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国連平和維持活動の原則

平和維持活動(PKO)とは、紛争地域における国際の平和および安全を維持し回復するために国連が行う活動であって、軍事要員を用いるが強制権限を持たず、同意と協力に基礎をおく。それ自体として紛争の平和的解決をもたらすというより、停戦の維持によって平和的解決の条件を創り出すものである。平和維持活動局が2008年に公表した「国連平和維持活動:原則と指針」では、当事者の同意、公平性、および自己防衛と任務の防衛の場合を除く武力不行使は、現在でもPKOの三つの基本原則であることを確認している。

現代のPKOはその任務の範囲を拡大しているが、同意原則を緩め、PKOに強制権限を付与し、平和強制を行おうとした過去の事例では、所期の効果を上げなかっただけでなく、紛争に巻き込まれて要員に多大の損害を出すなど、大きな失敗があった。国連による事後の検証によれば、維持するべき平和が存在しない場所において平和を維持し平和維持活動の諸原則を適用しようとしたことの誤りを認めている。

日本のPKO協力法は、国連平和維持活動の定義として、国連による統括、停戦合意、紛争当事者の同意などを挙げており、一応国連との憲章適合性を確保するものとなっている。また、現在のPKOは、行政官、選挙監視員、人権モニター、難民・人道問題の専門家、文民警察官など、文民要員の需要が高まっている。憲法上の合憲性が問われる自衛隊の海外派遣よりも、このような文民要員によるPKOへの貢献こそ、日本が行うべきことではないだろうか。

<参考文献>松井芳郎『国際法から世界を見る第3版』

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