。面白くなさそうだし🙄)

なので、再び曲の話に戻しましょう!
ここからが告知です!!(キッパリ)

2月8日19時からプレミア公開

この『月虹』ですが、
フルバージョンのMVを

2月8日19時より、プレミア公開します。


遊びに来て頂けると、嬉しいです!!

リンクはこちらです!

https://youtu.be/6KWPKnUSc3o?si=fASIbhQCSqaPffdK

是非、お願いいたします🙇‍♂️💦💦

そして、ご愛読ありがとうございました。

(あとがき終わり)

過去の投稿は、マガジン
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