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【Archive】第4回和倉トーク 2024/10/19


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開催

「みなさま本日はお集まりいただきありがとうございます。それでは、第4回目の和倉トークを始めていきたいと思います。」

第4回目の和倉トークと同じ和倉温泉総湯内にある畳の間には、
地元住民、小学生、高校生、行政関係者、旅館経営者、運営関係者など40名ほどが集まった。

開会と第4回和倉トークの説明をする奥田氏

和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会による和倉トークの第4回目のテーマは「和倉らしい子育てを考えよう

雄大な自然温泉街住民が共生する和倉地域。
幼児期、小学生、中学生、高校生と子育ての段階がある中で、
都会とは違う、和倉らしい子育てとは何か。
今回は和倉小学校の校長先生をゲストに迎えての開催となった。

当日のプログラム

 ・guestトーク: 和倉小学校 佐野康子校長
 ・ワークショップ
 ・チームごとの発表

guestトーク: 和倉小学校 佐野康子校長

今日は小学生たちにもきてもらいました。和倉小学校校長の佐野と申します。本日はよろしくお願いいたします。

曇天の和倉に、力強い声が響き渡った。

和倉小学校の生徒たちは和倉の地域が大好きで、これからの和倉を担っていく宝です。小学生ながらに能登半島地震を経験し、これからどんな街に和倉がなっていくのが良いか、生徒たちで考え、この桜の木に貼っていきました。

小学生たちが書いた未来のビジョンを紹介する佐野校長

「旅館経営者のまち」
と言われてきた和倉温泉街。
和倉トークは能登半島地震を機に、住民の意見を取り入れながら、新たなまちづくりを行うことを目的として開催してきた。

第1回~第3回は、高齢者となる地元住民や行政関係者などが多く参加してきたが、第4回は6人ほどの地元小学生が参加した。

和倉小学校の廊下に貼りだされている
"和倉復興わくわく大作戦"には、小学生たちの力強く大きな字で、
未来のビジョンが書かれていた。

和倉小学校では国語算数だけじゃなくて、学校と地域が繋がって、学校の先生だけでなく、地域の方々と交流することで学びを深めていっています。普段から地域と関わることで、このあと、こうした道を歩んでいきたいなという想いが、ここに込められています。

数年前に和倉小学校に教員として和倉に関わり、時を経て、
和倉小学校の校長先生として和倉に戻ってきた佐野校長。
小学1年生から6年生まですべての学年で、地域と関わる教育カリキュラムを実施しているという。

和倉小学校の生徒たちに訊きました。和倉の魅力・良いところは何ですか?と。温泉、自然、人、食、歴史や文化について、たくさんの意見が出ましたが、この中で、一番は何と答えたと思いますか?

和倉小学校の生徒が考える和倉の魅力

一番の魅力は「人」って答えたんです。和倉の人は温かいと。お友だちもみんあ。みんな優しく挨拶してくれて、観光のお客さんに対しておもてなしの温かいところがいいと。

会場に来ていた地元のばあちゃんたちは、どこか気恥ずかしそうに笑っていた。

今年のコスモステーリングは、地震があり、道は壊れて、トイレも使えなくて、なかなか計画通りにはいかなかったけれど、ゆったりパークの芝生で開催しました。たて割り班で、生徒たちだけで考え、どうやったら地域のために活動出来るかを話し合いながら、芝生公園で出来る遊びをしました。

コスモステーリングのビジョン

教科書から学ぶ国語や算数だけではなく、地域がまるごと教科書となり、
子どもたちが主体的に学んでいくような取り組みだ。

他にも、学年別に以下のような取り組みが紹介された。

・春みつけ!地域に咲いている花を観察
・秋の山に入った紅葉観察
・地元のレストランへのインタビュー
・旅館の方々との関わり
・地元の漁師さんに魚のさばき方を学ぶ
・和倉温泉合資会社小泉社長に温泉の歴史を学ぶ
・田植え体験

豊かな自然と、温泉街と温かい人に恵まれた和倉ならではの学びを和倉小学校の生徒たちは経験している。

小学校にいる間には、この豊かさは理解できないかもしれないけど、いつか外の世界を経験したときに、ああ、和倉はすごく自然も人も豊かだったと思ってくれて、また地域のために活動してくれるんじゃないかと思っています。

東京で生まれ育った筆者からすると、大変羨ましい教育カリキュラムであり、
都心で子育てをしている人にとっても、能登での子育てをするメリットに感じられるのではないかと思う。

先日、名古屋の方に出張に行っていまして、藤井総太棋士のお師匠さんの杉本棋士のお話しを伺う機会があったんです。みなさん、藤井棋士は将棋メシを決めるとき、どのくらい悩むと思います?
3日かかるらしいです。また、記者会見の際に、記者からの質問に答えるために数十秒熟考したらしいです。そのくらい、じっっくり考えることが必要なんですね。
子育ては、親御さんが「あれしろ、これしろ、そうじゃない」と決めつけるのではなく、その子にじっっり考えさせるような教育が必要なんじゃないかと思っています。

脳は囲炉裏の火のようなものをじっくり眺めたりして、空っぽにしたときに、新しいアイデアが浮かんでくるそうだ。

ベタ凪な七尾湾の海を眺めながら、じっくり物事を考える。
和倉は教育環境だけでなく、新しいアイデアを創造する場としても、
最適な環境なのかもしれない。

さいごに、進行の奥田氏からの質問があった。
これからの和倉の子育てにとって、先生が必要だと思うものは何ですか

佐野校長はこう答えた。

先ほどのように地域の方々は様々な職業に就いているので、そうした職業体験のようなことが出来るといいですね。そうして、地元で働くことの選択肢を増やすことが出来るといいなと思います。

キッザニアのような大型施設はなくても、
地域の方と交流することによる職業体験。

豊かな暮らしと、豊かな働き手。
これをセットにして子どもたちに提供することが出来るようなまちづくりになると良いと筆者も思っている。

ワークショップ

住民参加型のワークショップでは、幼児期~高校生までの子育てと、
必要だと思う施設を付箋に貼り出すワークショップを行った。

高齢の地元の方たちは、自分たちが子どもの頃に遊んだ内容。
子育て世代は、和倉以外の地域でよく利用する施設。
小学生や高校生は、こんなことをしたい。という内容を付箋に書き込んだ。


高校生のいる班。学校だけでなく集い、遊ぶところも必要
小学生たちの素直な意見が付箋に貼られる
地元のおばあちゃん、旅館、小学生の多様な意見が出る

最後は班ごとの意見をまとめて発表した。

観光バスに手を振ったりしていた。
和倉で生まれ育った人たちならではの子育て談。
学校は七尾の市内に行っていて、最近では親が送り迎えするから、
遊んで帰ってくることが少ない。

教育施設の問題だけでなく、足の問題も浮き彫りになった。

1班の発表(※一部、プライバシー配慮のためお顔をマスクしています)

「コンパニオンのお姉さんたちがゾロゾロ入っていくのを眺めながら、
宿題をやっていた」
旅館で育った多田氏ならではのエピソード。
最高齢のおばあちゃんは、なわとび、けんけんぱなどの昔の遊び。
今の小学生は、子どもだけで入れるカフェが欲しい。

多様な意見がたくさん議論された。

2班の発表(※一部、プライバシー配慮のためお顔をマスクしています)

「信行寺でグリコってばあちゃんが書いたら、それ、今の子どもたちもやっているって。」

昔もいまも、変わらないものがあることが再確認出来たワークショップにもなった。
積極的に子どもたちも議論に参加し、
自分たちの意見が、本当にまちに還元されていくんだという姿を少しでも体験出来たのではないか。

3班の発表

閉会

和倉トーク#4の最後に、奥田氏からお知らせ。

今後は、"和倉小学生トーク"と題して、小学生だけのまちづくりワークショップも行っていく予定です。
協議会の多田代表の意向で、地元の子どもたちの意見を本当に実現させていきます。
これからもよろしくお願いいたします。

そう力強くメッセージを発信した。

異世代混合の活気あふれる第4回和倉トークは幕を閉じた。

地元の子どもたちが一緒になって、
現在の住民たちの意見を反映させながら、新しい和倉を作っていく。

出来ることもあれば、出来ないこともある。

ただ、課題が見えてこないことの方がもっと怖い。
和倉トークという場を設けることで、今まで見えてこなかった地域の課題と
活かしうるポテシャルが見えてくる。

今後の和倉トークにも期待が高まる。

文責 : 一般社団法人Code for Noto
代表 羽生田文登


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