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【LIVE REPORT】ELLEGARDEN THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018(8/15 ZOZO MARINE STADIUM)①

8月15日、千葉・ZOZOマリンスタジアムで開催されたELLEGARDENの再始動ライヴツアー「THE BOYS ARE BACK IN TOWN TOUR 2018」のツアーファイナル公演を観に行った。

それこそライヴが始まった瞬間は、10年止まっていたバンドのライヴには全く見えなかった。でもライヴが進んでいくうちに、そうじゃないことにどんどん気付かされてしまい、止まっていた10年の重みを感じた。じゃなきゃ味わえないであろう感動と余韻から、私は未だにさめないでいる。

まずはONE OK ROCKのアクトがスタート。今回の復活には彼らの力がなければ実現しなかったと細美さん(細美武士/Vo&Gt)は自身のラジオで話していた。その当事者であるTaka(Vo)もMCではこの日の対バンへの想いをひとしきり語っていた。バンドを始めた頃からエルレの影響を多いに受けてきたTakaは、彼らのライヴが観たくて、だったら対バンを申し込むしかないと思ったそうだ。また、自分達にとってエルレはヒーローだとも話す姿は、まるで今日集まったファンの想いを代弁しているようだった。国内のみならず海外でも音楽活動をスタートさせているワンオクは、スタジアムクラスのステージに立ち続けているだけあって、サウンドの訴求力がとにかく強い。エネルギッシュなTakaのヴォーカルも本当に素晴らしく、その姿はアスリートのようである。こんなかっこいい後輩バンドに「対バンしたい」とお願いされたら、先輩は受けて立つしかないよなと、心底納得されられてしまった。

ワンオクのアクトが終わり、余韻に包まれていると聴き覚えのある曲が耳を誘う。Dragon AshにASIAN KUNG‐FU GENERATION、ストレイテナーといった、エルレの盟友の楽曲がSEに選ばれていた。そして客電が落ち、緊張感迸るスタジアムには、スカルと炎、「ELLEGARDEN」と書かれたバックドロップの映像が現れ、いよいよエルレのメンバー細美さん、ウブさん(生形真一/Gt)、高田さん(高田雄一/Ba)、高橋さん(高橋宏貴/Dr)が登場。

《Nothing I can do as well / But to dream of her all the time/ I'm a fuckup and I'm nuts so she's gone》。細美さんがブログに綴っていた通り“Supernova”でライヴは開幕した。ハーフパンツにスニーカー姿の細美さんが、みずみずしい歌声を放つと、爆発的な大歓声が上がり、瞬時に始まるシンガロング。2曲目は“No.13”。ウブさんの奏でるイントロのリフと耳にすると、毎年9月9日になると必ずこの曲の歌詞がTwitterのタイムラインに溢れていることを私は思った。《I’m waiting here You might not be back / I don’t think I’m irrational/ I’m waiting here You might not be back /I’m still at No.13》。「僕はここで待ってる 君は多分戻ってこない 別におかしくないだろ 僕はここで待ってる 君は多分戻ってこない 僕はまだ13番地にいる」(対訳:以下同)。まるで、この日を待ち望む全ての人の気持ちのそのもののようなサビ。ライヴが始まって早々に鳴らされ、目の前の景色が夢ではなく現実であることを、ひたすら噛みしめ続けた。

《‘Pepperoni Quattro’》と会場一帯から声が沸き上がった“Pizza Man”が終わるとMCへ。すると細美さんは突然「子ども以外は黙って」と促し、一段と大きな声で言い放った。「外にいる奴らー!!」。なんと、チケットが手に入らず音漏れを聴くために会場に駆けつけていたファンに言葉を投げかけたのだ!

そして、“Fire Cracker”、“Space Sonic”、“ 高架線”という5thアルバム『ELEVEN FIRE CRACKERS』(2006年)からの楽曲が続く。《Have you ever felt this way / Like you are the worst mankind on the planet earth》「こんな気分になったことはないか 自分はこの星で一番ダメな人間だった気分にさ」という“ Space Sonic”の歌詞の一説にあるように、制作時に細美さんが抱えていた苦悩が過るタームでもあったが、ウブさんの研ぎ澄まされたギターを始め、確実に10年前よりスキルアップしたメンバーの鳴らす音で体感すると、過去に連れ戻されることなく、目の前の熱狂の渦へと落とし込まれてしまう。

「懐かしい曲を」と“Missing”が始まったとき、2004年シングルリリースという14年前の曲とはいえ、古くなんて思えなかった。続く“スターフィッシュ”、“The Autumn Song”もそう。いや、この日聴いた全曲がそうだった。胸を打つ歌詞と、気持ちいいメロディ。私自身も、歌詞が自然と口から出てきて、エルレの曲が自分の体に染み込んでいる事実には驚いてしまう。そんな私がエルレにはまったきっかけの曲が“風の日”だ。初めて聴いたのは細美さんの弾き語りだった。でも、いつかバンドの生演奏で聴くことを夢見ていた。《雨の日には濡れて 晴れた日には乾いて 寒い日には震えているのは当たり前だろ》。弾き語りだと、とにかく優しかった。1stアルバム『DON'T TRUST ANYONE BUT US』(2002年)の“風の日”はどこかやんちゃで、そして、今のエルレ鳴らす“風の日”になると、ただただ力強いのだ。

エルレのことを古くから応援しているオールドファンに捧げられた、“Middle of Nowhere”。細美さんのエモーショナルな歌声と言い、このときだけは、独特な空気にスタジアムは包まれていた。今から5年前、the HIATUSと出会ったことでエルレを聴くようになった私は、この10年前のことを知らない。でも、その頃からファンだった人たちに胸には、どのように胸に響くのかと思うと感慨深く、初めてエルレとファンの間にある「信頼」に触れた気がした。

何年経っても枯れないキッズの魂を感じた“Surfrider Association”、サビでシンガロングが止まらない“Marry me”。そして“Lonesome”では、ステージに設置された巨大ビジョンに高橋さんの姿が映ったとき、泣いているじゃない?と思わずにいられない表情をしていた。実は、最後に「メンバーも一言」と振られたMCで「心の中ではエルレガーデンをもうやることはないんじゃないかと思っていた」という本音を語った高橋さん。そういう想いもあって挑んだツアーだからこそ、今、ステージの上に3人と一緒に居られることが奇跡だと実感するのだと思う。

しかし、「歌詞を書いた当時はこの曲の全てが真実だと思っていた。でも、本当にそうなのか、正直者が馬鹿を見る世の中ではないのかって、したり顔で人から言われることもあったけれど、4人とも10年正直に生きてきた」(注:要約してあります)と、“金星”を歌う前に細美さんは話した。その言葉を受けてから《最後に笑うのは正直な奴だけだ》と歌う“金星”が始まり私は気付かされたのだが、2008年9月7日東京・新木場STUDIO COASTで開催された活動休止前の最後ライヴ以降、4人は別々の場所で音楽活動を始めている。つまり、それがここで言う「10年間正直に生きてきた証」であり、この日を迎えられたことに繋がっているのではないだろうか。バンドから離れたからこそ見えるものは確実にあるだろうし、でもエルレの場合はきっと4人に同じものが見えていたのではないかと思う。今までCDや細美さんの弾き語りで聴いてきた“金星”にはない説得力がここにはあって、10年が必要な時間だってことを私は納得ができのだ。

「ロックバンドがしてやれることは、臆病者の背中をそっと押してやることだ」。そんな言葉とともに始まった真夏に聴く“サンタクロース”。《I’m Santa Claus 君に千個のプレゼント どれもこれも安物なんだけど》。常にホームラン打ってくるような、あまりに豪華すぎる今回のセットリストが集まったファンへの《千個のプレゼント》ならば、私達ファンにとっては、それ以上の価値を持つ宝物である。“モンスター”、”Red Hot”が投下されるとクラウドサーフする者が後を絶たないさらに会場一帯を奮い立たせるよう“Salamander”が鳴らされクライマックスに向かう。

本編ラスト、まず1曲目には“ジターバグ”が放たれる。小気味良いビートを全身で感じながら、耳によく馴染んだ歌詞を味わうように聴いていると、「はっ」とする瞬間が何度も舞い降りてきた。《遠回りする度に見えてきたこともあって 早く着くことが全てと僕には思えなかった 間違ったことがいつか君を救うから 数え切れないほど無くしてまた拾い集めりゃいいさ》。歌詞のどのラインを抜き出せばいいか迷うのだが、まるで、この日を迎えるまでの葛藤と、その物語に聴こえてならなかった。そしてバトンは最終ランナーの“虹”へ。《積み重ねた 思い出とか 音を立てて崩れたって 僕らはまた 今日を記憶に変えていける》。多幸感に包まれたスタジアムの光景を記憶に変えることができること。エルレが、これからも変わらぬ存在でいてくれるという、確かな約束を結んでくれているような、晴れ晴れとした未来を感じさせる“虹”だった。

感謝を述べ、ステージの袖に掃けたメンバー。もちろんスタジアムからはアンコールを求める握手の嵐が発生し、再びステージに現れると、この日(8月15日)で日本が終戦から73年目を迎えたこと、ミュージシャンであるからには愛と平和を歌う必要性を感じていることを細美さんは話し、始まったのが“Make A Wish”。スタジアム一帯からの、 3分間の止まらない盛大なシンガロング。私もその一部分であったことが誇らしく、聴いていて(歌っていて)身震いしてしまったほど感動的だった。2曲目の“月”では、実はライヴ中にふと空を見上げたら綺麗な三日月が浮かんでいたこともあって、なんとも素敵な演出付きである。しかも、アンコールはここで終わらなかった。冷めやらぬ歓声と拍手を受けメンバーは、すぐに再々登場。ダブルアンコールには勢いよく“BBQ Riot Song”が投下し、観客ともうひと暴れすると、なんと夜空には美しい花火が舞い上がったのだ…。

エルレ再始動、祝福の宴は約3時間に渡った。スタジアムの中にいた3万8,000人と、音漏れでも良いから聞きたいと外に集まった大勢のファンには、当然ながらエルレに対する特別な想いがある。そして4人は大会場のステージに立っていたとしても、ひとりひとりと向き合い、その想いに応えてくれていたような気がした。ダブルアンコールを含めて24曲のセットリストから感じたエルレからの想いは、本当に計り知れないもので、私は、肉眼で見ると米粒サイズのメンバーしか見えない場所でライヴを観ていたけれど、翌朝にはすっかり声が嗄れていたくらい、歌い、泣いて、そして笑った時間だった。

残念ながら、今回のライヴはDVD化されないとのこと。なので、長くなってしまうけれど、もう少しだけ今回のライヴについて記そうと思う。

<続く>



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coco
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