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恋の向こう側

蝋燭の炎が映る瞳に見とれていると
だんだんと距離を縮める熱い吐息

なかなか触れない唇に焦れったくなって
私から口づけた。

夢、夢を見ている。
長い間見ていた夢が・・。
恋が成就する夢。
でも夢が叶ったら次はどうするの?

そう思ったら一気に覚めた。
唇が熱を帯びる前に
迷わず私は引き返した。

今ならまだ友だちに戻れるだろうか?
こんなに魅力的な男を私は簡単に失いたくはない。

恋が実ってそれが愛に変わったとしても長いライフステージの中で二人の関係は知らぬ間に変化していくだろう。
それより特別な友だち、そう!親友でいたほうがお互い適度な緊張感を持って輝きを失わずにいられるのではないかしら?

彼はそうはならないかもしれない。
その時はその時だ。
そうありたいと思わせる程私に魅力がなかった。
それだけのことだ。

私は今の私のそのままの気持ちを込めて彼を見つめ返した。

熱く見つめていた彼の瞳がこれからの二人の行方を理解したように心なしか柔らかさを纏って私を見つめ返していた。

千本ノック     8/1000

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