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Photo by
galdra
よだかの星(宮沢賢治)
よだかの星を読んだ。宮沢賢治の作品。
よだかは醜い鳥で、きらわれもの。
ある日、鷹にこう揶揄される。
「おれの名前は神様からもらったものだけど、お前の名前は、おれと、夜から借りてるんだ。返せ」
「改名しないならお前を殺してやる」
よだかは悲しむ。僕は今まで、なんにも悪いことをしたことがない。赤ん坊のめじろが巣から落ちてやったのを助けたことがある。そういえばそのときもめじろの親は、赤ん坊を盗人から取り返すように奪ったっけ。
同時によだかは空を飛びながら、その口に虫が入ってくるとこういうことにも思いを馳せる。
たくさんの虫が毎日僕に殺される。そして僕も鷹に殺される、つらい、つらい、僕も虫を食べないで飢え死のう。
よだかは、灼け死んだって構わないからと太陽に助けを求める。太陽は憐れみながらも、お前は昼の鳥ではないから、星に頼むといいと言う。
夜になって、オリオン座に頼んでも大犬座に頼んで大熊座にたのんでも相手にされない。
一度は地に落ちたよだかは、それでもと星を目指し、目指し続け、カシオピア座の横、天の川の後ろで今も燃え続ける。
私は宮沢賢治が好きだ。
世界に対する強い熱を持った視点を感じる。
宮沢賢治がなにを言いたかったのかなんか私は彼じゃないから知らないけど、
いじめ問題などの題材になることが多い作品らしい。
私がこの作品から感じ取れるメッセージは、以下の通りだ。
自分が立場の弱い(よだか)であって、自分が今の社会(鳥社会)で強い立場のもの(鷹)にいじめられていたとしても、自分が見下したり犠牲にしている何か(虫)が必ずある。結局、立場が違うだけなのだと。
その状況で、神(太陽)も、信仰(星座)も助けてはくれないなら、自分の力で立ち上がって、自分の信念を貫くことで、夜闇で誰かを照らすもの(星)になれる可能性が存在する。
これは悲しい話ではなく、この世は無常であるから(諦観)自分の信じたものを貫くのだ(根性)、という強いメッセージだと読み取った。違っても良い。
私が読んだよだかの星は、私の物語だ。
自分が頑張るんだ。誰に相手にされなくても、笑われても自分が正しいと思ったことをするんだ、と。
よだかは不幸じゃない。
素敵な物語だ。読んでよかった。
追伸
恋人曰く
鷹だの何だのが虫食ったりして生命を循環させる昼の世界があって、
一方で星座みたいな生命の循環から切り離された存在が夜の世界にいます、よだかは星となって夜の世界の存在となった
みたいな捉え方をしました。