見出し画像

西洋剃刀 SK.2 巨匠

なんだか化粧品みたいな名前ですが、持っている中でいちばんでかくて重い、ほぼくさび形の断面が力強いうちの巨匠です。

手前側に"SK.2"、反対側に "YASUKI.STEEL-S2" とある刻印は、安来鋼の白紙2号を表しているようです。
白紙の熱処理はデリケートで難しいと物の本にありましたが、同じ安来鋼を使った剃刀でもYSS(Yasuki Speciality Steel)やHYS(Hitachi Yasuki Steel)とのみ書く物が多い中、鋼の種類まで細かく書いたのは余程の自信があったということなんでしょう。

研いだ感じや表面の観察から「これは白紙」なんて判定できればかっこいいんですが、千里の彼方という感じです。

画像1

フルホローの西洋剃刀に慣れ始めた頃、刃角が鈍くコンケーブの浅い、要は日本剃刀に近い物を使ってみたいと思っていた時期がありました。
そんな時にちょうど都合よくこの巨匠がebayに出品されたものですから、即座に予算ギリギリまで入札してしまうのは必然だったと言えるでしょう。

忘れもしません、オークションの終了時刻は日本時間で月曜朝の5時半。目覚まし無しで早起きし、じわじわと上がっていくビッドをヤキモキしながら眺めることしばし。
予算を少しオーバーしたものの、問題なく落札して気分の良い週の始まりを迎えることができたという良い思い出です。

ヒゲを切断する時の手応えが無愛想で、結構な重量とサイズゆえに取り回しがイマイチなため最近は使用頻度が落ちています。しかし所有している剃刀の中でも存在感が抜群で、コレクションの要石といえばこれを除いては考えられない1本です。

初めての西洋剃刀としては、こういったコンケーブの浅い剃刀を推薦はしません。が、1本くらいは手元に置いて、フィードバックの違いを味わってみるのもまた楽しいことですよ。

頂いたサポートは新しい研磨資材等の購入に充当いたします。