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読み切り小説『かぶと山の眠り姫』

『森の奥にある小さなバス』

土曜日の放課後、友達の風磨と
学校近くにある、通称「かぶと山」に寄り
遊んでいた。

その時、風磨の大きな声がした
「おい、律!これ、見てみろよ!」

風磨の元に駆け寄り、指差すほうを見ると
大きな樹木があり、そこにはクワガタが居た。
それを見て思わず声が出た。

「でっけー!普段、このあたりまでは
来たことなかったけど、結構居そうだな。
虫カゴ持ってくればよかったな。
なぁ、風磨、もっと先まで行ってみようぜ」

風磨が頷くのを見て、二人で、
さらに山の奥まで、入っていった。
思った通り、奥に行くほど「大物」を
見つけることができた。
と、その時、風磨が腕時計を見て言った。

「あ、ヤバい、そろそろ塾の時間だ。
俺、帰るわ。律は、どうする?」

「俺、もうちょっと奥まで行ってみる。
もっといい場所見つけたら、
風磨にも教えてやるよ!」

「わかった!楽しみにしてる。
じゃあ、俺、帰るから。バイバイ、律!」
風磨は手を振りながら、走って帰った。

俺は、風磨が帰ったのと逆方向に向かい
更に、森の奥まで入って行った。

途中、敷地を区切るような、
金網のフェンスがあったが、
破れている隙間から通り抜け、
更に奥まで進んだ。

すると、大きな樹木の脇に、
古びた小型のバスを見つけた。
行き先には「高陽園」と書かれていた。
「高陽園」は実際にある地区の名前で
この「かぶと山」の反対側にある。

今も、「かぶと山」の麓を通って、
「高陽園」に行くバス路線はあるが
現在走っているバスとは違う。
恐らく、その路線で、昔使われていた
バスなんだろうと思った。

「なんで、こんな所にバスが?」
と思い近づき、運転席横のドアに手をかけた。
そして押してみると、ドアが開いた。

俺は好奇心から中に入った。
こんな所に放置されてるのだから
中はボロボロだろうと思ったが
部屋に改装されていて、
元々の座席は取り払われ、
ソファや、ローテーブルが置かれていた。
窓には紺色のカーテンもつけられていた。

キョロキョロしながら、バスの後方に
進んでいった。
座席だけでなく、つり革なども
取り払われているが、
最後部の2列の座席のみ、元々のバスの座席が
残されていることに気づいた。

俺は、その座席に近づき、
特に深い考えもなく、
最後部の座席の真ん中当たりに座った。

俺が座っている場所の右には
ピンク色のブランケットが
無造作に置かれていた。

『謎の美少女』

「なんなんだ、このバスは?」
席に座り、バスの中を見渡しながら、
俺は呟いた。そして俺の視線が
運転席を捉えたとき、
右手に何か暖かいものが触れたのを感じた。
その右手には・・・・

横にあったブランケットの中から伸びた
白い手が触れて、そして握りしめてきた。

「わぁーー!!」
思わず大きな声が出た。
恐怖で身体が硬直し動けない。

と、その時、ブランケットが動いた。
ブランケットの中に誰かいる!

ブランケットは"起き上がり"、
中に居る物体の形を浮き上がらせた。
間違いなく、人だ。

そう思った時、"起き上がる"中に居る物体を
重力に逆らってまで隠しきれなくなった
ブランケットが座席に落ちて、
中の物体が姿を現した。

「あなた、誰? ここで何してるの?」
ブランケットから現れたのは、
俺と同じ歳ぐらいの色白な少女だった。

綺麗な黒髪は、胸のあたりまであり、
ブルーのワンピースを身にまとっている。
その少女の大きな瞳は今、
まっすぐに俺の顔を捉えている。

その瞳の力に押されるように、
俺は口を開いた。
「虫捕りしてたら、このバスを見つけて。
あ、でも、ごめんなさい。
放置されたバスだと思ってて、
まさか家だとは思ってなかったので」

家なのかどうかは、正直、わからないが
持ち主がいるものには違いなく、
そして目の前の少女が、持ち主か、
その関係者である確率が高いと思ったため、
そのフレーズが口をついた。

その言葉が聞こえなかったように、
再び少女が口を開いた。
「あなた、名前は? どこの子?」

整った顔立ちの大きな瞳に見つめられ
何故か、胸の鼓動が早まる。
その鼓動につられるように、俺は返した。

「高城 律って言います、
かぶと山の麓にある、上原小学校の・・・」

そこまでのフレーズを口にした時、
目の前の少女の顔が一気に近づいてきた。
そして、次の瞬間・・・・

俺の唇は、少女の唇の温もりを感じた。

俺が事態が掴めず、身体を硬直させていると
少女は両腕を、俺の背中にまわし、
自分の顔を、俺の胸に埋めて、目を閉じ、
その動きを止めた。

鼓動が極限まで高まっているのが
自分でもわかった。
「え、どうしたの?」と言うのが精一杯だ。

その言葉に対して、少女からは返事はなく、
その代わりに寝息が伝わってきた。
ふと覗き込んだ、寝顔の可愛いさに
再び、鼓動が高まった。

事態が全く掴めていないが、
少女に抱きつかれたまま、
彼女の眠りを受け止めている時間は
何か、くすぐったい気分だった。

時折、少女が顔を動かすと、
彼女の黒髪から、良い香りがした。
そして、当たり前の考えが浮かんだ

「この少女は、何者なのか?」

その長い黒髪、色白な肌、整った顔立ち、
順番に視線を移したとき、
ある考えが頭に浮かんだ。

「ま、まさか、幽霊?・・・」

幽霊と言えば、美人で、色白で、
そして黒髪のロングヘアと決まっている。

今までの、くすぐったい気持ちを
「怖い」という感情が上書きし始めた。
男の子としての本能と、
人間としての防衛反応が心の中で闘っている。

そして、僅差で、人間としての防衛反応が
勝利したようだ。
俺は、少女が起きないように、
少女の身体を座席に横たわらせ、
自分の身体を"外した"

何とか、脱出に成功した安堵感からか、
再び、少女の顔を見る余裕ができた。

「・・・・可愛い」
そんな想いが沸き上がると同時に
自分の唇に感じた、少女の唇の温もりを
思い出した。

「たぶん、これがファーストキスに
なるんだよね?」

そんな想いが一瞬浮かんだが、
再び沸き上がった、人としての防衛反応が
その場からの、撤退を命じた。

『再会』


その日から、名も知らぬ美少女との
ファーストキスの温もりと、幽霊の恐怖が
せめぎあっていた。
判定する必要はないが、若干、
ファーストキスの温もりが勝ってる気がした。

その三日後と、一週間後の放課後、それぞれ
再び、あのバスに足を運んだ。

あの少女が居るかもしれない・・・
その想いから、足を運んだが、
二回とも、少女に会うことはなかった。

こういう展開になってくると、
俄然、「幽霊説」が真実味を
帯びてくるはずだが、
俺の心には、純粋に「もう一度会いたい」
という気持ちが涌いていることに気づいた。


最初の、謎の少女との出会いから2週間後、
俺は「かぶと山」中腹にある、
「村本」という表札がかかった、
大きな門の前に居る。

Google Mapを見てわかったが
あの美少女と遭遇したバスは私有地内にあり、
その境界線と思われる「破れたフェンス」を
辿っていくと、
「かぶと山」中腹の門に辿り着いた。

確かに、「かぶと山」のメインストリート?を
進むと、途中で、
「この先私有地につき立ち入り禁止」
という案内があり、
一本道が一個人宅の門で終着を迎えているのは
知っていた。それが、今いる、この場所だ。

そこには、立派な門があった、そして
門は開いており、中に入ることができそうだ。

来てはみたものの、具体的なプランが
あったわけではないが、
あの美少女に会いたい、という気持ちが勝り、
その門を抜け、奥に進んでいった。

暫く歩くと、白を基調とした家が見えてきた。
家の前には芝生が敷き詰められた庭があった。
そして、その芝生を手入れしている
女性の姿も目に入った。
自分の母親くらいの年齢に見える。

何と、声をかけようか迷っていたが
俺に気づいた、女性の方から声をかけてきた。

「あの、どちらさまでしょうか?」
訝しがりながらも、穏やかな表情で
尋ねてきた。

具体的なプランがなかったので、
向こうから尋ねられ、むしろ助かった。
俺は返した。

「あ、すみません。門のところに
インターホンがなかったもので。
実は先日、虫捕りをしていて
知らず知らずのうちに、
お宅の敷地内に入ってしまっていたようで。

その時にバスを見つけて、
放置車両と思い込み入ると、女の子が居て。
脅かしてしまったと思い、
謝りに来ました。」

何を謝るのかは、自分でもよくわからないが
ノープランの割には、自分なりに
それらしい理由が言えたのでは?と思った。

その言葉を聞いた女性は、
微笑みながら言った。

「まぁ、そうだったんですね。
あのバスは、確かに、うちの"離れ"よ。
どう見ても、放置車両に見えるわよね。
気にしなくて大丈夫よ。
わざわざ、ありがとうございます。」

その女性が、そのフレーズを言い終わった時
ちょうど、家から出てくる人影が見えた。
白のワンピースを身にまとった
その顔は、しっかりと覚えている。
あのバスで会った少女だ。

俺が「あ!」と小さくあげた言葉に、
気づくことなく、前に居る女性が
少女に話しかけた。

「麗奈、具合はどう?
ところで、こちらのお子さんが
先日、敷地内と知らずに、
あのバスに入ってしまったことを
謝りに来てくださったの。麗奈、覚えてる?」

その言葉を聞いた少女は、俺の姿を見ていた。
あの日と同じ、大きな瞳で、まっすぐと。
あの子に間違いない、その確信を持った時、
少女が口を開いた。

「ごめんなさい、覚えてないわ」

俺は心の中で呟いた。
「そんなわけはない。なぜ?
もしかして、俺、嫌われたのかな?」

心情の整理が出来なかったが、
目の前の女性は、特段、驚くことなく言った。
「そう。ところで、せっかく
来てくれたんだから中に入って、
ジュースでもどう?
ここまで歩いてくるの暑かったでしょ?」

その言葉は俺に向けられたものだった。
俺が返答する前に、あの日の少女は
玄関のドアを開け、
「どうぞ、中に入ってよ。」と笑顔で言った。

俺は戸惑いながら、導かれるまま、
家の中に入った。玄関を入り、
すぐ右側にあるリビングに通された。
そして勧められたソファに座ると、
横に少女が座った。

嫌われてるのか?そうでないのか?
よくわからない状況に戸惑う俺にかまわず、
少女は、私に話しかけてきた。

「はじめまして、私は、村本 麗奈です。
小学5年生です。ねえ名前、聞いてもいい?」

はじめまして、という言葉に戸惑っていた。
あの日のキスは幻だったのだろうか?
そう思いながら、俺は返した。

「僕は、高城 律っていいます。
僕も5年生です。同じ学年だね。
僕は上原小学校だけど、
村本さんは、高陽小学校?」

勝手に失恋した気分になってたが
何とか、その気持ちを取り繕い、
会話を続けた。

同じ学年だが、学校で会ったことは
なかったので、当然、隣の小学校だと思い、
聞いてみただけで、本当に、その答えを
知りたかったわけではない。

彼女は答えた。
「通信制の学校なの。でも、学校と言っても
国に認められた学校じゃないから、
私も、上原小学校に在籍してることに
なってるよ」

予想外の返答に、頭の中が
クエスチョンマークで埋まってる。
聞きたいことが山ほどあるが
頭の中で整理できないでいたとき、
女性が飲み物などを持ってきた。

「律くん、ゼリーは嫌いじゃない?
よかったらどうぞ。でも同じのがないから
悪いけど、2人で話し合って分けて。
イチゴ味と、オレンジ味よ」

その言葉を聞いた麗奈は、口を開いた。
「律くん、どっちがいい?」
「どっちでもいいよ」
「じゃあ、私、オレンジ味を
もらってもいい?」

俺が頷くと、麗奈は再び口を開いた。
「ありがとう。ねえ、もし時間大丈夫なら、
一緒にゲームしない?」
ここまでのやり取りから、
嫌われてはなさそうだ。

多くの疑問がありながらも、
まだ希望を断たれてないと感じ、
心の中で小さくガッツポーズをした。
そして、その高揚感を悟られないよう、
努めて冷静を装い言った。

「時間は大丈夫だよ。」
その言葉を聞いた麗奈は、母親に言った。

「ねえ、お母さん、律くんと
部屋でゲームするから、ゼリーとジュース、
部屋に持っていってもいい?」

その言葉に母親は、「いいわよ」
と言いながら、お盆を持ってきた。
麗奈は、2人分のジュースとゼリーを
お盆に乗せると、立ち上がり
「律くん、行こう」と言った。

俺は頷き、麗奈の後をついていき、
2階にある麗奈の部屋に入った。
そこには小さな丸いテーブルがあったので
麗奈はお盆に乗せたまま、テーブルに置いた。
麗奈はテレビをつけ、ゲームの準備をした。

その後、2人でゲームをしていたが、
その時、麗奈が言った。
「なんか、律くんとは
初めて会った気がしない、というか、
たぶん、バスで会ったんだよね?
私、その時、眠ってた?」

俺は「うん、少し起きた時間もあったけど、
だいたい眠ってたよ」と答えた。
そして、あの日のキスを思い出していた。
その言葉を聞き、麗奈は返した。

「そっか、ごめんね。覚えてなくて。
私、実は『眠り姫病』っていう病気なの。
正式な病名は、クライネレビン症候群って
言うらしいんだけど。

10日間周期ぐらいで、"眠り"の周期がくるの。
"眠り"周期の時は、一日の大半、眠ってて、
起きてる時でも、寝ぼけたような状態で、
ぼーっとしてるから、あんまり記憶ないの。
だから前に会った時、変なことあったら
ごめんね」

その言葉を聞いて、これまでの出来事を
納得することが出来た。ちなみに後で、
自分でも病気のことを調べてみたが、
この病気は原因不明の難病らしい。

可愛いくて明るい、目の前の少女が
そんな病に侵されているとは知らなかった。

ふとその時、ゲームをしてた麗奈の手が
ジュースに刺してあったストローに当たり、
ストローがゲーム機の上に落ち、
水滴がゲーム機についた。

麗奈は、「あ、しまった」と言い、
ストローをお盆に戻して、
ゲーム機の水滴を拭くために、
上半身を捻らせて、後ろを向き、
ベッドの上にあるティッシュの箱を取ろうと、
右手を伸ばした。

それでも少し届かず、
さらに右手を伸ばすため、上半身を傾けた。
その傾けた上半身を支えるため、
左手を床についたのだが、
そこには俺の右手があった。

麗奈は「あ、ごめん
、、、あれ?思い出すかも」
と小さく言った。

俺は何のことか、わからなかったが
考えるより、麗奈の手の温もりを
右手に感じることに集中していた。
と、その時、麗奈が言葉を続けた。

「あ、律くん、まつげに、ほこりついてる。
取ってあげるから、ちょっと目を瞑って。
目に入らないよう、ゆっくり閉じてね」

俺は言われるがまま、目を閉じた。
自分のまつげに、何かが乗ってる感覚は
勿論ないが、何となく、まつげに
神経を集中させていた。

しかし、その直後、異変を感じたのは
まつげではなく、唇だった。

唇に柔らかく、暖かい感触を感じた。
それは2週間前、あのバスで体験した
感触と同じだった。

目を開けると、そこには麗奈の顔があった。
麗奈はゆっくりと、唇を離して言った。

「思い出したよ、バスでの出来事。
これ、2回目だね」

『かぶと山の眠り姫はもう居ない・・』


甘酸っぱい、あの出来事は
もう8年前になる。

当時、小学5年生だった俺には
「付き合う」というものがどういうものか、
わかってはいなかった。

だから同級生の女子達とは違う距離感なのは
間違いないが、大人になった今振り替えると、
あの当時、2人の距離感はなんとも微妙で、
だからこそ甘酸っぱい関係だった。
謂わば「恋の入口」の距離感だった。


そんな「距離感」に居たはずの麗奈は
8年絶った今、その甘酸っぱい「距離」には
もう居ない・・・・・




そんな8年前の麗奈との間の出来事を
思い出した理由は、自分ではわかっていた。

去年、高校を卒業した俺は、
今年から、カーディラーで働いている。
工業高校で学んだ、自動車整備を職に選んだ。

時計の針が、夕方6時を回り、
工具類の片付けをしている。
そして片付けが終わり、着替えのため、
事務所に向かおうとした時、
後ろから声がした。

「りつー!仕事終われそう?」

振り返ると、白いノースリーブスのシャツ、
夏っぽい薄いグリーンのパンツを履き、
肩にトートバッグをかけた女性が居た。
俺は言葉を返した。

「ちょうど終わったところだよ。
着替えてくるから、ちょっと待っててね、
麗奈」

今年から大学生になった麗奈との交際は
もう9年目に入った。
あの頃の「甘酸っぱい距離」から
ぐっと近づき、今や、夫婦と変わらない
「距離感」に居ると思う。

勿論、夫婦の「距離感」はわからないので
予想でしかないが、そんなに外れてないと
思っている。

クライネレビン症候群は、
原因不明の難病で治療法は確立されてない、
とは言え、ほぼ全てのケースで
時間が経てば、治癒する病だ。

麗奈も中学2年の頃、完治した。
それから中学は同じ学校だったが
それ以降は、俺と麗奈の学力差は
歴然としており、高校以降は別々になった。

勿論、麗奈のほうが成績が上で、
俺のほうが下だ。
ただ学校は違うが、交際は続いていた。

今日は小学校の頃の同級生との同窓会だ。
麗奈も参加する。
実は、あの出会いの後、学校の行事ごとに、
麗奈を参加させて欲しいと先生に掛け合った。

元々、上原小学校に籍はあったので
学校側としては何の問題もなかった。
今までは、呼ぶきっかけと理由が
なかっただけといったところだった。

いつ睡魔に襲われるかわからない麗奈は
学校に通うことが出来ず、
それゆえ、学校に友達が居なかったため、
学校側も「呼んでも、かわいそう」と
思っただけだった。

そこに、俺の存在が出来たため
参加する理由ができた。
事情を話した同級生たちは、
全員、理解してくれた。
だから行事ごとの時だけ麗奈が登校しても
麗奈がひとりぼっちになることはなかった。

小学校を卒業してから6年目、
同窓会が、この日あるため、
8年前の、あの出来事を思い出したのだろう。

着替えが終わり、職場を出ると
麗奈が俺を見つけ駆け寄ってきた。
そして俺の左腕に、右腕をからませてきた。

歩きながら、何度もしたことがある
質問を改めてしてみた

「ねえ、麗奈、なんで、
あの日キスしてきたの?」

「いやぁ、寝ぼけてただけだから
本当にわからない。
まぁでも、同年代の男子に会う機会が
なかったから、寝ぼけながらも
舞い上がったんじゃないかなぁ?

まあ、あれよ、ホイホイに入ってきた
Gみたいなもんだったんじゃない、律は?」

その言葉に、2人とも大笑いした。

そして麗奈の笑顔を見ながら思った。
あの日の眠り姫と、これからも一緒に
歩んでいこうと。

(終わり)

今朝、出掛けに、自宅マンションの下で
今晩行われる、マンションの夏祭り準備を
子供たちもやっているのを見て、
何となくストーリーが思いつき、
通勤時間を利用して書いてみました。
お話はフィクションですが、
私が「遠い昔(笑)」通っていた
大学付近の地区を舞台にしてみました。
(完全に同じ地名ではないですが、
実在する地名に似た地名で書いてます)






































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