子供の風邪(咳止め)が無い。(ハチミツはどうでしょうか?)
「処方箋をもらって薬局に持って行ったら薬が無かった…別の薬局に行っても無くて探し回ってる。どうすればいいのか?」
こんな質問を受けました。在庫が無い薬局の対応としては以下のものになるかと思います。
問屋あるいは近隣薬局(小分け対応)に問い合わせをして在庫確認、納期を伝えた上で納品次第調剤。(患者の同意のもと)
手に入らない場合は処方元に疑義照会して、無い薬を変更してもらう(患者の同意のもと)
在庫がある別の薬局に行ってもらう
この三番目の対応はかなりグレーゾーンで、処方箋応需義務に違反している可能性があります。ガイドラインでは、処方箋を応需できない相応の理由として以下の文言があります。
責任を持って紹介しなければ応需義務に違反してる可能性があります。
もっともこれは平成5年に発布されたガイドラインで、昨今の医薬品供給不足に対応しているかは疑問が残ります。
多くの薬局では流通状況を加味して処方元への疑義照会で対応するケースが多いかと思います。
それでは、タイトルにもあります咳止め(これが今一番無い薬です)が無かった場合どうするかですが、大人の場合は何かしら他の咳止めに変更になると思います。(これについてはまた今度まとめてみたいと思います)
しかし、子供用は種類が少ないので「全く無い」ということがあり得ます。
質問のケースは門前薬局が大混雑で2-3時間待ちということで、近所に行ったら軒並み無かったという感じです。門前薬局なら薬があるかという話ですが、無いかもしれませんし、あってもその薬局に小分けはしてくれないでしょう。
まずは、別の小児科クリニックの門前に持ち込むことがいいと思います。あるいは小児科がある病院の門前でしょうか。無い薬が複数あると、余計に時間がかかります。
その上で薬が無ければ、薬局の判断にはなりますが、咳止めの処方を削除してもらうという手があります。
削除してどうするかですが、考え方は二つあって、市販の咳止めを購入するか、そもそも咳止めを今回の風邪では飲まないかです。
処方削除の疑義照会の時に、診察した医師に咳止めが必須か確認した上で、必須で無いのであればそもそも飲まないという選択はアリです。
喘息や気管支炎などの病態はまた別になりますが(このため処方医に確認は必要ですので必ず聞いてもらって下さい)、感冒に付随する急性上気道炎であれば、咳は異物を排出する生体の防御反応なので無理に抑え込まなくて良いという考え方は一定の理解を得られるかと思います。
その上で、咳が辛そうだということならば、ドラッグストアで購入できるOTCの咳止めを使うのが良いかと思います。
処方箋でもらう咳止めとOTCでもらう咳止めは何が違うのかですが、モノを選べば実際変わりません。
医療用はこんなに不足しているのに、OTCは結構あったりします。もちろん、薬代はかかります。小児の場合、おそらく助成があるため病院や診療所、処方箋による調剤での自己負担は0円で済んでいると思います。そこを自己負担するかしないかは個人の判断になると思います。
以下よく出る咳止め成分について書き出してみたいと思います。ちなみに成分の後ろに〇〇臭化水素酸とかついていますが検索はカタカナで検索すれば成分の入ったOTCが見つかります。
デキストロメトルファン
処方箋ではメジコンやそのままデキストロメトルファンで出ることが多い咳止め。OTCの風邪薬や咳止めにも入っているので購入できます。また、二類医薬品としても出てるので通販でも買えたりします。
チペピジン
アスベリンの名前でよく小児科で出ます。大抵ムコダイン(カルボシステイン)やムコソルバン(アンブロキソール)とセットです。
同じくOTCで買えます。通販もできます
ツロブテロールテープ
ホクナリンテープ の先発名で処方されますが、貼り薬なので子供に拒否されても使える便利な咳止め。ですが、保育園では張ってこないでと言われたり言われなかったりです。
実際には咳止めとは少し異なりますが、咳止めとして出されます。これはOTCにないです。
以下は去痰薬です。これらは乳幼児用の市販薬は出てないですが、学童くらいからのものは売っています。直接の咳止めではありませんがよく処方されます。咳だけでなく鼻水とかでも出ます。
カルボシステイン
ムコダインの名前でも出る去痰薬です。鼻水でも処方されますが市販あります。
アンブロキソール
ムコソルバン、ムコサールなどの名前でも出ます。これも市販品があります
流通が厳しいのは今はこのくらいでしょうか。ドラッグストアの薬剤師に成分を伝えれば適したものが出てくると思います。配合されているものが異なり、種類がありますのでここはプロに聞いた方が良いです。
あとはご家庭にあるハチミツという手もあります(ボツリヌス菌がいる可能性があり、1-1.5歳くらいまで飲めませんが)裏の成分表示を見て、水飴とかで傘増しされてないハチミツを用意して飲ませるのはアリです。民間療法ではなくエビデンスのある方法ですので検討してみてください。
ただしこれらの代替案は、あくまで数日経過すれば自然治癒する風邪に伴う咳の場合です。喘息や気管支炎となるとステロイドという別種の薬が必要になりますので、薬剤師に相談の上、処方医に聞いてもらって処方削除するか決めてください。