あなたがワニのことを思い浮かべるとき、脳裏のワニはどんなポーズをしているだろうか。わたしは先日までポロシャツの胸元にいるような「いかにもワニ」という姿を想像していた。ちなみにラコステのワニは右向きで、クロコダイルは左向きらしい。向かい合わせで並べたら狛犬みたいになって格好いい気がする。 ワニの生態について考えると、地上よりも水中にいる時間のほうが長そうだ。その証拠にジャングルクルーズに乗れば必ずワニが襲ってくるし、因幡の白兎では行儀良く水面に整列してくれる。(後者の「ワ
出会った瞬間から「いとおしい」という気持ちを掻き立てる生き物が、この世には幾らか存在している。コビトカバは間違いなくそのひとつだろう。 [コビトカバ 赤ちゃん]と検索してみると、ディズニーアニメかと見紛うような愛くるしい表情の仔カバが並んでいる。動物の赤ちゃんといえばフワフワが定番だが、カバベビーはヌメヌメしていて、哺乳類なのに両生類みがある。 先日はじめて会うことのできたコビトカバは、そこそこ成長して赤ちゃんの雰囲気は脱していたが、いとおしさは健在だった。 も
新川帆立さん著の『女の国会』を読んだ。政界を舞台にしたミステリー小説で、読み終わるのが勿体ないのに一気に読んでしまう作品だった。その魅力のひとつが、個性的な登場人物たちである。 読んでいるうちに脳内で勝手にキャラクターデザインをしてしまったので、読書の記念として出力してみた。もちろん個人の勝手なイメージである。ついでにざっくりと、ネタバレにならない程度の人物紹介をしてみる。 高月 馨(46) 所属:民政党。国対副委員長。 納得のいかないことがあると正面切って「憤慨してい
と問われたら、どう答えるだろうか。少し前の私であれば、「別に、ふつう」と大人に心を閉ざしたティーンエイジャーのようなことを言ったはずだ。 先日モネ展に行ったのは友人から誘われてのことである。小学生の頃にルノワールの展覧会に行ったときには、薔薇色の顔をほころばせる少女の可愛らしさや、裸婦のまとったふくよかな幸福感にうっとりとしたことを覚えている。親にねだって小さなレプリカを買ってもらったくらいだ。だから私は好きな画家を尋ねられたら「ルノワール」と答えることにしていた。他の
前の記事で、次は『地球博物学大図鑑』の中身について紹介すると書いたが、それは半分嘘になる。というのは、図鑑の内容に触れる前にどうしても伝えておきたい魅力があるのだ。 それは中身ではなく外側、つまりカバーデザインである。前回貼ったのと同じだが、下記の東京書籍のサイトで写真を参照されたい。 まるで標本箱のように「地球上の全て」が並んだ美しいカバーデザイン!このように様々なバリエーションのものが等間隔に並んでいるのを見るだけで胸が踊るのは、私だけではないはずである。ちなみ
何年か前に、自分へのご褒美を買おう!と思い立ったことがある。すごく頑張ったか、つらいことがあったか、何があったかはもう忘れてしまったけれど。とにかく、ちょっと贅沢で、気分の上がるものを買おうと思ったことは覚えている。 たとえば食べ物や飲み物で贅沢をする方法もあるが、なにか形に残るものが良かった。服や靴やアクセサリーという選択肢もあったが、特にこれといって欲しいものが無かった。妥協はしたくなかったのでしばらく保留していたのだが、あるとき、閃きの妖精が降りてきて囁いた。
桜林直子さん著の『世界は夢組と叶え組でできている』を読んでいる。桜林さんのことはTBSポッドキャストの『となりの雑談』という番組で知った。私は番組開始当初からのリスナーなので、1年ちょっと前のことだ。ご著書のこともちらちらと話題に出ていたので気になっていたのだが、なんとなくタイトルから「私にはまだ早いかもしれない」と先延ばしにしていた。その感覚はたぶん間違っておらず、今だからこそ咀嚼できる内容だと感じている。 こんな感想を書くと、何やら難しいところのある本なのかと誤解す
通勤時、駅のホームで電車を待っていた時のことだ。私の前には数人が並んでいた。電車が到着してドアが開くと、人波が溢れ出す。降りる人々が途切れるのには、もう数秒かかりそうだ。そんなことを考えながら、手に持っていたスマホに見るともなく目線を向けた瞬間。後ろから怒鳴り声がした。 「スマホばっかり見てボーッとしてたら後ろの迷惑だろうが!!!」 振り返ると、私よりは幾分か年上であろう男性がいた。先ほどの怒声はこの男性が発したものであるらしく、苦々しい表情で舌打ちをしていた。私は大
少し前に、福井県に行ってきた。昨秋の遠野旅行で味を占めた私は、すっかり旅人モードになっているらしい。泊まりがけの旅行をこんなに間隔を空けずに(しかも自発的に!)連続したのは、私の人生としてはとんでもない快挙である。 今回の旅のメインは福井県立恐竜博物館。過去に一度だけ行ったことがあったが、何度でも訪れたい博物館だ。FPDMという略称からして格好良い。もしも売店でFPDMと書いた腕章が売っていたら、使い道もないのに買ってしまう気がする。 恐竜と妖怪に感じるトキメキは、
植物画を立体化してみた。 https://youtube.com/shorts/XjUWF0qW1G4?si=YbX3J-5aj3Vb7jBs #blender #3dcg
モーモーチャーチャーをご存知だろうか。わたしはモーモーチャーチャーについて何年も前に同僚から教えてもらったのだが、モーモーチャーチャーの実在は確認しないままでいた。先日、たまたま立ち寄った成城石井でモーモーチャーチャーを見かけた。それまでモーモーチャーチャーのことはすっかり忘れかけていたのだが、モーモーチャーチャーの名前を見るや記憶が蘇り、「これがかのモーモーチャーチャーか!」と鼻息を荒げたわたしは、ついにモーモーチャーチャーを手に取ったのである。 「声に出して読みたい
あまり大きい声では言えないが、わたしは正直なところ遠野市立博物館を舐めていた。市立の施設ということで、くそ真面目な、学びはあれど華はない展示を想像していたのだ。 実際に足を踏み入れてみて、この先入観は完全にくつがえされた。 まず映像作品がすごい。2階のシアターでは座敷童子のアニメーションが映写されていた。これがとても良い。絵本のような美しさと民話的な恐ろしさが共存した素晴らしい短編作品…というわたしの陳腐な感想は忘れて、ぜひ実際に観てほしい。 さらに1階に降りる
さて今回のメインたる、カッパ淵である。ここでは所定のカッパ捕獲許可証を購入すると、キュウリを餌にカッパを釣ることができるとのことだった。わたしは飛行機の中からずっと、この許可証を買うべきか否か考え続けていた。 値段としては決して高いものではない。許可証を買って帰れば話の種にもなるだろう。さらに、キュウリをぶら下げた釣竿を手にカッパ淵にたたずむことを想像すると、それなりにわくわくするのも事実だった。 その一方で、わたしはカッパに会ってはみたいが果たして捕獲したいのだろ
遠野市に入ると、至る所でカッパを見かけた。道路の案内標識や看板のあちこちに、まんが日本昔ばなしのエンディング曲で手を振ってくれそうなカッパのイラストが添えられている。 「遠野のカッパは赤い」のだと予習していた。だからてっきり看板や土産物にも赤カッパが目立つのかと思いきや、存外に緑色ののカッパが幅を利かせていた。たしかにカッパといえばアマガエルのようなグリーンで塗りたくなるし、ぱっと見で「カッパだなぁ」という安心感がある。 しかし「カッパは緑」というわたしたちの先入観
旅は好きだ。その割には、めったに行かない。ひとえに諸々の準備が面倒だからである。「休みが取れたら」だの「季節が良い時に」だのは、総じて「面倒くせぇ」の言い換えに過ぎない。それでもごく稀に、旅に行きたい気持ちが面倒臭い気持ちに勝つことがある。今回の岩手旅行がそれだった。 この旅の最たる目的は、遠野のカッパ淵である。遠野市といえば、妖怪好きの多くが憧れる地ではないだろうか。別にアンケートを採ったわけではないので知らないが、わたしは十代の頃から静かに熱烈に憧れて続けていた。そ