東大生が描く「和倉海遊ビジョン」
東京大学は2024年12月21日、和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会(以下、協議会)が主催する住民参加型ワークショップ「和倉トーク」の特別編で、「和倉海遊ビジョン」と題した和倉温泉の復興案を発表した。
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開会の挨拶
東京大学先端科学技術研究センター「和倉海遊ビジョン:大学生が提案する和倉温泉の復興」
トークセッション「和倉温泉の創造的復興」
閉会の挨拶
新しい舟屋を復興のシンボルに
東京大学工学部都市工学科の学生が提案した「和倉海遊ビジョン」において、最も注目を集めたのは、「新しい舟屋」を和倉温泉の復興シンボルとするアイデアだ。
舟屋がもたらす「海の玄関口」
学生たちの構想によれば、新しい舟屋は単なる建築物ではなく、和倉温泉の「海の玄関口」として多機能な役割を担うものだ。宿泊客は船で到着し、舟屋でチェックインするという、特別な体験を提供する。旅館が海と直結することで、訪問者に和倉ならではの風情を味わってもらう仕組みだ。
また、この舟屋は、チェックイン機能だけでなく、和倉港周辺を活性化するための核ともなる。舟屋を中心にバスターミナル、駐車場、広場、カフェを整備し、人々が行き交い交流する空間を生み出す構想だ。「舟屋は単なる建築ではなく、和倉の新たなシンボルであり、地域の活力を引き出すエンジンになる」と学生たちは語る。
歴史と未来をつなぐ舟屋の役割
和倉温泉はかつて、海を通じた交通の要衝として栄えた歴史を持つ。明治時代には和倉港を拠点に能登半島全体が結ばれ、舟でのアクセスが街の発展を支えていた。この歴史を踏まえ、学生たちは「舟屋の復活」を通じて、和倉温泉が持つ海との結びつきを再び強調しようとしている。
さらに、新しい舟屋は、復興のシンボルとして地域住民の誇りとなるだけでなく、観光客にとっても「和倉らしさ」を体感できる象徴的な場所になると期待されている。
地元関係者への刺激と期待
研究室の大津山教授は、「若者ならではの柔軟な発想が、地域に新たな視点をもたらす。ぜひ地元の方々にもこの提案をきっかけに和倉の可能性を再発見してほしい」とコメントした。
舟屋という視点は、地元の会議ではあまり出てこなかったもの。
新しい舟屋の提案は、和倉温泉の復興プランにおいて、地元と観光客をつなぐ「新しい海の顔」として、大きな可能性を秘めており、大変興味深いアイデアだと筆者は思う。
文責:一般社団法人Code for Noto
代表 羽生田文登