小説『闇に堕ちにて、空に溶けゆく』10/24(木) 【第65話 進展】
家に帰り、父に頼まれて項目で、
最後に残っていたものを片付けた。
その時、ソファに置いたスマホの
通知に気づいた。
一つは父の猛からで、
山形で病院や祖父母との調整をして、
3か月後、母を山形に転院させることが
決まったということだ。
ただ詳しいスケジュールは会社と相談して、
決まるということだ。
あわせて本当は土曜から一旦、
モロッコに戻る予定だったのだが、
現地の空港がストに入り、
もう暫く日本に居るということだ。
それもあって、土曜日に翔の一家を招いて、
モロッコ料理をご馳走したいという事だった。
私に、翔の一家の意向を確認してほしい
ということだった。私は「了解」と返した。
もう一つは、凛からだった。
「裕奈、今日、うちに晩御飯食べにきなさい。
姉命令だよ」とあった。
私は「お姉ちゃん、了解しました」と返した。
今晩、翔の家に行ったときに、
土曜日のことを確認しようと思った。
返事から間を置かず凛から再びLINEが来た。
「大丈夫だったらでいいけど、
今晩は、うちに泊まりなよ」
一人で、居たくない気分なので
「泊まっていいなら泊まりたい。
明日の学校のものとか準備して、行くね」
凛はスタンプで、リアクションした。
19時に翔の家に着いた。
いつもと同じく団欒を楽しんだ。
そして次の土曜に、うちの父が、
モロッコ料理をご馳走したい
と言ってる件を伝えると快諾してくれた。
食事も終わって、ソファに座り、
凛とゲームを楽しんでると、
翔が話しかけてきた。
翔「櫻井、今週の撮影どうする?」
私は、そういえば打合せしてないと思い出し、
言った。
裕奈「撮影しよう。ストック全然ないでしょ?
そういえば打合せしなきゃ。これからする?」
翔はゲーム終わったらでいいよ、と言ったが、
凛がキリがないから今日はここでやめようか、
と言った。
私と翔は二階の翔の部屋に移動した。
企画は、翔が2か月分既に考えているので、
その中からどれをやるか?の話になった。
土曜日は、父の猛が料理を振舞う予定だから、
料理モノは、やめようということになった。
また、あまり遠出しないものから選んだ結果、
「答え合わせ」企画にすることにした。
五十音順に〇で始まる〇〇〇なものはなに?
と、お題を出し合い、五十音が終わるまでに、
2人の回答が一致するか?という企画だ。
これなら家で撮影できるということになった。
この部屋での打合せは何度目かわからないが、
パジャマで打合せしているのが新鮮だった。
それを伝え「じゃあ、答え合わせ」企画も、
パジャマでやろ?と提案した。翔は言った。
翔「いいかもな、ただ櫻井のパジャマ姿は、
需要あるけど、俺のはパジャマ姿は需要ない。
それに、ただのジャージだしな、俺。
なんか、着ぐるみでも着ようかな?」
私は返した。
裕奈「それ、いいかも。
私も、着ぐるみでもいいかもね。」
翔「なんか昔のバラエティ番組を
録画したのを見てたんだけど、
着ぐるみ着て運動会してるやつが
あった気がするな。
参考にしてみようかな。
櫻井、ごめん、後ろにある
DVDボックス取ってくれる。」
私は、棚に置いてる透明の
プラスチックのケースを取った
とその時、棚とボックスの間に
挟まっていたと思われるDVDが1枚、倒れた。
ボックスに、入れ忘れたものと思い、
手に取った。そして、それを見た私は言った。
裕奈「翔はやっぱり大きいのが好きなんだね」
翔「なんのこと?番組の規模のことか?
まあ大きくなくても、良いのもあるけどね。
一概に言えないけど、やっぱり、
予算をかけて大きいやつのほうが、
良いことが多いかもね」
裕奈「ほんと、宇宙人ね」そう言って
1枚だけ残っていたDVDを翔のほうに見せた。
いわゆるセクシービデオで、タイトルに
巨乳と書いている。翔はあわてて隠した。
何かわけのわからない言い訳をずっとしてる。
私は、笑いながら、言った。
裕奈「そんなに、必死にならんでも。
別に、翔が何見てようと関係ないからさぁ。
でしょ?翔は違うの?」
わざと意地悪く言ってみた。
その時、凛の声がした。
凛「私、そろそろ寝るけど裕奈はどうする?」
私は返した。
裕奈「私ももう寝ようかな。じゃあね、翔。
このあと、そのDVDでも見て、楽しんでね」
あたふたしている翔を見ていると、
笑いが止まらなかった。
翌朝は翔の家から登校した。そして、
学校から帰宅すると既に父が帰っていた。
直樹「裕奈、お帰り。今日の晩御飯、ピザでも
取ろうと思うんだけど、いいか?」
私は頷いた。それを見て、父はスマホを開き、
ピザのメニューを、選ぶように言った。
既に、父がサラダやスープを作ってくれてた。
私がピザを一つ選ぶと、父は注文をした。
30分後、ピザが届き夕食を食べ始めた。
向かい側に座る父が話をはじめた。
猛「山形の病院に行き、先生と話をしてきた。
1月末に母さんを山形の病院に転院させて、
治療することにしたよ。やはり手術じゃなく、
薬での治療になるみたいだ。
それから会社と話をして、1月中旬までで、
モロッコの仕事を引き継ぎ、
山形の関連会社に異動させてもらう。
一応社長らしい。
それから、お祖父さん達と話もをした。
平日はお祖父ちゃんとお祖母ちゃん、
それに、母さんのお姉さんが
順番に病院に行ってくれることになった。
それから、お祖父ちゃん家の近くで、
父さんが住む家も見つけた。
お母さんが家に帰る事も考えて、
3DKの少し、広めの家にした。
だから裕奈も一緒に住もうと思えば住める。
ただ山形に絶対に行かなきゃいけない、
ということではないからな。
父さん正直に言うと、
翔くんの家族に頼りきるつもりではないが、
あんな素晴らしい人達が近くに居るなら、
裕奈はこっちに残ったほうが
いいかもしれないとは思っている。
まあ、まだ時間はあるから、
2人でゆっくり考えよう」
父の言葉に、私は頷いた。
(第65話 終わり) 次回10/26(土)投稿予定
★過去の投稿は、こちらのリンクから↓
https://note.com/cofc/n/n50223731fda0
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