「恋煩いとルームシェア」第1話

【あらすじ】
「樹! オレ、【恋ワズライ】になった!」

高校一年の冬のこと。
クラスで浮いている柊木樹は、人気者の高瀬颯真からそう告げられた。

【恋ワズライ】――。
発病時に初めに認知した人間を愛してしまう病気。自然治癒するものの、日常に支障をきたす身体・精神状態に陥りやすく、早期治癒のためには求愛症状の管理が必要。

颯真は樹に恋をしたといい、求愛症状のケアのためにルームシェアをしようと提案する。

密かに颯真に片想いをしていた樹は、彼の力になろうとルームシェアを始めるが、美味しい料理やお弁当、無防備な姿に翻弄されてしまい…。

幼馴染の高校生男子のじれキュンルームシェアストーリー!



【第1話】
「樹! オレ、【恋ワズライ】になった!」

 ある朝、教室の隅の席で本を読んでいた俺のもとに高瀬颯真がすっ飛んできた。普通科からわざわざ棟が違う特進科クラスに走ってやって来たらしく、肩で息をしている。

 突然な幼馴染のイケメンの登場に、心の準備ができていなかった俺は「へ……?」と裏声が出てしまう。
 颯真は髪色が昨日と違っていて、なんだか明るくて淡い感じの茶髪になっている。ワイシャツの上に着ているニットのカーディガンも新しいブランドものに変わっており、胸元にはシルバーのお洒落なネックレスが光っている。頭の上から黒一色の地味な俺、柊木樹とは大違い。

 ってか俺の名前、「木」多すぎ……というのはさておいて。

「日本語おかしいだろ。恋煩いしてるって言えよ」
「違う違う。奇病の方。ホラ、百万人に一人だなるってやつ」

 知らねぇの? とニヤニヤしながら茶化してくる颯真は、病院でもらったらしい診断書と、恋ワズライの定義を検索したスマートフォンの画面を誇らしげに見せつけて来た。

「これ! 【恋ワズライ】。……発病時に初めに認知した人間を愛してしまう病気。胸部の痛みや動悸の悪化、過緊張、興奮など、日常に支障をきたす身体・精神状態に陥りやすい。二週間以内に自然治癒するが、暴走を避けるため公休が認められている。被恋者による定期的なケアによるストレス管理が望ましい。だってさ」

 それくらい俺だって知っていた。
 その病名が世界公認のものとなってから、まだ二十年程度だが、テレビやネットで定期的に話題になる有名な病気だ。
 ある人はロマンティックだと言い、ある人は人生が終わると言う。俺はどちからというと後者の認識をしていた。

「え……。学校来て平気なのか? 早く家帰れよ」

 診断書とスマートフォンをのぞき込みながら、俺が淡々と感想を述べていると、颯真は「リアクション薄っ!」と、たいそう不満そうに口を尖らせた。ついでに動きがうるさい。
 だがその後、気を取り直した様子で俺の肩にポンと手を置き、俺の耳元で囁くようにして言った。

「じゃ、行こっかなー。被恋者の家に。……というわけで、樹。オレとルームシェアしてくんね?」
「は?」

 思いも寄らない発言に、俺の顔は引き攣ってしまう。

「颯真、俺に惚れたの……?」

 ◆◆◆
 その日の夜から、颯真は俺が借りている学生アパートに転がり込んできた。男二人ではどう考えても狭くてたまらない、1LDKに。

「颯真、コタツで寝ろよな。俺はベッドで寝る」

 俺はお洒落なキャリーバッグをごろごろ引いて現れた颯真に「荷物はそこ!」、「ブレザーはここに吊るせ」などと指示を飛ばし、最終項目である寝床について通達した。
 だが颯真は不満たらたらだ。

「えー! 家賃半分オレが払うって言ったじゃん。なら、一緒のベッドで寝る権利くらいあるんじゃねーの?」
「ない。早く治すための治療には付き合うけど、エロい事はしないからな。お互い一生の傷になる」
「ならねぇって。オレ、樹のこと好きだもん」
「今のお前は患者! 正気じゃないから却下だ!」

 ちぇーっと分かりやすく拗ねる颯真は、病に侵されているという割には元気そうだ。
【A型恋ワズライ】は、もっと気が狂いそうになるような求愛症状が出るイメージだったが、個人差だろうか。

(嘘くさいけど、診断書は本物っぽかったしなあぁ)

 首を捻りながら、「晩飯、カップラーメンでいい?」と投げやりに尋ねる。

 しかし颯真はベッドにうつ伏せになって布団に包まっていて、カップラーメンどころではないらしい。おまけに「樹の匂いが充満してる」と変態っぽいことを言って来たので、俺は奴を完全に無視した。

(【恋ワズライ】は変態を製造するのか……。やべーな……)

 だが、俺が屈んでコンロの下の収納スペースをごそごそと漁っていると、背後から唐突に腰をガシッとホールドされたではないか。

「ひっ!」

 驚いた俺の口からは変な声が出るし、滑ってコンロのつまみに額をぶつけるわで散々だ。

「なにすんだよッ⁉」
「うわ、ごめん! 抱き着きたくなっちった!」

 赤くなった俺の額をさすろうとする颯真は悪戯っぽく笑っているが、言っていることは正直すぎる。どうやら【恋ワズライ】は、歪んだ脳みそと心と体の回路が素直になりすぎるらしい。やはり恐ろしい病だ。

「急に触んな。申告しろ」
「えぇーっ。衝動がぐっと来るのに?」
「ぐっと来るな。俺のメンタルがもたない。……で、何味にする? 醤油? 味噌? シーフードもあるけど」
「あ~、それなんだけど――」

 俺が颯真の手をシッシと払い除けると、颯真はその空いた手で収納棚の戸をパタンと閉めた。
 そしてニヤッと笑い、俺のお腹を指でツンツンとつつく。

「樹の胃袋、掴んじゃおっかな~」

 ◆◆
「うまぁぁ……っ」

 炊き立ての白米にふわとろ卵とじがたっぷり乗ったどんぶりを前に、俺は力の抜けた声を上げた。

「肉やわらけぇ……。卵とろっとろじゃん……」
「冷蔵庫の中身持ってきてよかったー。親子丼って、簡単だけど満足感あるよな」
「簡単じゃないって。俺、絶対無理」

 ガツガツと親子丼ぶりをかき込む俺の姿に、颯真はニシシと嬉しそうに目を細めている。
 そんな颯真をこっそり横目で見ていると、昔、颯真が俺にホットケーキやチャーハンなんかをよく振る舞ってくれたことを思い出した。

 俺と颯真は高校生となった今でこそ、あまり口を利かなくなっていたが、家が近所だった保育園~小学生の間は毎日のように遊んでいた。言わば幼馴染だ。颯真は両親の帰りが遅い俺を度々家に呼び、おやつや晩御飯をご馳走してくれたのだ。

「なんか懐かしいな……」
「ははッ。ガキの頃、親父仕込みの料理だ! とか言いながら作ってたもんな、オレ」
「その頃から美味かったよ。俺いっつも腹減ってたからマジで助かってた。あ、おじさん元気にしてる?」
「相変わらず元気いっぱいの料理長でござぁますよ」

 颯真はふざけた口調で、「オレの弟子入りを心待ちにしてやがる」と言うものの、満更でもなさそうな顔をしている。
 颯真の実家は料亭。今のチャラい見た目からは想像しづらいが、本人も料理が好きで、子どもの頃から父と同じ料理人になるのだと言っていた。

「そっか、よかった。……えと、おじさんには【恋ワズライ】のことなんて言ってんの? 相手は俺って話した?」
「おう、話した! 愚息を樹君に任せるってさ!」

(こいつホラ吹いてやがる……!)

 俺には颯真の嘘は通用しない。
 おそらく病気のことを伏せ、しばらく友達の家に泊まるとだけ言って出て来たのだろう。だって普通の親は、【恋ワズライ】を発症した我が子を野放しになどするわけがない。

(まぁ、親に言いたくない気持ちもすげぇ分かるけどさ……)

 颯真の嘘には取り敢えず目をつぶるとして、俺もまぁ、こいつを利用してやればいいかなと思った。
 飯は美味いし、家賃は負担してくれるし、それで【恋ワズライ】が治れば万々歳だ。

 ――にしても。

「俺なんか好きになってかわいそーにな。颯真、女子からすげぇモテるのに」

 顔よし、スタイルよし、要領よし。勉強そこそこ、運動神経抜群の颯真は、クラスどころか高校の人気者。女子からいつもモテまくっている。

 そんな一軍最前線の颯真が、ぼっち属性の俺なんかに惚れていることが気の毒でならない。

 けれど当の本人はケロッとしており。

「なんで? 幸せだぜ、オレ。樹のこと大好きだもん。同棲できるとか最高すぎ」
「同棲じゃねぇし! ルームシェアだし! 【恋ワズライ】のせいでそんなことまで言っちゃうなんてな。お前、治ってから後悔するぞ!」

 さらりと「大好き」と言われると、照れずにはいられない。恋人がいたことがない者には刺激が強すぎて、うっかりスプーンを床に落としてしまった。

「ってかお前、元気そうじゃん! 【恋ワズライ】平気なら帰れよ!」
「えぇっ。チョーしんどいよ。心臓がぎゅってなって、しょっちゅうドキドキして、樹のこと抱きしめたくて手が震える。ほら!」
「笑いながら言うなって」

 ったくコイツは……と、諦めて残りの親子丼をまとめて口に流し込む。

「うめぇよ。胃袋掴まれたわ、馬鹿!」
「へへっ。楽しいルームシェアになりそうだな!」

 ヘラヘラと楽しそうに笑っている事がムカついてくるが、俺の中に込み上げるむず痒さが怒りの感情を簡単に押さえ込んでしまうから困る。

(あぁぁぁ! どうしろってんだよ……!!)

 だって俺は昔からコイツのことが好きで、諦めようと思って距離を取っていたのに。

(なんでガチで恋煩ってる俺のとこに【恋ワズライ】してるヤツが来るんだよ!)

 神様、これはご褒美? それとも苦行ですか?

「一緒に風呂入る?」とニヤニヤと尋ねてくる颯真に、俺は「入るか! ボケ!」と怒鳴ったのだった。「樹! オレ、【恋ワズライ】になった!」

 ある朝、教室の隅の席で本を読んでいた俺のもとに高瀬颯真がすっ飛んできた。普通科からわざわざ棟が違う特進科クラスに走ってやって来たらしく、肩で息をしている。

 突然な幼馴染のイケメンの登場に、心の準備ができていなかった俺は「へ……?」と裏声が出てしまう。
 颯真は髪色が昨日と違っていて、なんだか明るくて淡い感じの茶髪になっている。ワイシャツの上に着ているニットのカーディガンも新しいブランドものに変わっており、胸元にはシルバーのお洒落なネックレスが光っている。頭の上から黒一色の地味な俺、柊木樹とは大違い。

 ってか俺の名前、「木」多すぎ……というのはさておいて。

「日本語おかしいだろ。恋煩いしてるって言えよ」
「違う違う。奇病の方。ホラ、百万人に一人だなるってやつ」

 知らねぇの? とニヤニヤしながら茶化してくる颯真は、病院でもらったらしい診断書と、恋ワズライの定義を検索したスマートフォンの画面を誇らしげに見せつけて来た。

「これ! 【恋ワズライ】。……発病時に初めに認知した人間を愛してしまう病気。胸部の痛みや動悸の悪化、過緊張、興奮など、日常に支障をきたす身体・精神状態に陥りやすい。二週間以内に自然治癒するが、暴走を避けるため公休が認められている。被恋者による定期的なケアによるストレス管理が望ましい。だってさ」

 それくらい俺だって知っていた。
 その病名が世界公認のものとなってから、まだ二十年程度だが、テレビやネットで定期的に話題になる有名な病気だ。
 ある人はロマンティックだと言い、ある人は人生が終わると言う。俺はどちからというと後者の認識をしていた。

「え……。学校来て平気なのか? 早く家帰れよ」

 診断書とスマートフォンをのぞき込みながら、俺が淡々と感想を述べていると、颯真は「リアクション薄っ!」と、たいそう不満そうに口を尖らせた。ついでに動きがうるさい。
 だがその後、気を取り直した様子で俺の肩にポンと手を置き、俺の耳元で囁くようにして言った。

「じゃ、行こっかなー。被恋者の家に。……というわけで、樹。オレとルームシェアしてくんね?」
「は?」

 思いも寄らない発言に、俺の顔は引き攣ってしまう。

「颯真、俺に惚れたの……?」

 ◆◆◆
 その日の夜から、颯真は俺が借りている学生アパートに転がり込んできた。男二人ではどう考えても狭くてたまらない、1LDKに。

「颯真、コタツで寝ろよな。俺はベッドで寝る」

 俺はお洒落なキャリーバッグをごろごろ引いて現れた颯真に「荷物はそこ!」、「ブレザーはここに吊るせ」などと指示を飛ばし、最終項目である寝床について通達した。
 だが颯真は不満たらたらだ。

「えー! 家賃半分オレが払うって言ったじゃん。なら、一緒のベッドで寝る権利くらいあるんじゃねーの?」
「ない。早く治すための治療には付き合うけど、エロい事はしないからな。お互い一生の傷になる」
「ならねぇって。オレ、樹のこと好きだもん」
「今のお前は患者! 正気じゃないから却下だ!」

 ちぇーっと分かりやすく拗ねる颯真は、病に侵されているという割には元気そうだ。
【A型恋ワズライ】は、もっと気が狂いそうになるような求愛症状が出るイメージだったが、個人差だろうか。

(嘘くさいけど、診断書は本物っぽかったしなあぁ)

 首を捻りながら、「晩飯、カップラーメンでいい?」と投げやりに尋ねる。

 しかし颯真はベッドにうつ伏せになって布団に包まっていて、カップラーメンどころではないらしい。おまけに「樹の匂いが充満してる」と変態っぽいことを言って来たので、俺は奴を完全に無視した。

(【恋ワズライ】は変態を製造するのか……。やべーな……)

 だが、俺が屈んでコンロの下の収納スペースをごそごそと漁っていると、背後から唐突に腰をガシッとホールドされたではないか。

「ひっ!」

 驚いた俺の口からは変な声が出るし、滑ってコンロのつまみに額をぶつけるわで散々だ。

「なにすんだよッ⁉」
「うわ、ごめん! 抱き着きたくなっちった!」

 赤くなった俺の額をさすろうとする颯真は悪戯っぽく笑っているが、言っていることは正直すぎる。どうやら【恋ワズライ】は、歪んだ脳みそと心と体の回路が素直になりすぎるらしい。やはり恐ろしい病だ。

「急に触んな。申告しろ」
「えぇーっ。衝動がぐっと来るのに?」
「ぐっと来るな。俺のメンタルがもたない。……で、何味にする? 醤油? 味噌? シーフードもあるけど」
「あ~、それなんだけど――」

 俺が颯真の手をシッシと払い除けると、颯真はその空いた手で収納棚の戸をパタンと閉めた。
 そしてニヤッと笑い、俺のお腹を指でツンツンとつつく。

「樹の胃袋、掴んじゃおっかな~」

 ◆◆
「うまぁぁ……っ」

 炊き立ての白米にふわとろ卵とじがたっぷり乗ったどんぶりを前に、俺は力の抜けた声を上げた。

「肉やわらけぇ……。卵とろっとろじゃん……」
「冷蔵庫の中身持ってきてよかったー。親子丼って、簡単だけど満足感あるよな」
「簡単じゃないって。俺、絶対無理」

 ガツガツと親子丼ぶりをかき込む俺の姿に、颯真はニシシと嬉しそうに目を細めている。
 そんな颯真をこっそり横目で見ていると、昔、颯真が俺にホットケーキやチャーハンなんかをよく振る舞ってくれたことを思い出した。

 俺と颯真は高校生となった今でこそ、あまり口を利かなくなっていたが、家が近所だった保育園~小学生の間は毎日のように遊んでいた。言わば幼馴染だ。颯真は両親の帰りが遅い俺を度々家に呼び、おやつや晩御飯をご馳走してくれたのだ。

「なんか懐かしいな……」
「ははッ。ガキの頃、親父仕込みの料理だ! とか言いながら作ってたもんな、オレ」
「その頃から美味かったよ。俺いっつも腹減ってたからマジで助かってた。あ、おじさん元気にしてる?」
「相変わらず元気いっぱいの料理長でござぁますよ」

 颯真はふざけた口調で、「オレの弟子入りを心待ちにしてやがる」と言うものの、満更でもなさそうな顔をしている。
 颯真の実家は料亭。今のチャラい見た目からは想像しづらいが、本人も料理が好きで、子どもの頃から父と同じ料理人になるのだと言っていた。

「そっか、よかった。……えと、おじさんには【恋ワズライ】のことなんて言ってんの? 相手は俺って話した?」
「おう、話した! 愚息を樹君に任せるってさ!」

(こいつホラ吹いてやがる……!)

 俺には颯真の嘘は通用しない。
 おそらく病気のことを伏せ、しばらく友達の家に泊まるとだけ言って出て来たのだろう。だって普通の親は、【恋ワズライ】を発症した我が子を野放しになどするわけがない。

(まぁ、親に言いたくない気持ちもすげぇ分かるけどさ……)

 颯真の嘘には取り敢えず目をつぶるとして、俺もまぁ、こいつを利用してやればいいかなと思った。
 飯は美味いし、家賃は負担してくれるし、それで【恋ワズライ】が治れば万々歳だ。

 ――にしても。

「俺なんか好きになってかわいそーにな。颯真、女子からすげぇモテるのに」

 顔よし、スタイルよし、要領よし。勉強そこそこ、運動神経抜群の颯真は、クラスどころか高校の人気者。女子からいつもモテまくっている。

 そんな一軍最前線の颯真が、ぼっち属性の俺なんかに惚れていることが気の毒でならない。

 けれど当の本人はケロッとしており。

「なんで? 幸せだぜ、オレ。樹のこと大好きだもん。同棲できるとか最高すぎ」
「同棲じゃねぇし! ルームシェアだし! 【恋ワズライ】のせいでそんなことまで言っちゃうなんてな。お前、治ってから後悔するぞ!」

 さらりと「大好き」と言われると、照れずにはいられない。恋人がいたことがない者には刺激が強すぎて、うっかりスプーンを床に落としてしまった。

「ってかお前、元気そうじゃん! 【恋ワズライ】平気なら帰れよ!」
「えぇっ。チョーしんどいよ。心臓がぎゅってなって、しょっちゅうドキドキして、樹のこと抱きしめたくて手が震える。ほら!」
「笑いながら言うなって」

 ったくコイツは……と、諦めて残りの親子丼をまとめて口に流し込む。

「うめぇよ。胃袋掴まれたわ、馬鹿!」
「へへっ。楽しいルームシェアになりそうだな!」

 ヘラヘラと楽しそうに笑っている事がムカついてくるが、俺の中に込み上げるむず痒さが怒りの感情を簡単に押さえ込んでしまうから困る。

(あぁぁぁ! どうしろってんだよ……!!)

 だって俺は昔からコイツのことが好きで、諦めようと思って距離を取っていたのに。

(なんでガチで恋煩ってる俺のとこに【恋ワズライ】してるヤツが来るんだよ!)

 神様、これはご褒美? それとも苦行ですか?

「一緒に風呂入る?」とニヤニヤと尋ねてくる颯真に、俺は「入るか! ボケ!」と怒鳴ったのだった。



【第2話】https://editor.note.com/notes/n649d81acfebe/edit/

【第3話】https://editor.note.com/notes/n8c0ad3169f54/edit/


#創作大賞2024
#漫画原作部門
#BLマンガ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?