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情報教育をインクルーシブにするために出来ることは何か
Asia Pacific Computer Education Conference④
こんにちは、みんなのコードCOOの杉之原です。私は、これまでITベンチャー企業で組織の成長フェーズを経験してきました。みんなのコードでは、業務執行責任を担いながら、ダイバーシティ経営の観点からの組織づくりにも注力しています。
みんなのコードは、2024年11月20日から23日にかけて「Asia Pacific Computer Education Conference」を開催し、14か国から32名の海外ゲストをお迎えし、情報教育の未来を議論する場を設けました。
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私は、最終日の国際カンファレンスで、日本スピーカーの1人としてプレゼンをする機会を得ました。
※国際カンファレンスの様子は以下の記事をご覧ください。
アジアから情報教育の未来へ!6つのビジョンとAPCEC 2024の軌跡
思いがけず登壇の機会を得る
国際カンファレンス開催1ヶ月前、私はプロジェクトマネージャーの田嶋にSlackを送りました。
「今回、ダイバーシティに関するセッション or 情報発信できる余地ありますでしょうか!」
情報教育やテクノロジーをテーマにしたイベントは、イベント登壇者や内容にダイバーシティの観点が欠如する傾向があります。そのため、みんなのコードでは、登壇者のダイバーシティになるべく気を配るようにしています。しかし、企画中はこの観点が抜け落ちることが多く、何かできることはないかなと思い、声をかけました。
また、個人的にも、みんなのコードのD&I推進レポートなど英語版が完成していたこともあり、どこかで共有できたら嬉しいなという思いがありました。
「独立のセッションは設けていないのですが、各国から7分程度ショートトークを実施する時間があります。日本からも何人か登壇予定なので、その中に入れたいなーとは思っています。あきこさんスピーチします? 」
「ブ、ブーメラン。が私にきた!?」
あまり何も考えずに(考えないようにして)、
「やります!」
と即リアクションしました。
何を伝えたいか
主催団体だからプレゼン枠があるように思われるかもしれませんが、みんなのコードには、スピーカーができる専門家がたくさんいるので、社内に競合となるメンバーがいました。さらに、日本の他のスピーカーは、文部科学省ご担当者様、現役の小学校教員、大学教授の方々が登壇予定でした。
貴重なバトンを受け取ったため、プレゼンの目的をよく考えました。私だから伝えられることはなんだろう。
国際カンファレンスは、当然、情報教育ど真ん中の話が続くだろう。
そうであれば、私は、自分が専門としている「ダイバーシティ経営の観点から情報教育をインクルーシブにするために出来ることは何か」に振り切ることに決めました。
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▶︎プレゼン内容:Make Information Education Inclusive
この話をする上で、私が一番伝えたいことは、みんなのコードが大事にしている「”誰も”に届いているのだろうか」という問いでした。
みんなのコードの組織の変化やアクションから、たとえ組織や業界に多様性が欠けていても、ビジネスのプロセスを改善することで取り組むことができる、と結論付けました。
当然、ジェンダーギャップの解消のためのアクションはしていきますが、それには時間がかかる。情報教育をインクルーシブにするために私たちが唯一出来ることは、プロセスを改善することだけだ、と強調しました。
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今日ここで話す理由がある
プレゼンでは、なぜ私がここで話しているか、なぜジェンダー・ダイバーシティに取り組むか、自分の原体験も共有しました。
これまでも同じような話題で何度もプレゼンはしてきましたが、慣れない英語で行うということもあり、原稿を持つ手が震えました。自分でも驚くほどでした。しかし、話し始めると、会場にいる皆さんが前のめりに聞いてくださっていることがひしひしと伝わってきました。
プレゼンが無事に終わったあと、メキシコとチリから参加している男性の参加者が駆け寄ってくれ、声をかけてくれました。
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「私たちも、D&I関連の取り組みをしている。あなたにも参考になると思う。意見交換しよう。あなたが今日はじめてジェンダー平等について触れたからリーダーだ!」とのアツいコメントをもらいました。
わたしのプレゼンをきっかけに、後に続いたプレゼンターの何人かがダイバーシティの観点にも言及するようになり、国際カンファレンスの空気感が少し変わったように感じました。
ダイバーシティに関するアジェンダが国境を超えた歓びと、受け入れてもらえた安心感を感じました。聞き手の理解度や考えが分からない中でダイバーシティについて話すのは、いつも少しの勇気が必要です。
何よりも、プレゼンを聞いていたみんなのコードメンバーのテンションが上がっていて、それが私にはとても嬉しかったです。
ジェンダーギャップの観点から見る国際カンファレンス
国際カンファレンス全体を振り返ると、たびたび、ジェンダーの観点が話題に上がりました。学校の授業見学の際には、海外ゲストから「なぜ男女問わずこんなに集中しているのか?」「女性で情報を担当している教員はいないのか?」と言った声が聞かれました。
また、参加団体のひとつである米国のNPO法人Code.orgは、60以上の言語で無料のプログラミングコースを提供する中で、格差解消の観点から女性のエンパワーメントについて言及しています。
世界中のいろいろな格差の解消に積極的に取り組んでいます。米国では女子の格差が最大の課題であり、例えば女子がコンピューターサイエンスを履修するときは女性の教員が指導するなどの取り組みを進めています。
今後、特にアジア各国の特性を踏まえながら、さまざまな格差にどのように向きあっていくか、情報教育にどう包摂していけるかという観点からも議論できる機会をつくれるといいなと感じました。
番外編:プレゼン準備
ちなみに、私の英語力はいわゆる日本型であり、ビジネスの会話はどうにもこうにも、なレベルです。
準備のプロセスは以下のとおりです。
骨子の作成&準備(2週間前〜1週間前)
誰に何を伝えたいかを設定
プレゼン骨子の作成
Maxパターンでスライドを作成
ChatGPTを使って英語の原稿を作成
ロープレ(1週間前)
個人利用しているオンライン英会話サービスを使ってロープレ(2回)
オンライン英会話講師とキーメッセージの表現をブラッシュアップ
特に表紙の副題を“Ensuring Diversity in the Process”から ”Fostering Diversity Through Business Processes”に変更
仕上げ(最後の数日)
原稿を毎日音読
原稿を改善
長い一文は分割
スムーズに発音できない単語は変更
スライドをダイエット
プレゼン時間が7分だっため、スライド7枚目標
さて、みんなのコードは、2022年から「2030年代の情報教育のあり方」の議論を活性化するため、全国の学校現場、先生方、教育行政、学識経験者、企業の方々と議論する場を設けてきました。
2023年は、さらに「生成AI」「D&I」「グローバル」をキーワードに動いてきました。国際カンファレンスが終わったとき、ここ数年のすべての挑戦が結集したことにじんわりしました。
今年も、さまざまな方向から取り組みを加速させたいと思います!