if ~どんなもしもが君の未来に【くしかつ先生の定時制高校日記】002
2018年4月26日(木)
どんなもしもが 君の未来に
わりこんでも かまわないさ
僕はずっと味方さ
「if」CHAGE and ASKA
「if」は愛する人へのラブソングであるが、このフレーズだけを抜き取れば若いカップルだけではなく、親が子を思う気持ちにも当てはまりそうだ。
世の中では、「もう勝手にしろ」と怒鳴られながら息子や娘が自立していくこともあるだろう。それでも親心として、最低限メシだけは食えるように、幸運を祈ったり支援したりしてしまうものなのではないか。
我が子が産まれたときに誓った気持ちを「ずっと味方さ」と表現してもいい。
一方で小生は、親から味方をしてもらえない高校生が少なくはない現実を知った。
16歳の雄大(仮名)は毎日17時からの給食を食べない。給食費を払えていないのだ。アルバイトをしたりそのお金で菓子パンを買って凌いでいる。
いつも家を空けがちな彼の親は、手続きや教師との関わりが面倒だからと、何かあるたびに学校をやめろと雄大に迫る。本人なりに登校し続ける意志があるのにも関わらずだ。
小生たち教師陣は、必要に応じて、児童相談所や警察と情報を交換してもいるが、雄大がクラスメイトとケンカをしたこと、学校の備品を壊してしまったこと、給食費のこと、そのようなきっかけで親の携帯電話に何度か連絡をした。
情けないかも知れないが、テレビドラマの先生のように単刀直入に思いを伝えられるわけではない。
どんなに歯がゆくても、当たり障りのない会話の中で、少しずつ気持ちを含ませて伝えていく時間を重ねてきた。
このように回りくどいことをする理由は主に2つだ。
一つは、言うまでもなく、万が一教師と親との間で新たなトラブルを発生させてしまった場合、生徒本人に迷惑を掛ける結果になるからだ。
教師と保護者で話をした日の夜、生徒が保護者から殴られたという話も身近で聞いたことがある。
もう一つは、誰もが元々はいい人なのだろう、と思いたいのだ。生徒の父母もかつては子供だった。生まれ育った環境や社会の中での挫折、人間関係の悩みやトラウマ等、色々な生きづらさがあるのかもしれない。
未熟者の小生だが、あの親にも色々事情があるのだろうと想像を巡らせて、正面から非難することがないように心掛けている。
十数年間も生徒を育ててきた親と対比すると、先生が関わるのは主に学校に限られる。同じ生徒を見られることが1年か2年のみの場合もある。
しかし、だからと言って妥協しなければならないのかというと、簡単に譲るわけにはいかない。
雄大には将来がある。とん平高校(小生の勤務先の通称)の定時制で、彼ら彼女らは、就職や進学の線路をこの先につなげられるかどうかの瀬戸際に立たされる。
余談になるが、分岐した線路に列車を進ませるため、方向の切り替えを行う機構を転てつ器と呼ぶそうだ。田舎の駅では今でも大きなレバーを手動で動かすタイプのものが線路わきに設置されている。
そんな情景が生徒の現在地に重なる。進路という列車は行き止まりへ進むかもしれないし、広い大空へ走り抜けるかもしれない。押し込もうとするレバーは重く感じることだろう。
生徒が将来を選択するとき、誰よりも近くにいるのは小生だというプライドがある。
冒頭で紹介したチャゲアス「if」の中の印象的な歌詞に捧げたい、小生なりのアンサーである。
帰り道の風のように 君を抱いて行こう
「if」CHAGE and ASKA
本日の「I CAN’T STOP EATING」
東京都を横切る甲州街道沿いやその近辺は、美味しいラーメン屋が多くて小生も目移りしてしまう。
土地柄、学生や若者が多い。深夜のラーメン店の灯は、国道246号を行き交うお洒落な人たちとはまた異なる無骨な雰囲気の人種を吸い寄せるらしい。
そんな中でこの店もまたノスタルジックに佇む。
ものすごく正確に追求すると、この店のテイストは元祖の長浜ラーメンの派生型のようだ。
鰹がきいた濃厚な豚骨スープに、シャキシャキの刻み玉ねぎが、つかず離れず絡みつき、絶妙なハーモニーを奏でる。
こ、これって、まさに九州から来た大型台風、ラーメン界のチャゲ&飛鳥や!
長浜ラーメンとは博多漁港に面する長浜で生まれたラーメンのこと。1952(昭和27年)に開業した屋台「元祖長浜屋」がその発祥と言われている。
引用元:正しく理解しておきたい「長浜ラーメン」の基礎知識
学生時代は大食いチャンピオンとして(仲間内では)名を馳せた小生、この店で7玉のチャレンジを制覇したことが懐かしい。
SEE YA!
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