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抗がん剤の制吐療法

抗がん剤は吐き気を伴うことがあり、吐き気は患者のQOLを大きく損なうため、昔から様々な方法が開発されてきました。
特に細胞障害性の抗がん剤は吐き気のリスクが高く、制吐療法を併用するのが一般的でしたが、ここ最近ではこれにオランザピンを追加するのが多くなってきています。

オランザピンは統合失調症の治療薬として登場しましたか、現在では抗悪性腫瘍薬投与に伴う消化器症状の適応を取得しています。
用法は5-10mgを1日一回(添付文書)ですが、夕食後(就寝前ではなく、寝る3-4時間前。血中濃度が高くなるため眠くなる)が標準用法です。しかしながら、半減期が28時間(空腹時)のため翌日の眠気が問題となるケースもあります。
そこで、この度2.5mgと10mgの比較試験が行われて、2.5でも十分に制吐作用が確認されたという報告が挙げられました。
Bajpai J, et al. Lancet Oncol. 2024;25:246-254.

2.5mgにすることで日中の眠気も減り、継続しやすくなるため、日中の眠気に対応するため減薬もありかと思われます。ただし、添付文書の用法容量を逸脱しますので、カルテにきちんと記入が必要になるかと思います。また、問い合わせやトレーシングレポートでもその件については触れておいた方が良いかと思います。

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