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日本の森林について知っていることはありますか?

木を伐って、使って、そしてまた、木を育てる。
森林は循環させることが大切である。


春が短く、暑い日が増え、地球温暖化を実感する

日常生活を送るうえで、誰もが感じている環境問題は温暖化ではないでしょうか。夏の気温が高いだけでなく、春や秋にも暑い日が増えています。日本の「四季」がなくなり、「二季」になるといったニュースを見聞きした人もいるかもしれません。

地球温暖化の責任は人類にあります
気候科学者たちは、過去200年間の地球温暖化の責任がほぼ全面的に人類にあることを明らかにしました。人間活動で生じた温室効果ガスによって、少なくとも過去2,000年間のどの時期よりも速いペースで、地球の温暖化が進んでいます。

国際連合広報センターHPより

地球温暖化を防ぐためには、二酸化炭素排出量を減らすことが大切です。
そのために私たちができることの一つとして節電があります。
なぜ、節電が二酸化炭素を減らすことにつながるのでしょうか。
その理由は、エネルギーの大半は、石油や石炭などの化石燃料を燃焼し得ているからです。そして、燃焼の際、大気中に二酸化炭素が排出されています。したがって、節電することにより、化石燃料の使用を抑えられます。
節電の方法は

  • テレビやパソコンなどの本体の主電源を切る

  • 長時間使わない家電のプラグをコンセントから抜く

  • LED電球や省エネ家電を使う

  • 冷蔵庫に食材を詰めすぎない

  • 夏はカーテンなどを使って日光を防ぐ

などです。

森林は二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献する

節電は二酸化炭素排出を減らすことにつながりますが、大気中の二酸化炭素を取り除く方法があります。
その一つは、樹木の光合成です。森林の1本1本の樹木が光合成により、葉から大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出しています。そして、炭素は蓄えたまま成長します。樹木がたくさん生えているほど、二酸化炭素を多く吸収してくれます。このように森林は、地球温暖化を防ぐことに大きく貢献しているのです。

東京にも森林がある

日本は世界有数の森林国です。国土面積(3,779万ヘクタール)の約7割を森林面積(2,505万ヘクタール)が占めています。国内で森林面積が大きい都道府県は、北海道、岩手県、長野県と続きます。
CODESIGN TOKYOのオフィスがある東京にも森林があるのでしょうか。
なんと、東京都の面積のおよそ4割が森林です。主に多摩地域と島(とう)しょ地域が占めています。多摩地域にある東京都あきる野市の秋川渓谷は、大自然を感じられる観光スポットです。

東京都あきる野市の秋川渓谷

森林は温暖化防止や観光だけでなく、私たちの生活も支えている

森林は、実は私たちの生活と深く関わっています。
例えば、

  • 大雨や台風の時、木の根が土砂崩れを防ぐ、森林の土壌が降水を溜め、川へ流れ込む水の量を均一にし、洪水を緩和する

  • 雨水が森林の土壌を通ることで、水を綺麗にしている

  • 大気中二酸化炭素を吸収し、地球温暖化の防止に貢献している

  • 木材、きのこ、山菜、竹などさまざまな資源を供給する

このような森林がもつ様々な機能を「森林の多面的機能」といいます。森林の多面的機能は、8つあります。
各機能の具体的な内容です。

  1. 生物多様性保全:遺伝子や生物種、生態系を保全

  2. 地球環境保全:地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収・貯蔵

  3. 土砂災害防止機能/土壌保全機能:樹木が根を張ることによって土砂の崩壊を防ぐ

  4. 水源涵養機能:雨水を貯留し、河川へ流入する水量の平準化や安定化をする機能

  5. 物質生産機能:木材の生産

  6. 文化機能:行楽や芸術の対象や森林環境教育や体験学習の場としての役割

  7. 保健・レクリエーション機能:行楽やスポーツの場を提供

  8. 快適環境形成機能:防風や防音、ちりやほこりの吸着、ヒートアイランド現象の緩和

林野庁 HP 森林の有する多面的機能より

日常生活を送っているなかで、森林の多面的機能を実感する機会は少ないかもしれません。
一番身近な食べ物と森林の多面的機能の関係性で言えば、森林から遠い場所に住んでいても、おいしい山菜やきのこを食べることができます。
他にも、森林の土壌の養分は川を通じて海に運ばれ、そこで海草やプランクトンに利用されます。この養分は食物連鎖を通じて魚介類へと伝わり、結果としておいしい海産物を食べることができるのです。
農作物についても、森林の土壌できれいにろ過された水は、農作物の成長にも役立ち、結果として私たちに豊かな恵みをもたらします。

森林がただあれば良いわけではない。未来にも残していくには人の手が必要

森林の多面的機能を発揮させるためには、ただ森林があればいいというわけではありません。「木を植える→育てる→使う→植える」のサイクルを作り、健全な森林を育てていくことが重要です。そのためには、人の手によって行われる「森林整備」が必要なのです。

人の手によって植え、育てた木からできている森林を、人工林といいます。日本は、森林面積全体の約4割が人工林です。

人工林はそのままほったらかしておくと、木がうまく育たなかったり、森林が荒れてしまったりするので、きちんとお手入れをしなければなりません。

関東森林管理局HP「森のQ&A」より

天然林は、人間の作った人工林とは違い、生えている木の種類も年齢も様々。世代交代は自然の力でゆっくりと進んでゆきます。でも何もかも自然の力にまかせて育った森は、全部がぜんぶ元気な状態とは限りません。放っておくと森林の働きはだんだん衰えてゆきます。そこで、人間がちょっと手を貸してあげると元気を取り戻します。たとえ天然林であっても、いつも元気でいるためには人間の手助けが欠かせません。

関東森林管理局HP「森林を育てる」より

木を伐り、使うことで、新しい木を植えることができる

健全な森林を育てるには、高齢の人工林を適切な時期に伐り、新しい木を植えます。そうすることで、森林が若返り、未来につながります
私たち消費者にできることは、積極的に木を使うことです。では、木材利用方法はどんなものがあるのでしょうか。

国産木材の魅力発見拠点 MOCTION(モクション)という場所がある

木材利用について調べていくと、国産木材の魅力発信拠点 MOCTION(モクション)という場所があることを知りました。
場所は、新宿駅から徒歩10分程度です。西新宿にある地上52階、超高層ビルの新宿パークタワーの中にあります。
「MOCTION」とは、多摩産材など国産木材の活用に向けた情報発信の拠点です。
東京都が、さらなる木材利用の拡大に向け、国産木材の魅力を発信する拠点「MOCTION(モクション)」を開設しました。全国各地の木材利用促進、さらに森林循環へと繋げていく場所です。

東京の多摩地域で生産・認証された木材を「多摩産材」という

訪れてみると、内装や家具に多くの木が使われ、ビジネス街の中で木の香りに包まれた空間を味わえる素敵な木質化オフィスでした。
「東京の木 多摩産材」を活用したモデルオフィスとなっています。多摩産材とは、東京の多摩地域で生産・認証された木材です。
他にも、国産材を使った製品の展示や常設展示スペース、企画展示スペース、コワーキングスペースがあります。

企画展示スペースには、日本の色々な地域の木製の商品などが、期間ごとに展示されています。私が足を運んだ時には、子どもから大人、ペットなどが日常生活の中で使用できる製品が展示されていました。
一般消費者である私たちが普段使う日用品を、木材でできているものに変えることは、すぐにできる木材利用であり、ハードルは高くないと実感しました。

MOCTIONのスタッフの加藤太一さんに、コワーキングスペースのデスクについて詳しく教えていただきました。
デスクは、角材を使って作られたものです。木材を乾燥させる時に、木が割れないように切り込みがいれてありました。他にも、角材が森林で育っている間、どれくらい大気中の二酸化炭素を吸収したかが分かるように、CO2吸収量をデザインとして刻印しています。
森林の木は、長年にわたり大気中の二酸化炭素を幹や枝、根が吸収し、さらに木材の中に炭素として固定・蓄積できるのです。

森林整備を行っている林業は、未来につながる仕事

加藤さんに日本全国や東京の森林、木材利用について勉強していることを伝えると

  • 林業の仕事内容(木を植える、枝を切る、木を伐るといった工程があること)

  • MOCTIONが行っていること(国産材を使いたい人たちへのアドバイスやマッチング、企画等)

色々な話を聞かせていただきました。

お話の中で、とても印象的だったのが
「木は育つのに30~50年かかります。
林業家の方たちは、孫の世代の人たちが使う木を植えて育てています。
孫の世代につながるお仕事をされているんですよ」
というものです。
この話を聞き、林業家の方たちは未来につながる、素敵な仕事をしていると感じました。とても勉強になる充実した時間でした。

やはり現場である東京の森に実際に足を運ぶことが大切だと思い、
2022年12月12日に一般の人も参加できる秋川木材協同組合が開催している「東京の木・多摩産材エコツアー」に参加してきました。
エコツアーについてのお話は、別の記事となります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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