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Reborn 

思い出に慰められたくて訪れた海岸通り
夕暮れ間近のビーチにはカモメの姿さえ見当たらない。
ほんの少し前には隣にあった温もりを想いながら
冷たい海風に吹かれて彷徨い歩くつもりだったのに・・。

何もなくなった砂浜に一人佇む。
もっと感傷的になるかと思った。
でも何も感じなかった。
水平線を淡いシャーベット色に染めて傾いてゆく夕日。
むしろ綺麗だと思った。

本当はわかっていたのかも知れない。
そう気づいた途端気持ちがフッと軽くなり
繋がれた鎖から解放された気がした。

何かが緩んで砂漠に小さなオアシスが生まれ
水が砂漠に浸透する。

身近な人たちの顔が浮かんだ。

素直な気持ちになるとそれぞれに
思いが込み上げてくる。
そうだ・・・今日はバレンタインデー。
チョコすら買うことすら忘れていた。
明日渡しても大丈夫かしら。

でも、まずは私にプレゼントを贈ろう。
自分で自分に愛を贈ろう。
最初はそこからはじめよう。
「駅前に美味しそうなクレープ屋さんがあったわ。
確かオレンジピールがたくさん乗ったチョコレートクレープを宣伝していた・・・」

なんだか今日は何をしても良い気分になった。
だって今日はバレンタインデーだもの。

たくさんの愛が生まれる日・・・。








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