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どうして・・俺に近づいてきたの?

「どうして・・俺に近づいてきたの?」

テーブルを挟んで向かい合う社員食堂。
他店舗の店長とランチを食べ終わってコーヒーを飲んでいるとき唐突に向こうから尋ねて来た。

「××さんが好きだから」

上目遣いに瞳を見つめながらイタズラっぽく言う。

相手が「プッ!」とコーヒーを吹き出す。
ああ、この人には冗談が通じるセンスがある。
その瞬間からどこかピンと張っていた緊張の糸がプツリと切れる。
そこからは気取りも嘘もお世辞もない気楽な関係が始まる。

もちろん好きと言ってもセクシャルに好きと言うことではない。

その人が纏っている空気感、話す言葉、服のセンス・・。
要するに人間的にその人が好きなのだ。
僕は興味を引かれる人には自分から積極的に声をかける。

打算なんて全くない。
なにか得があるからなんて事で近づくことは全くない。
嘘がつけないので例え表面的に取り繕っても顔や態度、全身から滲み出てしまう。

有名人だからと興味を惹かれることもない。

普通に日々暮らしている人ほど興味がある。
自分には無いものを持っている人、感性の人、
嗜好の人、生きている世界が違う人、知らぬ世界を見せてくれる人、感じさせてくれる人・・。

そんな人には気が付くと声を掛けている。
大抵、自分の目に狂いはない。
皆、魅力的な人たちばかりだ。

僕があまりにも無邪気に絡みついてくるので相手に疑念が生まれてくるのだろうか。
もし逆の立場だったらと思い返せばグイグイ近づいてくる人がいたら多分胡散臭いなぁと疑ってしまうかもしれないなぁ。

だから「どうして俺に近づいてきたの?」と聞いてくれた方が有難い。

同性同士で「あなたのここが好きだから友達になってください」とも言えないだろう。

でも最近はまどろっこしいので自分から「友達になってください」と言うこともある。

いい歳をしてなんて言い方は好きではないので友達に年齢も年齢差も関係ないと思っている。

自分の気持を伝える大切さを最近はシミジミ噛みしめている。

自分の方も相手に「知り合えて良かった」と思ってもらえるように精進は欠かせない。
お互いにとってプラスになり合える関係が理想で最高だ。

追記

因みに先のエピソードには後日談があってたまたま社員食堂で離れた席に座っていた同じ会社の人が二人のやり取りを見て

「あんたらビックリしたで!あんまり顔が近いからそのままキスするんちゃうかってドキドキした!」

と話してきた。

僕ら3人はフロアに響き渡るほど大きな声で笑った。
でもお客様に失礼なので小さな声でゲラゲラ笑った。
フロアマネージャーがギロッとこちらを見ても気にならなかった。

そんなライトな関係がとても楽しかった。



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