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つながり、想い合うことからはじまる関係人口(インタビュー後編)

こんにちは!
NAGANO生き方共創コミュニティ、こくりな(Co-Creation Nagano)です。

引き続きお話を伺うのは、飯田市役所の湯澤さん。

関係性づくりで大事なのは力の傾斜のない、フラットな関係性。
だからこそ、想像力をはたらかせ、人や場所を繋いでいったり、よくわからないものを投じてみたり。

そういった湯澤さん流の関係性づくりの先に生まれる繋がりは、地域に何をもたらし、まちは、人はどう変わっていくのでしょうか。

後編では関係人口についてのテーマを中心に、話を深めていきます。

前編はこちら

湯澤英俊さん
長野県飯田市役所 結いターン移住定住推進室係長
長野県伊那市出身。転勤族の家庭で幼少期は各地を転々として育つ。大学卒業後、静岡の模型メーカーを経て飯田市役所へ入庁。企業誘致や大学連携、リニア推進、シティプロモーション等、企画関連の業務に従事し、現職。人とのつながりによる「結い」を大切にしながら、持続的で柔軟な暮らし方や働き方ができる地域づくりに挑戦し続けている。趣味は天竜川沿いのランニング。

心の支えにもなる、関係人口

ー ここまで、中の人たちの関係づくりについて話していただきましたが、関係人口と言われるような外の人たちは、湯澤さんにとってどんな存在ですか?

自分の立ち位置を確認させてくれる存在ですね。

僕は、自分の立ち位置はいくつになっても確立させたくないなと思っていて。
常に不安定な立ち位置でいて、だからこそあっちにもこっちにもいて、その間を繋ぐとか、内と外を行き来できる存在でありたいなと思ってます。
暗闇のなかで全く何も見えない状態だと、自分の輪郭とか存在っていうものが認識できなくなりがちなんですよね。
でも、いろんなところでいろんな人と触れ合うことで自分はこういうところ強いなとか、こういう立ち位置でいたいなとか、そういうことを確認させてもらう機会になってるなと思って。


ー 地域の人にとっては関係人口の存在はどのようなものなのでしょうか?
いつも飯田に来るとよく来たねと喜んでくれている感覚があります。
それが新鮮な感覚で、純粋にすごいなと思っていて。

例えば、りんごをつくってる人がそれを食べてくれてる人の表情を見たり感想を聞けるのが嬉しいっていう、その感覚です。
人が来てくれて、しかも自分たちの地域のことを話してその反応が見れるのはそれだけで嬉しいって思うんですよ。
このあたり特有だと思うんですが、ものを作る側というか、単なる消費される側でないっていう生産マインドを常にみんな持ってるからかもしれないです。

これをうまく伝えるのがなかなか難しいんですけど、それがなんかこう、生きるっていうこと。
生きるってことは生活だけじゃなくて人に認められるとか、自分でなにかできているって感じること。

りんごを育てて収穫して売るとか、工程が全部切り離されていなくて、だから受け取ってくれる人の顔が見たい、繋がりたいって欲求があって。

だから、地域の人にとっては繋がってるっていう実感が大事なんですよね。
今はコロナですぐには来れなくても、落ち着いたら行くねでもいいと思うし、約束があるだけですごいメンタルの支えになると思うんです。

飯田のシンボル、りんご並木

「だまされたと思って来て」

ー 関係人口となる人の側から考えると、ただ繋がってるだけでいいんだろうかと思ってしまうというか、自分のスキルとか役に立てることがないと、と考えてしまうと思うんですよね…
飯田に来る人たちのきっかけとか興味とか、特徴ってありますか?

具体的にやりたいことがあって来る人もいるけど、どっちかっていうとよくわかんないけど来たって人が多いです。
僕はよく、「とりあえずだまされたと思って来てね」っていうんですけど、だまされたと思って、っていう信頼関係があって来てくれた人が他の人にも紹介してくれて、遊びに来てくれることが多いです。

そもそも「関係人口」って言葉が事業名で使われるようになってから、それに対するミッションを背負わせすぎてる気がするんですよね。
もっとふわっとした人たちもいていいと僕は思っていて。

例えば飯田は大学連携を進めてきた地域なので、大学生が授業の一環で来ることもあるんですが、大学の授業が終わった後にも足繫く通う学生がいるんですよね。
その理由って、承認欲求というか、ここに自分の役割があるっていう感覚だと思うんです。
彼らって、社会的には宙に浮いた存在じゃないですか。
でもここにきて農作業とか仕事を任せられて、それによって自分の居場所を得ていく。
大学生は基本的にはアウトプットはないけれど、だからと言って学生との交流が地域にとって無意味かっていうとそうじゃないと思うんです。

大学生に限らず関係人口の人たちにとっても同じようなことが言えて、期待感が先立って来年にはこうなってるはず、とか求められても、困ってしまうじゃないですか。
だからそこは「間」をうまく接続できる人たちがいないといけないと思う。
コーディネートできる立場の人たちが繋ぎ合わせていかないことには衝突もあるし、時間もかかると思うので。

その結び目をつくっていく人たちが今大事で、足りてないところでもあるんです。
だから、そういう俯瞰しながらプロマネ的なことができる人に来てほしいなと思う反面、それは切望するんだけれどもいきなり敷居をあげてしまってはと思うから、「まずはだまされたと思って来て」って言って来てくれるような、信頼関係があってフットワークの軽い人に来てもらいたいですね。

今回のインタビュー会場、テンリュウ堂
ここにも「結び目」をつくるキーパーソンがいます。

価値観を認め合い、地域の歴史を創っていく


ー なるほど… 結び目をつくっていったその先に、どんなことを目指しているんでしょうか?

魅力的な人たちに飯田に興味を持ったり訪れるきっかけをつくってもらって、その先で仕事とか暮らしに関することをコーディネートできるような人が生まれて、まち全体が仮想移住相談室みたいになって自然と人が集まってくる。
それが理想ですね。

そのためには繋がりをもっとオープンにして分散させていくことですね。
でもそうしていくには課題もたくさんあって。

今特に焦ってるのは、将来に対する仕込みですね。
当然みんな年をとっていくし、5年もすれば、空き家はもっとボロボロになってしまう。
それに、これからリニアが来て、物理的に繋がるのはいいことだけど、もしかするとこれまで築かれてきた特有の風土とか文化が変わってしまうかもしれない。
時間が経つのが本当に早いんです。

例えば、飯田は天龍峡が古くからの観光地で昭和時代には大型の観光バスが来て、なにもしなくても賑わってたんですよね。
でも、マスツーリズムから個人旅行とかインバウンド、って次の時代になったときに困ってしまった。
黙っていても観光客が来ていた時代が長すぎて次の人材が育ってなかったんですよね。
僕も胸を締めつけられる思いでかつての旅館が取り壊されていくのを見ていたことを未だに思い出します。

ただ、そんな中でも動いてきた人たちがいるのはすごく可能性のあることだと思ってます。
今、ゲストハウスや民泊とかの宿泊施設が増えつつあるんですけど、旅館とは違うものだよね、ではなくてお互いが流れを汲んで今がある、っていうふうにつなげていきたいんです。
つまり、「違うけど、いいね」という価値の認め合いが、新しいまちの魅力を創っていくんだと思っていて。

お互いに違うことやってるのではなくて同じ地域の歴史を創っているってことを伝えていくこと、そういう結び目づくりが今大事なんだと思ってます。

インタビューをグラレコに

編集後記
隣に住む人さえも知らないような、都会での生活。
出会い頭にまず問われる、所属や肩書。

人とは切り離されていながら、所属や肩書はどこにいっても付いてまわる。
自分でありながら、自分という存在を認められていないような、
そんな言葉にしがたい違和感を抱きながらも、
気にしていないふりをしていたのかもしれません。

繋がりの中で、自分の輪郭や価値観が明らかになるのだということ。繋がることが、自分を支え誰かの支えにもなるのだということ。

もっとだれかと繋がりたい。もっと地域と繋がりたい。
そんな衝動を感じた、インタビュー。

飯田との繋がりからなにかが動き出す、そんな予感がします。

聴き手:神原沙耶
書き手:松永圭世
グラレコ:長縄美紀

3/21(祝)開催!イベントのご案内

10月末から始まった「NAGANO生き方共創コミュニティ こくりな」の活動も、そろそろ一区切り。
そこで今年度の集大成として、
「こくりな」「長野県」を通して繋がってくださった方々が、場所を超えて繋がり直し、自分らしい生き方への一歩を踏み出せる場を作ります!

今回お話を伺った、湯澤さんも参加予定。
みなさんのご参加をお待ちしております!

詳細・お申込みはこちらのnoteをご覧ください↓ ↓

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