“分けて,分かろう!!”
みなさん
こんにちは,毎週月曜日のマガジン担当,野沢です!
前回は,理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則の改定より,学生から現職者,さらには教員においても教育に関する講義や講習会の受講が必須となり,療法士に “教育力”が求められているというお話をしました.
実際に,皆さんの中でも臨床実習の指導者や,新人の教育係,あるいは講習会などで講師の立場にある方も多いと思います.そうした経験がないとしても,患者さんに対して行う自主トレーニングの指導や生活指導を通して,患者教育を治療の一環として行っているはずです.しかし,専門的知識や技術を学べど,人に教えることついて学ぶ機会はあったでしょうか.多くは自験例や,経験則に頼っていることと思います.
理学療法士の卵である学生や新入職員に対して,知識,技術や,思考過程をわかりやすく,面白みを感じ,やる気を起こさせるような指導ができたらどうでしょうか.患者さんに対しても,現状を的確に,わかりやすく伝え,問題点を共有しどのように対応していけばよいか,教育ができるようになるとどうでしょうか.このように,教育学的な視点をもち日々の臨床や生活に落とし込むことで,患者さんの満足度や組織力の向上,結果として自身の価値も高められるのではないでしょうか.
教育力といっても幅が広く多様な要素があると思いますので,
今回は明日から使える,分かりやすい教え方にfocusしたいと思います.
では,【分かっている】というのは,どういうことなのでしょうか.
“情報が脳内整理棚の一区画にしまわれている状態” 藤沢晃治:「わかりやすい表現」の技術 より引用
とされています.つまり,新しく入ってきた情報が,自分の持っている箱のいずれに属するのか,分けること,が分かるの基礎になってきます(図).
例えばトマトを例に出してみると,【A:食べ物】という大きな箱に分類されます.その中でもさらに【b:野菜】という箱に分けることができます.野菜の箱にはキャベツ,ニンジン,玉ねぎ・・・といった既知のものが入っています.すでに持っている箱に,新たな情報を収納することが,分かるという状態です.さらに,【3:夏が旬】という箱に分類できるかもしれせん.分類の仕方は前提条件や状況により変化しますが,このように,一つの区画に分類することで,分かっている状態になります.
では次の例です,私はキングダムのフィゴ王,ダントが好きなので彼を例にして説明します.ダントを【A:漫画】という箱の中の【b:キングダム】という戦国時代を描いた漫画に出てくる,【3:味方】の箱に分類します.ここで,キングダムという箱を持っていない人に,いきなりダントのカッコよさを説明されても全く伝わりません.漫画の中にキングダムというbの箱があるという状態を作ってあげる必要があります.そしてその中の【3:味方】の箱に収納することで,ダントの全体像がつかめてきます.ポイントは大きな,分かりやすい箱から徐々に小さな箱に入れることで,新たな情報を,分けて,分かる状態にしていきます.
最後は理学療法士(PT)らしくPAグライドにします.【A:治療テクニック】 【b:関節モビライゼーション】 【3:グライドの方向】と分けられます.PAグライドだけでは,何かわかりませんが,大項目から小項目へ分けていくことで分かる状態になっていきます.
私が小学生の頃テレビを見ていると,偉い教授のような方が,学問は分けること言っていました.子供ながら納得し,分からないことはまず分けることから始め,勉強をしていたことを記憶しています.
無意識に行っているかもしれませんが,意識して分けることで理解がしやすくなるでしょう.そして新たな情報を相手に教える際には,相手に箱があるかを確認し,そこに情報を入れてあげるよう,整理して伝えることが,分かりやすく教えるポイントです.
長くなりましたが,今日はこのあたりで失礼します.次回は分けた後にどうするかをお伝えします.
ではまた来週!!
執筆:野沢哲矢@BonusView55
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