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【Archive】第1回和倉トーク 2024/7/20


開催

「みなさま本日はお集まりいただきありがとうございます。それでは、第1回目の和倉トークを始めていきたいと思います。」

 住民や大学の先生、関係者ら30名ほどが和倉温泉総湯内にある畳の間に集まっていた。

震災の影響でカラーコーンが目立つ和倉温泉総湯

和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会による和倉トーク
記念すべき第1回目が震災発生から約半年を過ぎた2024年7月20日に幕を開けた。

長い間、旅館主導のまちであった和倉温泉街。

和倉トークは、
住民とともに未来のまちづくりを語り合う交流の場を作り、
共に考えアイデアを出し悩み語り合うことを目的としている。

和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会 多田健太郎事務局長によるFacebookの投稿

当日のプログラム

 ・guestトーク: ゆけむり宿 美湾荘 多田直未社長
 ・ワークショップ
 ・チームごとの発表

guestトーク: ゆけむりの宿 美湾荘 多田直未社長

みんなで畳の上に座り、馴染みの顔ばかりであるにも関わらず、
初回の和倉トークはどこか緊張感が漂っていた。

しかし、美湾荘 多田社長のトークが始まると、
ふっと、
会場全体の肩の力が抜けたような気がした。

和倉を誇りに思う

自身も幼少期から和倉で育ち、一度外に出てから美湾荘の女将として戻ってきた多田氏。

震災後には多数のメディアで和倉の現状を発信し続けてきた。

ゲストと言いながら、私もこの和倉で生まれ育ったイチ住民で、旅館もやっているので、内輪の人間です。でも、一度、和倉を出てみて分かったことは、和倉の街並みは田舎にしては、綺麗で整っていて、コンビニはセブンもファミリーマートもローソンもあって、街灯も綺麗で。私はこの街並みがすごく好きです。

いくつかの写真をスライドで投影しながら、和倉への愛を語り、
会場の参加者も首肯しながら聞き入っていた。

「和倉の子どもは元気がいい」

和倉らしいエピソードが紹介された。

多田氏が街の様子を客観的に日頃から観察していることがよく分かる。

和倉の子どもたちは挨拶がきちんと出来て、元気な子が多い。朝の登校時間に会えば必ず挨拶してくれるし、道に困っている観光客がいたら、自ら声をかけて道案内している子もいる。それは多分、自分の地元に観光客が常にたくさんいる環境で、たくさんの大人が周りにいる環境だからだと思う。自分も子どもの頃は自然とたくさんの大人に囲まれていて、観光客をおもてなしするような感覚が自然と身についていたように思う。

まさに、地域住民と観光地が一体となっているのが和倉温泉街。

観光客が街を歩いている中で生活するため、地元の子たちは
小学生の頃から、おもてなし精神の英才教育を受けているのだろう。

それは時代が変わった現代の小学生にも、自然と受け継がれている。

「和倉の人は優しい。地域猫にも」

スライドには地域猫の写真が投影された。

和倉の人はみんな優しい。地元の方も旅館の人も。ひとりひとりのキャラクターが立っていて、和倉は人が良いです。
これは和倉にいる地域猫なんですけど、きちんと去勢もされていて地域のみんなで飼ってる地域猫なんです。地域猫も大事にしている人柄が良いんです。

多田氏の話は終始、和倉への愛に満ちていた。
復興まちづくりのための和倉トークだったが、地震関連の話ではなく、
和倉の良いところ・好きなところを楽しそうに話すので、
会場は和やかな雰囲気で「うんうん」と反応する様子が伺えた。

意見出しワークショップ

「良いところは、やっぱり総湯よ」

第二部のワークショップは、模造紙の上に、和倉の良いところ・悪いところや改善して欲しいところを付箋に書いて貼っていくというものだった。

地元のじいちゃんばあちゃんと旅館経営者と復興関係者が、
ごちゃ混ぜになって3つのチームでワークショップを行った。

青色がネガティブ・赤色がポジティブな意見
実際の地図の上に貼ることで偏りが分かる
人の意見を聞いて、また思い付く

参加者それぞれの目線で意見を模造紙の地図に貼り出すと、
あっという間に全チーム付箋だらけになっていた。

最後には、代表者が意見をまとめて発表した。

誰かが良いと思っていることは、誰かの改善して欲しいことだったりする

観光客や宿泊客を優先すると、地元への配慮が足りなくなる。
逆もまた然り。
住民の目線、旅館の目線、関連業者の目線で未来の和倉を語り合う。

「そんな感じ方をしていたなんて、新鮮です」

そんな言葉も聞こえた。

チームごとの発表が一段落したところで、金沢大学 丸谷准教授にマイクが渡された。

「地元目線の和倉の良さを、観光客にも共有できるデザインを」

地元の方が「良い」と思っているところと、観光ガイドブックに載っている和倉の見所は違っていると思う。地元の方の好きな和倉を結んで観光ルートやモデルコースにすると面白いと思う。それは必ずしもデジタルの仕組みを必要としない。地元の方が語り部となってくれるようなデザインを設計出来たらいいなと思います。

閉会

司会者から最後の挨拶。

「これからも月に1度このような和倉トークを設けさせていただく。住民のみなさんのご意見を集めながら、持続可能なまちづくりを目指していけたらと思います。本日はお集まりいただきましてありがとうございました。」

「地元のみなさまには、総湯でのマッサージの割引券がございますので、お受け取りください。」

そんなアナウンスがあるのも、和倉らしいまちづくりワークショップだ。
疲れた体に総湯とマッサージなんて、最高以外の何物でもない。

加賀屋越しに見える和倉の夕陽

文責 : 一般社団法人Code for Noto
代表 羽生田文登



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